手術や化学療法、放射線治療を”がんの3大治療”と呼び、これを悪者扱いする人たちが未だにいらっしゃいます。彼らはこんなふうに主張し、3大治療を否定します。
”局所治療である手術では、全身病であるがんを治すことはできず、逆に後遺症で苦しむことになる”
”放射線治療は放射能を使う治療だから新たながんを発生させるので害にしかならない”
”抗がん剤は毒だから、副作用は苦しいし、免疫力を下げるのでかえって死期を早める”
もしこのような考え方が正しいのであれば、ここ数十年で飛躍的に進歩したこれらの治療によって、予後はかえって悪くなっているはずです(もちろん私たち現代医学を信じる医療従事者はそのようには考えていませんが…)。
その答えの一つが第33回サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表されます。
米国のテキサス大学MDアンダーソンセンターで治療を受けた過去60年間の乳がん患者さんの治療成績が報告されるということですが、シンポジウムに先立って、その内容が発表されました。
結論から言うと、「乳がんの治療成績は過去60年間で飛躍的に改善している」ということです!!
(まあ当然と言えば当然ですが…)
10年単位の患者さんをステージ別に分類し、その初回診察時からの生存率を解析してみると、5年生存率、10年生存率ともに、全ステージにおいて年代を経るごとに改善していたということです。
例としてステージ4(初診時に転移を有する乳がん)の10年生存率をみてみると…
1944-1954年 3.3%
1985-1994年 22.2%
と、約7倍に改善していたということです。
これは明らかに化学療法、内分泌療法、放射線治療、手術などの治療の進歩による成果だと考えられます(ステージ4に関しては放射線治療、手術療法の効果は限定的)。この進歩というのは、新規薬剤の開発だけではなく、志のある多くの医師と研究者が、これらの治療の適切な使い方を真摯に追求してきた結果なのだと思います。
もちろん、手術には後遺症(痛みやむくみなど)、放射線治療には副作用(間質性肺炎や皮膚炎など)、そして化学療法にも苦痛な副作用があるのは否定できない事実です。しかし、患者さんたちは、この治療を受けることによってがんを克服できる可能性が高くなると信じて頑張っているのです。今回はそれを証明した一つのデータだと思います。
こういう事実を見て、3大治療を否定しようとする人たちはどう反論するのでしょうか?
乳癌が心配だけど、どこに受診したらいいかわからない、乳癌になってしまって不安…、再発したからもうだめかもしれない…。そんな不安や悩みに少しでもお役に立てればと思って始めてみました。 (*投稿内容と無関係なコメント、病状のご相談はご遠慮願います*)
2010年12月9日木曜日
2010年12月7日火曜日
抗癌剤の副作用11 手足症候群
手足症候群は、手足の皮膚細胞が障害を受けることによって起きる副作用です。
症状によって、次のようにグレード分類されます(CTCAE V3.0 日本語訳 JCOG/JSCO版 手足皮膚反応のグレード判定基準)。
グレード1 疼痛を伴わない軽微な皮膚の変化または皮膚炎(紅斑など)
グレード2 機能障害のない皮膚の変化(角層剥離、水疱、出血、腫脹など)または疼痛
グレード3 潰瘍性皮膚炎または疼痛による機能障害を伴う皮膚の変化
発生機序:正確な発症機序は不明。皮膚基底細胞の増殖能の阻害,エクリン汗腺からの薬剤分泌などが原因として考えられています。
発症頻度:ゼローダにおいては、3週投与1週休薬(A法)で51.9%(グレード2以上は23.6%)と報告されています。
原因薬剤:5FU系(5FU注、ゼローダ、フルツロン、TS-1など)でよく見られます。他にタキサン系(ドセタキセル、パクリタキセル)、アンスラサイクリン系(ドキソルビシンなど)、メソトレキセートでも起きることがあります。また乳がんへの適応はありませんが、ソラフェニブやスニチニブなどの分子標的薬でも起きると言われています。
