2013年11月1日金曜日

乳腺術後症例検討会 28 ”非浸潤性小葉がん”

今週の水曜日は定例の乳腺術後症例検討会でした。

今回も症例は4例でした。

1例目は、ご本人のお話では約20年の経過のある10cm大の葉状腫瘍の症例でした。針生検では良性葉状腫瘍の診断でしたが、最終診断は、一部に核分裂像の多く見られるところがあったため、悪性葉状腫瘍と診断された症例でした。もしかしたら長い経過の中で、線維腺腫→良性葉状腫瘍→悪性葉状腫瘍と変化してきたのかもしれません。

2例目は、浸潤性乳管がんの術前検査のMRで別の部位に病変が認められ、2回目の超音波検査と針生検で非浸潤性小葉がんと診断され、術後の標本でも浸潤部分は伴わず、2個の別々のがんの1つが非浸潤性小葉がんだったケースでした。非浸潤性小葉がんが発見されるのは、乳がんの手術標本内に偶然合併しているのを指摘されるか、微細石灰化のステレオガイド下生検で診断される場合がほとんどだと思います。今回のように超音波検査(2回目でしたが)で病変が描出され、術前に非浸潤性小葉がんと診断されたケースは非常に珍しいのではないかと思います。調べてみても、非浸潤性小葉がんの超音波画像というのはほとんど検索できません。今回のケースは、発見された時には広く拡がっていることが多い浸潤性小葉がんの前段階を現しているのではないかと考えています。非浸潤性小葉がんは米国ではいわゆる”がん”の扱いにはなっていません。浸潤がんのリスク因子の一つと捉えられているだけです(このあたりはわかるようでわからない話なのですが…)。でも浸潤性小葉がんには必ずその前段階があるはずです。一律に非浸潤性小葉がんを”がんではない”と軽んじて良いのだろうかと私は少し疑問を感じています。

3例目は、妊娠期に発見された乳がん症例でした。妊娠中のため、マンモグラフィは施行しなかったので画像的には超音波検査のみでしたが、拡張した乳管内に病変が非常に広く広がっていました。

4例目は、マンモグラフィで石灰化の集簇と構築の乱れを呈し、超音波検査では乳頭に至るまで乳管の拡張を伴っていた症例でした。

今回も院外から3人の参加がありました。今年もあと2ヶ月、12月は症例検討会はない予定なので残りは1回です。月日が経つのは本当に早いですね!もうすぐ大嫌いな冬がやってきます…(泣)

7 件のコメント:

齋藤美帆 さんのコメント...

はじめまして。乳がん患者さまのブログから参りました。
現在、乳がん(ステージ2)で二度目の術後、抗がん剤治療中の47才、既婚、地方公務員です。最初の手術、2013年8月でしたが、その時のクリニックでの術前診断が「非浸潤性の小葉がん」ではないかと言われました。その後、大きな病院で「ハイブリット」的な管と小葉療法にまたがる「非浸潤性」と言われました。1年半でリンパに転移し、これもまた稀有な例だと言われました。身内には肺がんと胃がん、舌がんが親戚にいるレベルです。今はハーセプチンの有無を調べていただきながら、先日FECの第1回目を終え、例に漏れず、ひどい副作用で病気休業を余儀なくされたところです。術前のインフォームドコンセントも専門用語がどうしても多くて、メモをとることも難しく、事態の全容を実はよく俯瞰できていないのが実情です。データなどは病院にお願いすれば有料でも出していただけるのでしょうか。

いろんなブログやサイトで見る限り「小葉がん」や「転移期間の短さ」など自分の症状が二度とも珍しいタイプのようで、完治までやや不安が残っています。先生のサイトでいろいろ勉強させていただきたいと存じます。

hidechin さんのコメント...

>齋藤美帆 さん
はじめまして。
血液データはほとんどの病院ではコピーを無料でくれると思いますが、病理検査結果は、そのままコピーをお渡しする施設は少ないと思います。これは専門用語で記載されているため、そのままでは一般の方にはわかりにくいことが大きな理由です。その他には、病理医に無断で渡して良いかどうかということなども一つの理由かもしれません。患者さんから要求があった場合に、病理結果のコピーをお渡しする義務があるのかどうかは私にはわかりませんが、個人的には渡してかまわないと思っています(実物のコピーをどうしても欲しいと言われたことはありませんのでなんとも言えませんが…)。その場合に、有料とするかどうかについては、たしかなところはわかりません。
齋藤美帆 さんの場合、リンパ節転移が生じたということは、結果論的には、”非浸潤がん”ではなかったということを意味しています。これは、誤診であったということとイコールではありません(2つの施設で確認されたので間違いはないと思います)。切り出した(観察した)割面には浸潤部分がなくても、切り出した間の部分に浸潤がんが隠れている場合があるからです。ですから非浸潤がんの再発率は0%ではないのです。このリスクをできるだけ低くするために、私たちの施設では、非浸潤がんの診断をする場合には全摘であっても5㎜の幅で切り出してもらっています。
とは言っても非常にまれなケースであるのは確かです。今後の治療がうまくいくことをお祈りしています。それではお大事に。

