2015年2月10日火曜日

受動喫煙と乳がん…日本における前向き研究結果

乳がんに対する喫煙の影響はさまざまな報告があります。しかし最近のガイドライン(「2014年度版 患者さんのための乳がん診療ガイドライン」にも記載があります)では喫煙(受動喫煙も含む)は乳がん発症リスクを高めるということがほぼ確実と考えられています。今回の報告は、日本における受動喫煙と乳がん発症リスクに関する集団ベースの前向き研究(高山スタディ)です(岐阜大学 和田恵子氏ら)(Cancer science誌オンライン版2015年1月23日号)。

概要は以下の通りです。

対象および方法:1992年9月から2008年3月まで、35歳以上の女性1万5,719人を追跡。乳がん発症率は、主に地域の集団ベースのがん登録で確認した。喫煙状況などのライフスタイルは自記式質問票で、またアルコール消費量は食物摂取頻度調査票(FFQ)で評価した。

結果:
・年齢、BMI、飲酒、身体活動、教育、初潮年齢、初産年齢、閉経状態、子供の人数、ホルモン補充療法の既往について多変量調整したところ、本人の喫煙と乳がんリスクとの関連はみられなかった。

・非喫煙者の女性については、夫も非喫煙者である女性に比べ、1日21本以上喫煙している夫を持つ女性の乳がんリスクは1.98倍(95%CI:1.03~3.84)であった。

・喫煙者の夫を持つ女性の乳がんリスクの増加は、飲酒習慣がない女性で顕著であった。受動喫煙による乳がんリスク増大に対する飲酒の影響については、今後さらなる研究が必要である。


う〜ん…。理論的になんとなく納得がいかない部分が私にはあります。もちろん喫煙の有害性に異論を挟むつもりはありませんが…。


7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。少し前からブログを拝見し、勉強させていただいていました。

実はどうしたらいいかわからないことがあり、先生に相談させていただきたいと思っています。お忙しいところ申し訳ございません。

私は現在30歳で、5年ほど前から乳腺繊維線種の経過観察をしていました。右に大きめのものがひとつ、左には小さいものが複数あります。左側は細胞診など、なにもしていません(小さいので経過観察で十分とのこと)。右側は組織診で繊維線種(ただし葉状腫瘍の可能性もないことはない)と言われていました。

右側のしこりが5センチほどになったため、先日手術で摘出しました。本日病理検査の結果が出たのですが、繊維線種ではなく、葉状腫瘍との診断が出てしまいました。「表面平滑、境界明瞭、白色、弾力性硬。割面乳白色、多結節性。組織学的に葉状腫瘍、異型性に乏しい釣鐘型細胞を含む間質が見られ、その中に変形した入管が散在している。悪性所見なし」とのことですが、医師は繊維線種のつもりで手術を行ったため、マージンをほぼとらずに手術をしてくださったようです。その場合、再発防止のための再手術は必要かと質問したところ、「そこまでする必要はとりあえずないでしょう」「つるっと、きれいに取れましたし」のようなことを仰っていました。先生方は終始笑顔で、「次は三か月後に来てね。とりあえずもう安心だよ。あと一回来たら、(この大学病院は遠いだろうし混むから)次は家の近所の病院で経過観察してもらってね」と元気付けてくださったので、いったんは安心しました。しかし家に帰ってからネットで調べたところ、葉状腫瘍は良性でも再発したり、それが悪性に変わったり、悪いときだと肺などに遠隔転移し、その場合は抗がん剤などがきかず、治療法がない怖い病気である、ということがわかりました。
なんだかとても不安になってしまって、本当にこのまま何もせずに3か月後の定期検診を待っていていいものかどうか、悩み始めました。心配のしすぎなのかもしれません。しかし葉状腫瘍がきわめて稀な病気であるということが不安であり、どうしたらいいかわかりません。
なにかアドバイスいただけませんでしょうか。

花川 さんのコメント...

さきほどコメントしたものです。

診断結果に取り乱してしまい、注意事項をきちんと読まずにコメントしてしまい、申し訳なく思っております…。
私の方からコメント取り消しができないようですので、問題がありましたら削除していただいてもかまいません。すみませんでした。

hidechin さんのコメント...

