2010年12月6日月曜日

抗癌剤の副作用10 末梢神経障害(しびれなど)

末梢神経障害(しびれ、刺すような痛み、灼熱感、感覚異常、自律神経障害、味覚障害など)は、筋肉痛や関節痛と同様にタキサン系抗がん剤でよくみられる不快な副作用です。他にもビンカアルカロイド系抗がん剤(ナベルビンなど)でも生じます。この副作用は筋肉痛や関節痛と異なり、投与回数を重ねるごとに発症頻度が高くなります。

発症機序:前回書いたように、タキサン系抗がん剤は微小管の働きを妨げるため、神経細胞の軸索の働きを傷害することが原因と考えられています。

発症頻度:パクリタキセルの日本国内の第II相試験においては、65.1%と報告されています。外国の第II相試験においても末梢神経障害は59.2%と高率でした。

治療:冷浴しながらのマッサージ、保温、水とお湯に交互につける、ゴムまりを使った運動療法などの非薬物療法のほか、薬物療法として、漢方薬(牛車腎気丸7.5g/日、芍薬甘草湯7.5g/日、疎経活血湯7.5g/日…)やビタミン剤(VitB6、B12)、グルタミン(用量は筋肉痛・関節痛の記載を参照して下さい…2g/日から30g/日までかなり幅があります)、鎮痛剤(非麻薬性、麻薬性)、三環性抗うつ薬(トリプタノールなど)、抗てんかん薬(ランドセンなど)、COX2阻害剤(モービックなど)が投与されますが、効果がみられない場合もあります。

日常の注意点:知覚が低下しているためやけどには注意が必要です。スリッパを履いている時などはつまづきやすい場合もあります。

末梢神経障害の予防法は確立しておらず、確実に根治を期待できる治療法もありません。ほとんどは軽快し、日常生活に支障がなくなりますが、たまに長期にわたって症状を訴える患者さんもいらっしゃいます。ですから症状の早期発見、早期対応が重要なのです。

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