齋藤美帆 さんのコメント...

hidechin先生 日々、ご多忙の中丁寧に回答してくださいまして、ありがとうございます。辛い時期にお医者さまから的確なご助言やお言葉を頂くと気持ちが落ち着きます。血液データのことを来週の投薬の時にお尋ねしてみたいと思います。ちょうど今は白血球が減少期ですが、熱が38°を越えたのも1度だけで、咳がでる以外は比較的体調が良いです。

そして私のがんですが、同じように細かく切り出しをしたという話は1度目の術後にお聞きしました。1度目はリンパは残し、転移の可能性に関してはノーコメント(身内談)。2度目はリンパ節郭清。12個すべて摘出し、うち2つが進行がんとのことでした。ただし、浸潤していない、大きさが3センチ弱、非常に診断が難しいようでした。それでも今回はFEC→ドセタ&もしかしたらハーセプチンとなるようです。放射線はないようなのですが、これの有無の違いはあるのでしょうか。またお時間のあるときにご助言くたさると嬉しいです。気持ちの浮き沈みはありますが、落ち込みすぎないように、気晴らしをたくさんしながら、闘いたいと思います。

ちなみに。
私の場合は、とにかく冷え症で、低体温であることが起因していると自覚しています。
スポーツ(バレーボール)をずっとしていたのですが、止めて3年後に発症しました。

hidechin さんのコメント...

>齋藤美帆 さん
”12個すべて摘出し、うち2つが進行がんとのことでした”とありますが、”進行がん”ではなく、”リンパ節転移が2個あった”という意味だと思います(リンパ節転移に対して進行がんという言い方はしません)。
”ただし、浸潤していない、大きさが3センチ弱、非常に診断が難しいようでした”という意味はよくわかりません…。リンパ節の外に浸潤していない(節外浸潤と言います)、転移リンパ節の大きさが3cm以下という意味でしょうか?リンパ節転移の診断が難しいという意味はよくわかりませんでしたのでコメントできません。
また、”今回はFEC→ドセタ&もしかしたらハーセプチンとなるようです。放射線はないようなのですが、これの有無の違いはあるのでしょうか”の意味もわかりにくいのですが、所属リンパ節再発ですので根治を目指せる可能性がありますから、最大限の治療をするべきだと思います。したがって、FEC→ドセタキセルの抗がん剤とHER2が陽性ならハーセプチンの併用(ドセタキセル開始後)は行なうべきです。放射線治療は4個以上のリンパ節転移があればほとんどの施設で行なっていると思いますが、1-3個の場合は全例に行なっているわけではありません。ただ最近の報告では1-3個でも放射線治療を追加する方が予後が良いという結果が出ていますので、再発であることを考慮すると追加しても良いとは思います。ただしリンパ浮腫のリスクは高くなりますのでよくご相談の上でお決め下さい。

齋藤美帆 さんのコメント...

hidechin先生 再び丁寧に回答くださいましてありがとうございます。2回目のFEC後、12日間副作用に苦しみ、また明日3回目を迎えます。すでに副作用的な感じで気持ちが滅入っているようです(~_~;) さて、先生の回答を拝読するにつけ、自分が主治医の先生から正しい情報が聞き取れていないことを実感しました。単語が断片的にしか自分の記憶に残っていなくて、点と点がきちんと繋がっていないですね。大きな公立病院で多くの患者さんを抱えて、なかなかじっくりと質疑応答をする雰囲気ではないと感じ、こちらからあまり聞き出すことをしていないことに気づきました。明日はどれだけできるか分かりませんが、自分のことをきちんとデータとして知りたいとお伝えしてみたいと思います。ハーセプチンを併用するかどうかもまだ分かっていません。

過去2回の抗がん剤治療(FEC)後は強い吐き気としびれと脱毛のみであとはあまりないようです。幸い今のところ浮腫がありません。副作用も本当にそれぞれなのですね。私は投与3時間後からもうぐったりとしてしまいます。吐き気止め(イメンドとプリンペラン)があまり効いていないとお伝えしても、お薬が変わることがなく、もっと強く伝えなければと思っています。漢方で吐き気だけでも緩和したいとも思っています。きちんとお伝えして、お聞きした上でまた分からないことがありましたら、ご相談したいと存じます。

大変お忙しい中、丁寧に対応していただき、温かい言葉をかけてくださって嬉しかったです。ありがとうございました。明日、頑張ります!

齋藤美帆 さんのコメント...
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hidechin さんのコメント...

>齋藤美帆 さん
治療、大変だと思いますが、頑張って下さいね。副作用のことはもう一度主治医にご相談なさってみてはいかがでしょうか?吐き気予防にステロイド(デキサメタゾン)は併用していますよね?通常併用するはずなのですが、記載がありませんでしたのでもし併用していないのであれば併用してみてはいかがでしょうか?
以上です。それではお大事に!