治療:確立した治療法はありません。グレード2以上では抗癌剤投与中止が望ましいと言われています。そのまま継続すると薬剤終了後も症状が続くことがあります。非薬物療法としては、手足の安静、挙上,冷却などがあります。薬物療法では、局所には保湿クリームの塗布、ステロイドの外用が有効です。内服治療としてはリン酸ピリドキサール(ビタミンB6)錠(ピドキサール®)を投与します。ゼローダ投与時には、私は予防的にこの薬を内服してもらっていますが、重篤な手足症候群はほとんどみられなくなりました。
日常の注意点:
①皮膚を清潔にし,乾燥を避ける→低刺激性石けん、保湿剤を使用
③過度の荷重や機械的刺激(熱、摩擦、ジョギングなど)を避ける→やわらかいパッドなどを患部に当てる
余談ですが…私の父は7年前に大腸癌で亡くなりました。肝転移を伴う進行癌で見つかったため、根治手術はできず5FUの持続点滴を行なっていましたが、途中からひどい手足症候群に悩まされていました。あのころはピドキサールの内服が有効であることも知らず、主治医の指示のまま治療を継続していたため、途中から痛みで歩くこともできなくなってしまいました。亡くなる直前までこの治療を自宅で受けさせてしまったことは今でも後悔しています。全身状態を考えると、もう少し早くに治療を中止して緩和医療に移行してあげれば良かったと思っています。患者さんに手足症候群のお話をするときにはいつも父の痛々しい姿を思い出してしまいます。
症状によって、次のようにグレード分類されます(CTCAE V3.0 日本語訳 JCOG/JSCO版 手足皮膚反応のグレード判定基準)。
グレード1 疼痛を伴わない軽微な皮膚の変化または皮膚炎(紅斑など)
グレード2 機能障害のない皮膚の変化(角層剥離、水疱、出血、腫脹など)または疼痛
グレード3 潰瘍性皮膚炎または疼痛による機能障害を伴う皮膚の変化
発生機序:正確な発症機序は不明。皮膚基底細胞の増殖能の阻害,エクリン汗腺からの薬剤分泌などが原因として考えられています。
発症頻度:ゼローダにおいては、3週投与1週休薬(A法)で51.9%(グレード2以上は23.6%)と報告されています。
原因薬剤:5FU系(5FU注、ゼローダ、フルツロン、TS-1など)でよく見られます。他にタキサン系(ドセタキセル、パクリタキセル)、アンスラサイクリン系(ドキソルビシンなど)、メソトレキセートでも起きることがあります。また乳がんへの適応はありませんが、ソラフェニブやスニチニブなどの分子標的薬でも起きると言われています。
治療:確立した治療法はありません。グレード2以上では抗癌剤投与中止が望ましいと言われています。そのまま継続すると薬剤終了後も症状が続くことがあります。非薬物療法としては、手足の安静、挙上,冷却などがあります。薬物療法では、局所には保湿クリームの塗布、ステロイドの外用が有効です。内服治療としてはリン酸ピリドキサール(ビタミンB6)錠(ピドキサール®)を投与します。ゼローダ投与時には、私は予防的にこの薬を内服してもらっていますが、重篤な手足症候群はほとんどみられなくなりました。
日常の注意点:
①皮膚を清潔にし,乾燥を避ける→低刺激性石けん、保湿剤を使用
③過度の荷重や機械的刺激(熱、摩擦、ジョギングなど)を避ける→やわらかいパッドなどを患部に当てる
余談ですが…私の父は7年前に大腸癌で亡くなりました。肝転移を伴う進行癌で見つかったため、根治手術はできず5FUの持続点滴を行なっていましたが、途中からひどい手足症候群に悩まされていました。あのころはピドキサールの内服が有効であることも知らず、主治医の指示のまま治療を継続していたため、途中から痛みで歩くこともできなくなってしまいました。亡くなる直前までこの治療を自宅で受けさせてしまったことは今でも後悔しています。全身状態を考えると、もう少し早くに治療を中止して緩和医療に移行してあげれば良かったと思っています。患者さんに手足症候群のお話をするときにはいつも父の痛々しい姿を思い出してしまいます。
2010年12月6日月曜日
抗癌剤の副作用10 末梢神経障害(しびれなど)
