2014年8月5日火曜日

初期治療を拒否した乳がん患者さんたちは…

様々な理由で乳がんの治療を受けずに長い間経過を見てしまうことがあります。これには大きく分けて3つのパターンがあります。

①しこりに気づいて”がんではないか?”と思いながら、診断されることや治療が怖くて進行するまで受診しないケース
②一度医療機関で乳がんと診断されながら、治療を拒否して数年後にどうにもこうにもならなくなって受診するケース
③受診して乳がんと診断されながら、代替治療を試したいという強い意志で経過観察のみ行なうケース

ちまたでは”がんは早期発見の必要はない””がんを治療するとかえって命を縮める”などという内容の本が新聞やマスコミで紹介されています。たしかにごく一部の乳がんは一生命に関わらないのかもしれません。しかしそれは一部に過ぎません。経過観察した患者さんのほとんどはその判断を後悔しているのです。

放っておいて良いケースなどきわめてまれな場合しかありません。ホルモン陽性の乳がんは、一般的に進行がゆっくりのために、何もしなくても、または代替医療に頼っても一見進行していないように見えることがあります。私の経験でも③のケースでしばらくあまり変化がないように見えた症例もありました。しかし、それらの症例も経過を見るうちに必ず大きくなってきます。それが悪さをしないという保障は誰にもできません。①でとてつもなく進行していて手の施しようのない状況になってから受診した患者さんはたくさんいます。②のケースは少ないですが、やはり根治的な治療はすでに不可能になっています。

③のケースは私の経験では、3人いらっしゃいます。2人は代替医療を行なったようですが、結局進行してしまい、手術を受けました。もう1人は、食生活の改善、性格の改善を試したいと言って治療を拒否しましたが、やはり9ヶ月の経過で皮膚浸潤をきたしてきたため、ようやくホルモン療法のみ治療を受けることを承諾して下さいました。今のところ奏効し腫瘍の縮小が見られていますが、ここ2ヶ月は縮小の程度が止まってきましたのでそろそろ手術を考えなければなりません。本当はできるだけ早く手術をしたいところですが、あとは彼女の気持ちが固まるのを待つしかありません。ホルモン療法が効いている間に決意してくれることを祈っています。

20 件のコメント:

まりも さんのコメント...

hidechin先生はじめまして。

私は、去年乳がんが発覚し全摘手術、抗がん剤、 放射線治療を最近終了しいまは、ホルモン治療とリュープリン注射で経過観察中です。

私の場合、マンモグラフィでは非常にわかりづらかったようで、画像診断、触診でも良性と言われましたがしこりがあったため半年後に受診というかたちで念の為、細胞針をしてようやく悪性ということがわかりました。

マンモグラフィと触診でも、すり抜けてしまうということです。

ベテランの先生なら少し触診するだけでわかるようなのですが若い先生2人にみてもらいましたがお2人とも良性ということでした。

先生によって、こんなに差があるんだなってあらためて実感させられました。

hidechin さんのコメント...

>まりもさん
はじめまして。
乳がんにもいろいろありますので確かにマンモグラフィでも触診でもわかりにくいものもあります。私は実際に診ていませんのでなんとも言えませんが、まりもさんもそのようなタイプだったのではないでしょうか?
経過が順調であることをお祈りしています。お大事に!

匿名 さんのコメント...

はじめまして。

今年3月に左乳房皮下乳腺全摘しインプラントで同時再建しました。

東京都内の某有名クリニックですが、病理結果で乳頭にも進行しているかもしれないとのことで、追加切除を受けました。

乳頭切除は日帰りで局所麻酔なので、手術室でも当然意識があるのですが、手術の途中で新人らしき医師に交代され、明らかに初めてらしいその医師が主治医である有名医師の指導を受けながら手術したのです。(主治医は途中で退室しました)

顔にカバーをかけられていたこと、緊張していたこともあり、その場では抗議することもできませんでしたが、非常に不快でした。また、以前の全身麻酔の手術の際も同様のことがあったのかもしれないという疑念も当然生じました。

手術中に患者の許可なく医師が変わることは、あり得ることなのでしょうか?

ひかり さんのコメント...

