2015年2月6日金曜日

乳癌の治療最新情報39 ”palbociclib”

米食品医薬品局(FDA)が閉経後乳がん患者さんの治療薬として、経口のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤palbociclibを迅速承認したと2/3に発表しました。

palbociclibは、がん細胞の増殖の促進に関与するCDK4/6を阻害します。対象はER陽性、HER2陰性の転移を有する乳がんで、内分泌療法を含む全身療法の治療歴がない閉経後の患者さんです。palbociclibはアロマターゼ阻害薬のレトロゾールと併用して投与されます。

<palbociclibの有効性を証明した臨床試験 PALOMA-1試験(フェーズ2)>

対象:ER陽性HER2陰性の進行乳がんで、転移に対する治療歴がない閉経後の女性患者165人。palbociclibとレトロゾールを併用投与する群(併用投与群)、またはレトロゾール単剤を投与する群(単剤投与群)にランダムに割り付けた。

結果:
無増悪生存期間(PFS)(主要評価項目) 中央値 併用投与群20.2カ月、単剤投与群10.2カ月、ハザード比0.488(95%信頼区間:0.319-0.748)(p=0.0004)
全生存期間(OS)〜現時点では明らかにされていない。
副作用〜palbociclibで多く観察された副作用は、好中球減少、白血球減少、疲労感、貧血、上気道感染、悪心、口内炎、脱毛、下痢、血小板減少、食欲低下、嘔吐、無力症、末梢神経障害、鼻出血だった。


palbociclibの投与にあたっては、125mgを1日1回、21日間投与、7日間休薬のスケジュールが推奨されており、治療開始前、各治療サイクルの開始時、最初の2サイクルの14日目、および臨床的に必要と判断される時点で、全血球計算を行うことが勧められています。

まだ現段階では全生存期間の改善は証明されていませんのでこの薬剤の最終的な評価はできませんが、PFSを2倍に延長したことを考えると期待できそうです。今後の結果を待ちたいと思います。

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