末梢神経障害(しびれ、刺すような痛み、灼熱感、感覚異常、自律神経障害、味覚障害など)は、筋肉痛や関節痛と同様にタキサン系抗がん剤でよくみられる不快な副作用です。他にもビンカアルカロイド系抗がん剤(ナベルビンなど)でも生じます。この副作用は筋肉痛や関節痛と異なり、投与回数を重ねるごとに発症頻度が高くなります。
発症機序:前回書いたように、タキサン系抗がん剤は微小管の働きを妨げるため、神経細胞の軸索の働きを傷害することが原因と考えられています。
発症頻度:パクリタキセルの日本国内の第II相試験においては、65.1%と報告されています。外国の第II相試験においても末梢神経障害は59.2%と高率でした。
治療:冷浴しながらのマッサージ、保温、水とお湯に交互につける、ゴムまりを使った運動療法などの非薬物療法のほか、薬物療法として、漢方薬(牛車腎気丸7.5g/日、芍薬甘草湯7.5g/日、疎経活血湯7.5g/日…)やビタミン剤(VitB6、B12)、グルタミン(用量は筋肉痛・関節痛の記載を参照して下さい…2g/日から30g/日までかなり幅があります)、鎮痛剤(非麻薬性、麻薬性)、三環性抗うつ薬(トリプタノールなど)、抗てんかん薬(ランドセンなど)、COX2阻害剤(モービックなど)が投与されますが、効果がみられない場合もあります。
日常の注意点:知覚が低下しているためやけどには注意が必要です。スリッパを履いている時などはつまづきやすい場合もあります。
末梢神経障害の予防法は確立しておらず、確実に根治を期待できる治療法もありません。ほとんどは軽快し、日常生活に支障がなくなりますが、たまに長期にわたって症状を訴える患者さんもいらっしゃいます。ですから症状の早期発見、早期対応が重要なのです。
発症機序:前回書いたように、タキサン系抗がん剤は微小管の働きを妨げるため、神経細胞の軸索の働きを傷害することが原因と考えられています。
発症頻度:パクリタキセルの日本国内の第II相試験においては、65.1%と報告されています。外国の第II相試験においても末梢神経障害は59.2%と高率でした。
治療:冷浴しながらのマッサージ、保温、水とお湯に交互につける、ゴムまりを使った運動療法などの非薬物療法のほか、薬物療法として、漢方薬(牛車腎気丸7.5g/日、芍薬甘草湯7.5g/日、疎経活血湯7.5g/日…)やビタミン剤(VitB6、B12)、グルタミン(用量は筋肉痛・関節痛の記載を参照して下さい…2g/日から30g/日までかなり幅があります)、鎮痛剤(非麻薬性、麻薬性)、三環性抗うつ薬(トリプタノールなど)、抗てんかん薬(ランドセンなど)、COX2阻害剤(モービックなど)が投与されますが、効果がみられない場合もあります。
日常の注意点:知覚が低下しているためやけどには注意が必要です。スリッパを履いている時などはつまづきやすい場合もあります。
末梢神経障害の予防法は確立しておらず、確実に根治を期待できる治療法もありません。ほとんどは軽快し、日常生活に支障がなくなりますが、たまに長期にわたって症状を訴える患者さんもいらっしゃいます。ですから症状の早期発見、早期対応が重要なのです。
2010年12月5日日曜日
抗癌剤の副作用9 筋肉痛・関節痛
タキサン系抗がん剤(ドセタキセル、パクリタキセル)の特有の副作用として筋肉痛と関節痛があります。命に関わるような副作用ではありませんが、一度発症すると非常につらいようで、なかなか良い治療もないためやっかいです。症状は、タキサン投与後2-3日で発現し、数日でおさまると書いてある説明書もありますが、もっと長く続く場合もあります。この症状は毎クール出現することが多いようです。
原因:あまり詳しくはわかっていないようです。関節痛と筋肉痛が同じ機序によるものなのか不明ですし、しびれの原因とごちゃまぜになっている説明書もあります。一般にタキサン系のような微小管をターゲットにする抗がん剤は、その副作用として神経細胞の軸索の働きを傷害し、しびれや感覚障害や痛みなどの末梢神経障害の副作用を引き起こします。これが関節痛・筋肉痛の原因であるかのように書いているものもありますが、私が診ている限り、タキサンによる筋肉痛や関節痛は神経痛とは違うように感じます。
