今日は月1回の症例検討会の日でした。
今回から新たなメンバー(他院)2人も参加していただき、熱い討議が行なわれました。
症例は4例。
①マンモグラフィでは異常なし(カテゴリー1)でしたが、触診で乳腺症があったため念のためお勧めした超音波検査で発見された3mmの非浸潤癌。微小で、一見乳腺症のムラのように見える病変でしたが細胞診を施行。ClassⅢ(鑑別困難)だったため針生検を行ない、うまく診断できた症例でした。
②乳管腺腫(ductal adenoma)の症例。前回の超音波で指摘されていなかったため精査になった症例。細胞診はClassⅢ(鑑別困難)。MRでは悪性パターン(ductal adenomaではあり得ます)を呈していた症例でした。
③マンモグラフィで4cm近くのFAD(局所的非対称性陰影)で発見された、大部分が非浸潤癌だった症例。超音波画像では一見、硬癌様の陰影欠損を呈していました。
④自覚から7年経過した高齢者乳がん。超音波画像的には粘液癌か嚢胞内癌の嚢胞外浸潤を伴ったものか意見が分かれる症例でした。結果的には嚢胞内癌の嚢胞外浸潤症例でした。
今回のミニレクチャーは「ダイナミックMRの造影パターンと良悪の診断〜悪性所見を呈する良性腫瘍」についてでした。毎回毎回、この会を準備してくれる超音波技師、放射線技師の皆さんには頭が下がります。4例とはいえ、診療の合間や時間外(自宅でも)にカルテ内容のコピー、画像の取り込みやスライド作り、そしてミニレクチャーの勉強など、毎月準備するのはなかなか大変な作業なのです。
せっかく技師さんたちが頑張って準備してくれる会なので、なんとか参加者が「来てよかった!」と思ってくれるような会にしていきたいと思っています。
私がこの準備に関わってずいぶん月日が経ちましたが、技師さんたちからも意見が出たように、だんだんマンネリ化してきているのではないかというのが今年の春先課題でした。その後彼女たちのアイデアと工夫(超音波動画の導入や超音波写真の提示、フィルムリーディング形式の記入用紙の準備、外部からの講師の依頼など)でこの半年の間でかなりバージョンアップしたと思います。
ただ、同じ人間が指導者として長く関わるとマンネリ化の原因になってしまうのではないかという危惧もあります。一度この任を離れて、新しい風をG先生に入れてもらい、外から見てみるのも悪くないかな…なんて思っています。
乳癌が心配だけど、どこに受診したらいいかわからない、乳癌になってしまって不安…、再発したからもうだめかもしれない…。そんな不安や悩みに少しでもお役に立てればと思って始めてみました。 (*投稿内容と無関係なコメント、病状のご相談はご遠慮願います*)
2010年9月29日水曜日
2010年9月28日火曜日
マンモグラフィ検診の実質的死亡率低下はわずか10%!?
2002年に世界保健機構(WHO)は,ランダム化比較試験(RCT)の結果から,50~69歳を対象にしたマンモグラフィ検診は乳がん死亡率を25%下げると結論しました。しかし,他のRCTで報告されたマンモグラフィの診断能を巡って,今なお検診導入に対する議論が続いています(以前ここでも書きました)。
今のところ、日本乳癌検診学会(http://www.jabcs.jp/)の見解としては、従来通り40才以上の女性に対する隔年のマンモグラフィ検診を推奨する立場をとっています。
ところが今回ノルウエーから興味深い報告が発表されました。概要は以下の通りです。
N Engl J Med9月23日オンライン版によると、ノルウエー乳がん検診プログラムの結果から検診導入地域の乳がん死亡率は同地域における導入以前の死亡率に比べて28%低下しましたが、検診未導入地域においても18%死亡率が低下していたため、実質的な死亡率の低下はわずか10%に過ぎなかったという結果でした。
検診未導入地域でも乳がん死亡率が低下したのは、乳がん治療の進歩や乳がんに対する認識の普及およびそれに伴う早期診断と治療などが影響(time effect)したものと考えられるということです。
「実質的10%の乳がん死亡率低下」というのは本当に少ないのかどうか、という疑問もあります。また、マンモグラフィ検診の普及によって、検診未導入地域においても自主的に医療機関で乳房検査を受ける人が増えたから乳がん死亡率も低下したのかもしれません。もしそうであればそれはマンモグラフィ検診の効果とも言えるのではないでしょうか?ですからこの研究結果をもって、マンモグラフィ検診の効果は乏しいとは言えないでしょう。分析の方法によって、考察や結論は変わる可能性があるのです。
これから先もこの議論は続くと思います。早く決着をつけたいものです。