>花川さん
はじめまして。
確かに葉状腫瘍は良性でも局所再発しますし、局所再発を繰り返すうちに悪性化することもあると言われています。
ただ花川さんのように線維腺腫だと思って摘出したら葉状腫瘍だったというケースはたまにあります。そういう場合には、追加切除できる余裕がある場合には追加切除をお勧めしています(腫瘤から最低1cm、可能であれば2cm離して切除するのが望ましいという意見が多いと思います)。ただ腫瘤の大きさと部位、乳房の大きさによって、追加切除すると変形が強くなると予想される場合はそのまま経過観察するケースもあります。先日も乳頭近傍で皮膚にも近い良性葉状腫瘍(これも針生検で線維腺腫という診断でした)を摘出したケースがありましたが、追加切除するとかなり変形が強くなり、しかも結局皮膚側の距離は確保できないということもあって、患者さんとご相談して経過観察となったケースがありました。ただ厳重な経過観察は必要です。
ですから花川さんの場合もこのような状況だったのではないでしょうか?追加切除するかどうかは個々で判断が異なると思います。もし不安でしたらセカンドオピニオンという方法もありますので主治医とご相談なさってみてはいかがでしょうか?
以上です。

花川 さんのコメント...

お返事ありがとうございました。
やはりセカンドオピニオン…と思い、本日別の病院にかかりましたが、大学病院の主治医と同じく「追加切除必要なし、経過観察」とのはっきりした診断でしたので、従うことにしました。手術後はじめてエコーをとってもらったのですが、うみなどもなくきれいに取れているとのことでした。再発しないといいなと思います。
昨日はかなり思いつめていましたので、救われました。本当にありがとうございました。
今後も読ませていただきます。

hidechin さんのコメント...

>花川さん
良い経過であることをお祈りしています。
それではお大事に!

ひろ さんのコメント...

はじめまして。突然のコメントすみません。
私は現在30歳、5ヶ月の子供がおり授乳中です。先日、胸に(乳首の真下辺り)しこりを発見して、総合病院の外科で診ていただきました。
最初に触診で、先生も「しこりあるけど、悪いものではないと思う…授乳中だからエコーしてみましょう」と言われ、先生ではない女性の方にエコーをしていただきました。
しこりがある所を診ていただいても、何もうつらなかったのか、何度も「ここですよね?」と聞かれたり、しこりを摘まんでその上からエコーを当てたのですが、よく分からなかったようです。
結構丁寧に診てくれていたようには思います。
エコーが終わり、女性の方には特に何も言われないまま先生の所に話を聞きに行きました。
先生は「腫瘤はありませんでした。」とだけで、私が「乳がんではないということですか?」と聞くと「はい」と言われ、特にしこりが何なのか言っていただけませんでした。
私が「しこりはなくならないのですか」と聞くと「なくならないでしょうね〜」と言われました。
私は特に問題ないのだろうと思い、それ以上は聞かず帰りました。
悪いものではないのだろうという気持ちで安心してしまい、ささっと病院を後にしてしまったのですが、じゃあしこりは何なんだろう?とか、今回エコーにうつらなかったけど、悪いものだったらどうしよう…とか考えてしまって。
今でもしこりはありますし、授乳させても消えません。
もう一度、他院で診ていただいた方が良いでしょうか。
それから、やはり授乳中はマンモグラフィはできないのでしょうか。
しこりに触れる度に不安になってしまいます…

hidechin さんのコメント...

>ひろさん
はじめまして。

実際に画像を見ていない私が無責任に診断することはできません。ただもしそのエコー技師の所見と担当医の判断がその通りであれば、しこりとして感じたものは乳腺自体の硬結なのだと思います。

硬結を作る原因としては、授乳期であれば母乳の流れが良くない部分の可能性がありますし、授乳期と無関係であれば乳腺症の可能性もあります。無症状であればどちらも治療の必要はありません。ただしこれはあくまでも本当に腫瘍がないのであれば、という前提での一般論です。もし疑問があるのであればその場で、もしくは再診してでもきちんと確認すべきだと思います。

その上で納得がいかなければセカンドオピニオンを受けるのも良いとは思いますが、本当に何もないのにそれを疑われてしまうと私たち乳腺外科医も辛いものがあります。ただきっと説明が不十分だったために疑問を持たれたのだと思いますので、まずはもう一度説明を受けることをお勧めします。

マンモグラフィに関しては私は積極的に悪性を疑う所見がなければあまりお勧めしません。圧迫によるトラブルを避けるためです。

トップページの注意事項をご一読いただければ幸いです。何もなければ良いですね。それではお大事に。