2013年11月18日月曜日

ティッシューエキスパンダー/インプラントを用いた乳房再建の学習会

今日、夕方からアラガン社の方が見えて、関係職員向けの乳房再建と製品(ティッシューエキスパンダー/インプラント)の説明会を開いて下さいました。

スライドを用いて、製品の種類と特徴、インプラントを用いた乳房再建の歴史と問題点などについて説明して下さったあとで、実際にサンプルに触らせてもらったり、生理食塩水を注入させてもらったりもしました。

いろいろお話を聞いた中で気になった点は、材料費として今回算定されたティッシューエキスパンダーとインプラントの保険点数では、実際に購入する値段をまかなえない、つまり、1人に挿入するたびに病院に持ち出しが生じるという点です(その他に手術手技料が算定されるのでその分をカバーはできますが…)。特にティッシューエキスパンダーでは顕著なようです。

アラガン社の方は、保険点数を上げてもらえるように申し入れをしていくと説明していました。私は製品の価格を下げることはできないのか?とごねてみましたが、欧米ではもっと高く販売しているから…とのことでした。しかし、今までのように主に豊胸術で使用されるだけではなく、今回の保険適用によって乳房切除後に使用される機会が増えるわけですから需要は大幅に増すと思います。売れ行きが良くなればもう少し価格を下げることができるのではないかと密かに期待しています(いずれ近いうちに他社製品も認可されるわけですし…笑)。

学会から正式な認定が決定されていたにもかかわらず、ごちゃごちゃと理不尽なクレームをつけてきた某役所のせいでのびのびになっていた乳房再建実施施設の認可がようやくおりました。これでようやくいつでも一次再建が可能となりました。あとは希望される患者さんを待つのみです!

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

先生こんにちは、いつも為になるお話ありがとうございます。
再建用のシリコンインプラントですが、
今回保険が効くようになったジェルシリコンは耐久性の問題がある、と聞きました。
5~6年で入れ替える必要があるとか。。

一方で、そんなことない、コヒーシブタイプだって危ない、と言う方もいらっしゃいます。

これから保険で再建する場合はやはり5~6年で入れ替えは必要なのでしょうか?

見栄えの話題が多いですが、耐久性も気になっています。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
はじめまして。
インプラントの耐用年数についてはいくつかの説がありますが、正確なデータはまだ不十分だと思います。ただ一生ものとは言えないのは確かで、10年以内にインプラントの破損や被膜拘縮などによって入れ替えなどの再手術が必要になる可能性は十分に考慮しておく必要があります(乳房再建後の再手術は7年で53.3%でインプラント摘出は23.7%という話を聞いたことがあります)。以上です。

匿名 さんのコメント...

先生ご回答ありがとうございます。
意外にデリケートな物なんですね!
勝手に一生もの位に考えていたので
ちょっとびっくりしてしまいました。
再建もメリットデメリットを良く考えていかなければなりませんね。。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
そうですね。再建手術を受ける場合は、良いところだけではなく、欠点や問題点についても十分な説明を受けることが望ましいと思います。

匿名 さんのコメント...

ヨーロッパにて乳房両側切除し、現在ティッシュエキスパンダーを、夏にはインプラントに入れ替えをする予定になっています。
乳房再建、日本でもはやく保険点数が上がり、(または価格が下がり)一般的になってほしいです。こちらでは再建費用はすべて保険会社が払ってくれます。まだ34歳ということもあり、迷いなく一次再建を選びました。
放射線も問題なく受けられました。
一次再建で入れたことによって、胸の喪失感がほとんど無いというのが、とてもうれしいことでした。母も方胸を全摘しているのですが、再建をした方が良かったと手術より10年経った今でも、愚痴をこぼしています。
エキスパンダー挿入は、美容整形の先生が担当しました。エキスパンダーでもキレイな形なので、インプラントをいれるのが楽しみです。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
はじめまして。
国によって乳房再建の保険適用は様々だと思いますが、乳がんで失った乳房をできるだけきれいに元のように戻してあげることは患者さんのその後の人生を考えるととても重要なことですよね。もっと気軽に乳房再建を受けられるような環境を整備して、乳房喪失で悲しむ患者さんが少しでも減るように私たちも努力していきたいと思っています。
遠いヨーロッパからのコメント、ありがとうございました。