一方、筋肉内に多く含まれるL-グルタミンは筋肉の蛋白合成に強く関与していて、タキサン系抗がん剤使用時に筋肉内のL-グルタミンの消費が亢進し相対的に不足するとされています。これが筋肉痛の原因の一つかもしれません。関節痛の原因について明確に書かれている文献は私はまだ見たことがありません。
発症頻度:パクリタキセルの国内臨床試験成績によると、関節痛(40.3%)、筋肉痛(36.3%)と約3人に1人が発症していました(臨床試験によってはもっと少なく報告しているものもありますが、印象としてはこのくらいあると思います)。
治療:症状に合わせて消炎鎮痛剤(軽度では非ステロイド系鎮痛剤、中等度ではステロイド)を投与したり(薬剤投与後2-5日に予防投与するのも効果的)、芍薬甘草湯(薬剤投与2日前から7.5g/日を内服)もよく使用されますが、あまり効果がみられないことも多いようです。症状が強い場合(重度)では麻薬を用いることもあるようですが、私は今のところこの副作用に対して麻薬を投与したことはありません。ある施設では、L-グルタミン(胃薬のマーズレンSに含まれている)をパクリタキセルの翌日夕より内服開始し、1回量4g、1日5回で良好な結果が得られたと報告しています。もっと少ない量でも効果があったという報告もあります(1.5-30g/日)。これは筋肉痛に対してのみなのか、関節痛にも効いたのかについては不明です。
しびれやむくみとともに非常にわずらわしい副作用ですが、これらの副作用は通常、治療が終了すればおさまってきます。後遺症として残ることはほとんどありませんので、あまり心配しすぎないことも大切なことです。
原因:あまり詳しくはわかっていないようです。関節痛と筋肉痛が同じ機序によるものなのか不明ですし、しびれの原因とごちゃまぜになっている説明書もあります。一般にタキサン系のような微小管をターゲットにする抗がん剤は、その副作用として神経細胞の軸索の働きを傷害し、しびれや感覚障害や痛みなどの末梢神経障害の副作用を引き起こします。これが関節痛・筋肉痛の原因であるかのように書いているものもありますが、私が診ている限り、タキサンによる筋肉痛や関節痛は神経痛とは違うように感じます。
一方、筋肉内に多く含まれるL-グルタミンは筋肉の蛋白合成に強く関与していて、タキサン系抗がん剤使用時に筋肉内のL-グルタミンの消費が亢進し相対的に不足するとされています。これが筋肉痛の原因の一つかもしれません。関節痛の原因について明確に書かれている文献は私はまだ見たことがありません。
発症頻度:パクリタキセルの国内臨床試験成績によると、関節痛(40.3%)、筋肉痛(36.3%)と約3人に1人が発症していました(臨床試験によってはもっと少なく報告しているものもありますが、印象としてはこのくらいあると思います)。
治療:症状に合わせて消炎鎮痛剤(軽度では非ステロイド系鎮痛剤、中等度ではステロイド)を投与したり(薬剤投与後2-5日に予防投与するのも効果的)、芍薬甘草湯(薬剤投与2日前から7.5g/日を内服)もよく使用されますが、あまり効果がみられないことも多いようです。症状が強い場合(重度)では麻薬を用いることもあるようですが、私は今のところこの副作用に対して麻薬を投与したことはありません。ある施設では、L-グルタミン(胃薬のマーズレンSに含まれている)をパクリタキセルの翌日夕より内服開始し、1回量4g、1日5回で良好な結果が得られたと報告しています。もっと少ない量でも効果があったという報告もあります(1.5-30g/日)。これは筋肉痛に対してのみなのか、関節痛にも効いたのかについては不明です。
しびれやむくみとともに非常にわずらわしい副作用ですが、これらの副作用は通常、治療が終了すればおさまってきます。後遺症として残ることはほとんどありませんので、あまり心配しすぎないことも大切なことです。
2010年12月4日土曜日
待望の女性乳腺外科医!