ひかりです。
先生こんにちは。

まず。
私はがんと一番最初に診断された病院で「すぐに手術をした方がいい」と言われました。
ただそこの病院の説明に納得いかず、セカンドオピニオンでなくまた一から別の病院にかかり、そこで手術、抗がん剤をしました。

治療を受けた病院は混んでいて手術まで2か月待ちましたが、「そこまで急ぐことはない」という判断でした。判断はいろいろなんだなと感じました。

2か月待つ間落ち着かなかったので、がんと診断されながらも治療をしない選択をされる方は強いのかなとも思います。

また、私は片側全摘なのですが、もう一方にがんが見つかったらどうしようと考えることがあります。「治療しない」という選択もありかなと。
その選択は良くないのか、ありなのか…。
再発したときに考えればいいのですが、なかなかそうもいきません。

すみません、先生つまらないことを書きました。読んで頂くだけでいいです。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
はじめまして。
その医師が本当に初めての執刀だったかどうかはわかりませんのでなんとも言えませんが、若手の医師に指導医が着いて執刀させることはあります。その場合、患者様にどう説明するかどうかはその病院によって異なると思います。ただ、基本的には指導医がついて若手に執刀させる場合は、自分が執刀した場合以上の実質的な不利益を与えないように細心の注意を払って行なうべきだと私は考えています。途中で主治医が退席したということは一定の力量があるからではないかと思いますが…。問題は、結果的に匿名さんが不利益を被ったかどうかです。術後の経過が問題ないのであれば、主治医の指導の元できちんと治療がなされたわけですので医学的には問題ありません。ただ心情的にはきちんと主治医に最後まで執刀して欲しかったというのは十分に理解できます。
私の立場としてはこれ以上申し上げることはできません。

hidechin さんのコメント...

>ひかりさん
がんと診断されたときの心情は患者さんそれぞれで微妙に異なると思います。私はいろいろな考え方があるのだということを頭に入れながら対応するようにしています。
対側に乳がんができる可能性は考えておかなければなりませんよね。ですから定期的な検査が必要なのです。万が一という場合は、乳房再建という方法も今は保険で可能になってきていますから、治療をしないという選択肢を選ぶ前によくご相談なさって下さい。

匿名 さんのコメント...

ナミと申します。
〈経緯〉
・7月の健康診断のオプション検査(エコー)で3ヶ月後に要再検査と言われた。
・本日(1ヶ月しか経過していませんが)総合病院の外科(乳腺外科はないが検査はできるとのこと)でエコーとマンモグラフィ。
マンモグラフィ検査中乳頭から黄色っぽい分泌液が両方出ました。分泌液を自覚したのは初めてです。
(10ヶ月前に授乳を完了)
担当医師の話では「乳癌ではなく乳頭腫。だけど放っておいてよいか判断できないので乳腺外科のある病院を紹介する」とのことです。
今後、紹介された病院を予約する予定です。

〈相談〉
エコーとマンモグラフィだけで良性と断言できるものでしょうか??
おそらく次の病院では細胞診をしていただくのかな、と思いますが。
断言された今日の医師の真意をちゃんとうかがってくればよかったのですが。
とても不安になりこちらで相談させていただきました。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(ナミさん)
はじめまして。
エコーとマンモグラフィだけでは乳頭腫と断定することはできません。エコー所見からはおそらく乳頭腫だろうという意味だったのだと思いますが…。
いずれにしても分泌物の細胞診と、エコーで腫瘤が確認できるのならその腫瘤の穿刺吸引細胞診や針生検を行なうことになると思います。施設によってはMRや乳管造影、乳管内視鏡をする場合もあります。
良性だといいですね。お大事に。

匿名 さんのコメント...

ナミです。
ご回答頂きありがとうございます。
そうですよね。。やはり断言できないですよね。少し期待してしまったのですが。。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(ナミさん)
まずはきちんと検査を受けてくださいね。それでは良い結果をお祈りしています。

匿名 さんのコメント...

以前にご相談させて頂きましたナミと申します。一連の検査を終え、今日結果を聞きました。悪性腫瘍ではないでしょうとの事ですが半年の経過観察です。
エコー、マンモグラフィ、分泌物検査、針生検、MRI、マンモトームと結局はフルコースとなりましたが、ひとまずはほっとしました。
当初、気が動転していましたがここでご相談をさせて頂き少し冷静になり、再検査に進むことができたように思います。
私事ですが報告とお礼をさせて頂きたく再度コメントさせて頂きました。
ありがとうございました。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(ナミさん)
とりあえず悪性でなくて良かったですね!ただ乳管内乳頭腫の場合は周囲にがんを合併することがありますので定期的な検査はきちんと受けて下さいね。
それではお大事に!

匿名 さんのコメント...

