2014年11月7日金曜日

もうすぐ”ジーラスタ®”が発売?

先日書きましたように(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2014/10/g-csf.html)発熱性好中球減少症(FN)を予防する持続型G-CSF製剤の”ジーラスタ®”が近日中に発売になります。おそらく今月末くらいには使えるようになるのではないかと思いますが、まだ薬価収載されていませんので値段は不明です。

がん種やレジメンのしばりはありませんが、ガイドラインに基づくとFNの発生率が20%以上、または10-20%で高リスクの患者さんということになりそうです。乳がん領域においては、私の施設ではFEC100がFN 34%、TCが80%でしたのでジーラスタの適応と考えています。

問題になるのはジーラスタが高価であること、DPC病院では入院で化学療法を行なうとコスト請求できないので病院の持ち出し(病院が薬剤費を全額負担すること)が増えることです。大きな病院ではFEC100やTCは初回から外来で行なう場合が多いと思いますが、私たちの施設では今まで患者さんの不安軽減のために初回導入は入院で行なうことが多かったのです。この間、乳腺センター会議などで検討してきて、最終的にこれらの化学療法を外来で導入し、一次予防としてジーラスタを併用することにしました。

強力な制吐剤を併用しますので実際に嘔吐する率は非常に低くなっていますから、自宅での対処法をきちんと説明しておけば初回からの外来導入は問題はないと思います。抗がん剤でもっとも問題になる骨髄抑制(好中球減少など)は抗がん剤投与後10-14日くらい(FECの場合)に起きますので、これをジーラスタで予防してあげれば患者さんの負担を軽減できることが期待されます。

先日FEC100を初回投与した患者さんも好中球が100以下になって発熱してしまいました。扁桃の発赤もあって心配だったため連日来ていただきましたが、ようやく無事軽快しました。ジーラスタを使えれば、こんな心配も少なくなくなるのでしょうか?2回目は今月中なので3回目からはおそらくジーラスタを併用できそうです。発売されたらすぐに使用できるように、今日、薬剤部に新規採用の申請書を提出しておきました。

副作用はもちろんありますが(反応による発熱、関節痛、発疹など)、FNによって抗がん剤を減量せざるを得ないというリスクも少なくなりますし、入院や頻回の通院の負担も減りますのでジーラスタの効果に期待したいと思います。

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