乳癌学会の抄録、1時間で書き終えました。抄録を書くのは嫌いじゃないんです。今回は症例報告なのでささっと書いちゃいました。本格的な準備はまだ先です。
これから来春こちらに戻ってくる道東の関連病院の女医さんの分の抄録準備に取りかかる予定です。私はずっと長い間、女性の乳腺外科医が仲間になってくれるのを待っていました。
何度か可能性を期待したことはありました。
1度目は私より少し先輩の女医さんでした。外科所属だったのですが、途中で婦人科に転科してしまいました。
2度目は他の病院から移って来た女医さんでした。消化器外科医希望でしたが、職場に慣れずにかなり苦労していたため、負担の軽い乳腺外科への変更を勧めましたが、結局退職してしまいました。
3度目はやはり消化器外科に興味を持って入って来た女医さんでした。外科所属になった直後から乳腺にも興味を持っていて、マンモグラフィ読影医の資格試験を受けたり、乳癌学会に所属したりしていたため、乳腺外科に心が傾いてくれないかと期待したのですが、迷った末に結局初志貫徹で消化器外科(胃)の専門研修に出ることが決まりました。
そしてそうやく道東で外科研修をしていたN先生が来春から本格的に乳腺外科をやってくれることになったのです。これでようやく私の肩の荷が降ります。G先生の他にもう一人後継者を見つけたし、症例検討会も軌道に乗ってきたし、技師さんたちの技量も十分にアップしたし…もう私がここでやるべきことはなくなってきました。
さて、これから何をしようかな…。
これから来春こちらに戻ってくる道東の関連病院の女医さんの分の抄録準備に取りかかる予定です。私はずっと長い間、女性の乳腺外科医が仲間になってくれるのを待っていました。
何度か可能性を期待したことはありました。
1度目は私より少し先輩の女医さんでした。外科所属だったのですが、途中で婦人科に転科してしまいました。
2度目は他の病院から移って来た女医さんでした。消化器外科医希望でしたが、職場に慣れずにかなり苦労していたため、負担の軽い乳腺外科への変更を勧めましたが、結局退職してしまいました。
3度目はやはり消化器外科に興味を持って入って来た女医さんでした。外科所属になった直後から乳腺にも興味を持っていて、マンモグラフィ読影医の資格試験を受けたり、乳癌学会に所属したりしていたため、乳腺外科に心が傾いてくれないかと期待したのですが、迷った末に結局初志貫徹で消化器外科(胃)の専門研修に出ることが決まりました。
そしてそうやく道東で外科研修をしていたN先生が来春から本格的に乳腺外科をやってくれることになったのです。これでようやく私の肩の荷が降ります。G先生の他にもう一人後継者を見つけたし、症例検討会も軌道に乗ってきたし、技師さんたちの技量も十分にアップしたし…もう私がここでやるべきことはなくなってきました。
さて、これから何をしようかな…。
2010年12月3日金曜日
第19回 日本乳癌学会総会 演題申し込み
乳癌検診学会が終わったばかりなのに、もう来年の乳癌学会の締め切りが21日に迫っています。
まだ抄録には手を付けていませんが、今回は少し楽をして症例報告にしようかと思っています。
来年の乳癌学会総会は、2011.6.30-7.2までの3日間、仙台で開催されます。今までは会期は2日間でしたが、参加者と演題数の増加により、今回から3日間に変更になりました。
仙台での乳がん関連の学会は比較的多くて、自分自身の参加は今回がたぶん4回目くらいになると思います。いつもなかなか時間が取れなくて、観光はほとんど行ったことがありません(青葉城資料展示館くらいです)。今回は3日目が午前で終わるようなので少し観光に行きたいなと思っています。仙台は、牛タン、牡蠣(時期ではありませんが)、笹かまぼこなど美味しいものがいっぱいあります。先日東北大学に視察に行った時に飲んだ地酒も美味しかったです。学会に参加するときは、その土地の名物を食べるのもとても楽しみです!
(会場の仙台国際センターに向かう時には広瀬川を渡ります。青葉城趾を見ながら橋を歩いていると自然にさとう宗幸の「青葉城恋唄」が頭に浮かんでくるのは私だけでしょうか?)
まだ抄録には手を付けていませんが、今回は少し楽をして症例報告にしようかと思っています。
来年の乳癌学会総会は、2011.6.30-7.2までの3日間、仙台で開催されます。今までは会期は2日間でしたが、参加者と演題数の増加により、今回から3日間に変更になりました。
仙台での乳がん関連の学会は比較的多くて、自分自身の参加は今回がたぶん4回目くらいになると思います。いつもなかなか時間が取れなくて、観光はほとんど行ったことがありません(青葉城資料展示館くらいです)。今回は3日目が午前で終わるようなので少し観光に行きたいなと思っています。仙台は、牛タン、牡蠣(時期ではありませんが)、笹かまぼこなど美味しいものがいっぱいあります。先日東北大学に視察に行った時に飲んだ地酒も美味しかったです。学会に参加するときは、その土地の名物を食べるのもとても楽しみです!
(会場の仙台国際センターに向かう時には広瀬川を渡ります。青葉城趾を見ながら橋を歩いていると自然にさとう宗幸の「青葉城恋唄」が頭に浮かんでくるのは私だけでしょうか?)