今のところ、日本乳癌検診学会(http://www.jabcs.jp/)の見解としては、従来通り40才以上の女性に対する隔年のマンモグラフィ検診を推奨する立場をとっています。
ところが今回ノルウエーから興味深い報告が発表されました。概要は以下の通りです。
N Engl J Med9月23日オンライン版によると、ノルウエー乳がん検診プログラムの結果から検診導入地域の乳がん死亡率は同地域における導入以前の死亡率に比べて28%低下しましたが、検診未導入地域においても18%死亡率が低下していたため、実質的な死亡率の低下はわずか10%に過ぎなかったという結果でした。
検診未導入地域でも乳がん死亡率が低下したのは、乳がん治療の進歩や乳がんに対する認識の普及およびそれに伴う早期診断と治療などが影響(time effect)したものと考えられるということです。
「実質的10%の乳がん死亡率低下」というのは本当に少ないのかどうか、という疑問もあります。また、マンモグラフィ検診の普及によって、検診未導入地域においても自主的に医療機関で乳房検査を受ける人が増えたから乳がん死亡率も低下したのかもしれません。もしそうであればそれはマンモグラフィ検診の効果とも言えるのではないでしょうか?ですからこの研究結果をもって、マンモグラフィ検診の効果は乏しいとは言えないでしょう。分析の方法によって、考察や結論は変わる可能性があるのです。
これから先もこの議論は続くと思います。早く決着をつけたいものです。
グルコサミン、コンドロイチンそしてフコイダン
乳がんとは直接関係ありませんが、最近、サプリメント、民間療法薬のエビデンスについて報告が続いています。
まず、テレビCMで鬱陶しいほど放送している関節痛に良く効くかのような印象を与えるサプリメント、グルコサミンとコンドロイチンについてです。
今回の研究は英国医師会誌「BMJ」オンライン版に9月16日掲載されたものです。
この研究は3,800人強の膝または股関節の関節炎患者を対象とした10件の無作為化臨床試験の結果を分析。いずれの試験もサプリメント使用者群と非使用の対照群を比較したものでしたが、全データの検討の結果、コンドロイチンおよびグルコサミンには、関節痛または関節腔狭小化に臨床的に意義のある効果はないことが判明したとのことです。
ただし、現在服用中で効果を感じている人については、服用をやめなければならないような有害事象はないということで、お金がかかる以外の不利益はないので服用中止を勧告する必要はないということでした。もしアロマターゼ阻害剤の副作用による関節痛に、これらのサプリメントを服用している、もしくは服用を考えている方は参考にしてみて下さい。
次に、ネット上でがんに効果があると宣伝している(本来は薬事法違反の可能性があります)フコイダンについてです。乳がんに対する効果の大規模な無作為比較試験結果は聞いたことがありませんが、今回タカラバイオから発表されたのは、富山大学大学院医学薬学研究部の林利光教授との共同研究で、ガゴメ昆布由来のフコイダンに、抗インフルエンザウイルス作用のあることが確認されたという報告です。
ただ、これはマウスの実験でウイルス量を減少させたというだけであって、人体に対して臨床的に有効であることを確認したわけではありません。動物実験で、ある効果が確認されても臨床的にはまったく無効である例は星の数ほどあります。タカラバイオではサプリメントとして売り出すようですが、どのような効果をうたって発売するのでしょうか?どうせならきちんと人体における効果も比較試験で確認して欲しいものです。
最近はサプリメントの市場が大きな利益を上げているようです。この中には、その効能の表現の仕方が薬事法違反すれすれのものが多いのが気になります。「特定健康補助食品」という位置づけがあいまいなため、一般市民にとっては医薬品の代わりになると誤解されがちです。やはりサプリメントの類は、きちんと医師の診断を受けた上で相談してから服用すべきなのです。
まず、テレビCMで鬱陶しいほど放送している関節痛に良く効くかのような印象を与えるサプリメント、グルコサミンとコンドロイチンについてです。
今回の研究は英国医師会誌「BMJ」オンライン版に9月16日掲載されたものです。
この研究は3,800人強の膝または股関節の関節炎患者を対象とした10件の無作為化臨床試験の結果を分析。いずれの試験もサプリメント使用者群と非使用の対照群を比較したものでしたが、全データの検討の結果、コンドロイチンおよびグルコサミンには、関節痛または関節腔狭小化に臨床的に意義のある効果はないことが判明したとのことです。