こんにちは。

2012年4月1日に、外科での乳管内乳頭腫の診断について、乳腺外科での再診について伺いましたmm47才です。

その後、外科での針生検の結果をもって専門医のいる総合病院を受診し、マンモとエコーの結果、やはり乳頭腫という診断で別の乳腺外科(総合病院は悪性のみ診察ということでした)で経過観察をしておりました。

2014年9月にマンモで新たな石灰化が認められ、再び総合病院で、マンモ、エコー、MRI、マンモトーム生検を受けました。
その結果、非湿潤であるが悪性との診断がえられたところです。
また、マンモの石灰化の範囲よりMRIで白くみられた範囲が広いので、きれいに温存するのは難しいとのことで、全摘をすすめられました。

定期的に受診していたのに全摘という診断にショックを受けています。
範囲が広かったということは、2年前にMRIをしていればもっと早くわかっていたのではないかという気がしてなりません。
また、非湿潤でも全摘というのはよくあることなのでしょうか。
放射線治療がないことや、手術の難しさを考えると全摘の方がすっきりしそうな気もします。
28日に今後の治療方針も含め、受診予定です。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(mmさん)
残念な結果でショックのことと思います。
まず、針生検で乳管内乳頭腫と非浸潤がんの区別は時に難しいことがあります。ですからおそらくmmさんの場合も診断が難しいような比較的おとなしいタイプの非浸潤がんだったのではないでしょうか?
おとなしいタイプの非浸潤がんの場合は、最初の時に診断されたとしてもすでに広く広がっていた可能性はありますのでその時なら温存できたとは断定できません。また、非浸潤がんで広く広がっていて乳房全摘が必要になることは珍しくありません。おとなしいタイプの場合は乳管を破らないで(しこりを作らないで)長く経過することによって乳管内を広く広がることがあるためです。もちろんすべての場合に当てはまるわけではありませんのでmmさんのケースがどうなのかは私にはお答えすることはできません。
いずれにしても過去を振り返って結論の出ないことをネガティブに考えるよりも非浸潤がん(もちろん最終的には切除しないと浸潤部分の有無はわかりませんが)で手術できることを前向きに考える方が良いと私は思います。今はインプラントによる一次再建も保険適用ですのでご相談なさってみて下さい。
それではお大事に!

匿名 さんのコメント...

mmです。
早速お答えありがとうございます。また、前回に続き、お忙しいところ丁寧にご説明してくださり、感謝いたします。

乳管内を広がるおとなしい?がんは見つけにくく、もしかしたら2年前から広がっていたかもしれないのですね。
おっしゃる通り、今は治療に向けた検討をしなくてはなりません。なんとなく、2月ごろ切除に続けてインプラントでの再建という方向かと考えています。
非浸潤か浸潤かは、手術後の検査ではっきりするのですよね。非浸潤はそのままだと必ず浸潤がんになるのですか?前から広がっていたと思うと、浸潤しているかもしれないですが、手術までの2ヶ月で進行することは少ないでしょうか。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(mmさん)
非浸潤がんがすべて浸潤がんになるかどうかは実はまだわかっていません。しかしその大部分はいつかは浸潤がんになると推測されています。ただ一部はずっと乳管内にとどまったまま悪さをしない場合もあると考えられていますが、それを予測することは困難です。いずれにしてもそのがん細胞の性質によって浸潤がんになるまでの時間が異なるのは間違いないと思います。
ですからいつ浸潤がんになるか、浸潤がんになって転移をきたすのはいつなのかは、がんによって違いますから2ヶ月の間にどのような変化が起きるかは私がお答えすることはできません。
もちろん不必要に長引かせるのは良いことではありませんが、病院によって待ち時間が異なりますのでやむを得ない面もあるかとは思います。
私がお答えできるのは以上です。それではお大事に。

匿名 さんのコメント...

お返事ありがとうございます。
いつか浸潤がんに変化しない非浸潤がんの特徴が判明すれば、標準治療も変わるかもしれませんね。
不安ですが、浸潤がないことを祈りつつ予定通り手術に向けた診察にのぞみたいと思います。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(mmさん)
そうですね。その通りだと思います。
良い結果であることをお祈りしています。それではお大事に。

匿名 さんのコメント...

mmです。
1月に皮下乳腺全摘、インプラントでの同時再建を受けましたこと、ご報告します。
病理結果は、背景乳腺に乳頭腫などが見られましたが、mm単位の非浸潤がんが2ヶ所で断端陰性、今後は治療なしの方針です。
手術してよかったんですよね。
いろいろ教えていただきありがとうございました。先生もご自愛くださいませ。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん(mmさん)
最終病理結果が非浸潤がんで良かったですね!きっと乳管内乳頭腫に合併した非浸潤がん(乳管内乳頭腫の約10%にがんが合併すると言われています)だったのですね。でも全摘で完全切除できたわけですので今回の病変による再発の心配はほぼありませんから良かったと思いますよ。
それではお大事に!