2010年12月2日木曜日
高齢者の手術はどこまですべきか?
私たちの病院は高齢の患者さんが多いため、乳がんで手術をする患者さんも高齢者の比率が高いです。以前調べてみたら、乳がん手術患者さんの3人に1人は70才以上でした。これはおそらく乳腺クリニックやがんセンターの比率とはかなり異なると思います。
一般的に高齢者に対しては過大な侵襲を避けるように心がけています。全身麻酔が危険なほど全身状態が悪い患者さんにはホルモン療法のみにしたり、多少大きくても局所麻酔で部分切除のみにしたりしています。全身麻酔可能であっても、リンパ節転移の可能性が低い場合には腋窩には手をつけない場合もあります。ただセンチネルリンパ節生検をするようになってからは、センチネルリンパ節生検まではすることが多くなっています。
私が外来で診ている患者さんで、いま80代半ばの方がいらっしゃいます。この患者さんは、初回手術のときに腋窩に明らかなリンパ節転移が1個ありました。この時すでに80才くらいで少し持病をお持ちだったため、腋窩リンパ節はLevel1までの”軽い”郭清にして乳房温存術を行ないました。しかし、2年もたたないうちに郭清した腋窩の奥にリンパ節再発をきたしたのです。
この患者さんはトリプル・ネガティブでした。ホルモン療法は無効です。しかし強い抗がん剤を投与するには年齢的に厳しいと考えたため、結局切除することになりました。全身麻酔で問題なく再郭清を行ない、その後内服の抗がん剤を2年服用し、再手術から3年、どこにも再発しておらず元気に通院されています。
結果的には初回手術の時に定型的な郭清をしていたら再手術はしなくてすんだ症例です。初回手術時の判断が完全に間違っていたとは思いませんが(年齢的にはこの間に他の病気で命を落とす可能性もあったため)、年齢だけで治療を決めつけてもいけないということを考えさせられました。
トリプル・ネガティブなのに内服の抗がん剤(フルツロン)のみで再発していない、というのも興味深いですね。前にある先生の講演で、内服の5FU製剤(UFTやフルツロンなど)が案外、トリプル・ネガティブにも効果があったという話を聞いたことがあります。暴れん坊のトリプル・ネガティブにマイルドな内服の抗がん剤が効くことがあるというのは不思議だけど本当なんですね!
一般的に高齢者に対しては過大な侵襲を避けるように心がけています。全身麻酔が危険なほど全身状態が悪い患者さんにはホルモン療法のみにしたり、多少大きくても局所麻酔で部分切除のみにしたりしています。全身麻酔可能であっても、リンパ節転移の可能性が低い場合には腋窩には手をつけない場合もあります。ただセンチネルリンパ節生検をするようになってからは、センチネルリンパ節生検まではすることが多くなっています。
私が外来で診ている患者さんで、いま80代半ばの方がいらっしゃいます。この患者さんは、初回手術のときに腋窩に明らかなリンパ節転移が1個ありました。この時すでに80才くらいで少し持病をお持ちだったため、腋窩リンパ節はLevel1までの”軽い”郭清にして乳房温存術を行ないました。しかし、2年もたたないうちに郭清した腋窩の奥にリンパ節再発をきたしたのです。
この患者さんはトリプル・ネガティブでした。ホルモン療法は無効です。しかし強い抗がん剤を投与するには年齢的に厳しいと考えたため、結局切除することになりました。全身麻酔で問題なく再郭清を行ない、その後内服の抗がん剤を2年服用し、再手術から3年、どこにも再発しておらず元気に通院されています。
結果的には初回手術の時に定型的な郭清をしていたら再手術はしなくてすんだ症例です。初回手術時の判断が完全に間違っていたとは思いませんが(年齢的にはこの間に他の病気で命を落とす可能性もあったため)、年齢だけで治療を決めつけてもいけないということを考えさせられました。
トリプル・ネガティブなのに内服の抗がん剤(フルツロン)のみで再発していない、というのも興味深いですね。前にある先生の講演で、内服の5FU製剤(UFTやフルツロンなど)が案外、トリプル・ネガティブにも効果があったという話を聞いたことがあります。暴れん坊のトリプル・ネガティブにマイルドな内服の抗がん剤が効くことがあるというのは不思議だけど本当なんですね!
登録:
投稿 (Atom)