2012年11月26日月曜日

デノスマブ(ランマーク®)投与患者さんへのカルシウム製剤提供に関する情報

以前から何度かここで取り上げていますが、骨転移治療薬のランマークが発売されてから重篤な低カルシウム血症の報告が続いたため、ブルーレター(注意喚起)が出されています。この中では、予防策として「少なくともカルシウムを500mg、天然型ビタミンDを400IU、毎日服用する」ように記載されています。

しかし、天然型ビタミンDは保険収載されておらず、いわゆるサプリメントとして薬局から購入しなければなりません。サプリメントはカルシウムやビタミンDの含有量がバラバラなため、実際は処方可能な活性型ビタミンD(アルファロールなど)が処方されているケースも多かったと思います。なぜ国内で処方できない天然型ビタミンDを推奨しているのかという理由は、臨床試験が天然型ビタミンDを併用して行なわれていたからです。

この矛盾を解決するために、ランマーク投与中の患者さんに必要量の天然型ビタミンDとカルシウムを含有する製剤(”新カルシチュウ®D3”)を発売元の製薬会社が無償提供することになったそうです。今日MRの方がその報告にいらっしゃいました。

保険診療を行なっている私たちが、保険外の一般用医薬品の服用を勧めるという何とも言えない違和感はありますが、患者さんの自己負担と利便性を考えると良かったのではないかと思います。ただ、現在ランマークを投与中で活性型ビタミンDの処方を受けてカルシウム値が安定している患者さんについては、この製剤に切り替える時にはより慎重に行なう必要があります。また、腎障害がある患者さんは活性型でなければ十分な効果が得られませんので保険で活性型ビタミンDの処方を受ける必要があります。

その後は新たな低カルシウム血症の報告は届いていませんが、実際どの程度の頻度なのか気になります。市販後の追跡調査の結果を待ちたいと思います。

2 件のコメント:

temari さんのコメント...

こちらも今日は風が強いのですが、昨日の寒さからは脱しました。北海道は凄く荒れ模様のようですね・・・大丈夫でしょうか。
ごぶさたしています、ランマークにはすぐ反応してしまうtemariです。
ランマークへの変更の際には,主治医よりサプリメント服用の指示がありましたが、このことだったのか、と理解できました。(結局ゾメタになりそうですが・・・)
細々とbiweeklyタキソール!を続け、ようやく胸水減少、NCC-SF-439も四桁から三桁へと減り、効果が実感できてきました。思いのほか副作用が軽いので、3週に一度のタキソール、いやアブラキサンにしてほしい、と欲張って思っています。しかし白血球値の低い私は、少ない量を休み休みするしかないようです。加えてランマークも、まだどのような報告がでるか不明なのでゾメタで再開しましょう、といわれています。とかく患者は新しいほうの薬を試したくなるものですが、私にとっては全てが新しい薬なので、効果と副作用のデータがある治療をゆっくりやっていくようです。
ケモ室でカーテン越しにいろいろな新しい薬名が聞こえるとなんとなく羨ましくなってしまいますが・・・

hidechin さんのコメント...

>temariさん
お久しぶりです。経過がまずまずなようで良かったです!
効果がみられているうちは、副作用の問題がないのであれば治療を変更しないのが原則です。あわてず焦らずに治療しましょう。
新薬は魅力的ではありますが、未知の部分も少なからずあります。必要な場合はやむを得ませんが、十分にmeritとdemeritを秤にかけて主治医の先生とよくご相談の上で踏み切るようにしましょう。
それではお大事に!