ただし、現在服用中で効果を感じている人については、服用をやめなければならないような有害事象はないということで、お金がかかる以外の不利益はないので服用中止を勧告する必要はないということでした。もしアロマターゼ阻害剤の副作用による関節痛に、これらのサプリメントを服用している、もしくは服用を考えている方は参考にしてみて下さい。
次に、ネット上でがんに効果があると宣伝している(本来は薬事法違反の可能性があります)フコイダンについてです。乳がんに対する効果の大規模な無作為比較試験結果は聞いたことがありませんが、今回タカラバイオから発表されたのは、富山大学大学院医学薬学研究部の林利光教授との共同研究で、ガゴメ昆布由来のフコイダンに、抗インフルエンザウイルス作用のあることが確認されたという報告です。
ただ、これはマウスの実験でウイルス量を減少させたというだけであって、人体に対して臨床的に有効であることを確認したわけではありません。動物実験で、ある効果が確認されても臨床的にはまったく無効である例は星の数ほどあります。タカラバイオではサプリメントとして売り出すようですが、どのような効果をうたって発売するのでしょうか?どうせならきちんと人体における効果も比較試験で確認して欲しいものです。
最近はサプリメントの市場が大きな利益を上げているようです。この中には、その効能の表現の仕方が薬事法違反すれすれのものが多いのが気になります。「特定健康補助食品」という位置づけがあいまいなため、一般市民にとっては医薬品の代わりになると誤解されがちです。やはりサプリメントの類は、きちんと医師の診断を受けた上で相談してから服用すべきなのです。
2010年9月27日月曜日
乳腺センターという考え方
乳腺疾患を主に扱うのは外科です。しかし、外科の中でも乳腺は長い間、虐げられていました。以前は乳房切除は外科のがん手術の入門のようなものであり、誰にでもできるものとして軽んじられていたのです。私が研修に行ったがん専門病院でも、いまだにそのような言い方をする消化器外科医がいました。
乳腺疾患は外科の中でも特別です。外科の、特にがん診療において、乳がんだけは診断から手術、補助療法、再発治療、終末期まで外科で診るからです。他の領域でもすべて外科で診ている場合もありますが、乳がんだけは他科に委ねることは稀なのです(病院によっては、一時期腫瘍内科や緩和ケア科が乳がん患者さんを診るケースはありますが)。
ですから乳腺疾患を扱う専門医は、「乳腺外科専門医」ではなく、「乳腺専門医」なのです。このことに私は魅力を感じて乳腺外科医になったわけですし、その診療内容に誇りを感じて仕事をしてきました。一身上の都合により、手術からは離れていますが、それでも長くおつきあいする患者さんとの関係に生き甲斐を感じています。
いま新病院建設に向けて、会議を繰り返しています。この新病院のテーマの一つは、「センター構想」という考え方です。今まで消化器内科、消化器外科と分かれていたものを消化器センターとして同じ病棟で診療を展開する、というような考え方です。患者さんにとっても、病棟を移動することなく、専門の内科医、外科医がいる病棟で診療を受けられるのは大きなメリットだと考えています。
今の病院では乳腺は呼吸器外科、リウマチ内科、腎臓内科との混合病棟で診療しています。新病院では、呼吸器内科、外科と一緒になります。当初、「胸部疾患センター」という呼称にする話がありましたが、わかりにくいということで見直すことになりました。私としては、「呼吸器・乳腺センター(もしくは呼吸器センター・乳腺センター)」という呼称の要望を出していたのですが、なぜか「呼吸器センター・乳腺外科」という形になっていることが判明しました。
この間、センター構想についての展望や紹介を各領域の担当者が書くように言われ、私が「乳腺センター」について書いてきましたので、当然、乳腺もセンターなのだと思っていたのですが…。この点についてある責任あるDrに意見を聞いたところ、「乳腺はセンターじゃない」と言われました。
Googleで「乳腺センター」を検索すると約 381,000 件 ヒットします。この呼称が一般的になってきたのは、やはり乳腺診療が外科的な診療だけではないからだと思います。私たちの病院においても消化器や呼吸器のように内科と外科が結合しなくても、乳腺領域は最初から「センター」的な役割を果たしてきたわけです。
いまだに乳腺領域は「外道」だと思われて軽んじられているような非常に悲しい気持ちになりました。罹患率の増加とマスコミの報道によって、乳がんに対する世間の認知度は非常に高くなりました。しかし、医療関係者においてはまだまだステータスを得るには至っていないようです。もっと努力していかなければだめですね…。
乳腺疾患は外科の中でも特別です。外科の、特にがん診療において、乳がんだけは診断から手術、補助療法、再発治療、終末期まで外科で診るからです。他の領域でもすべて外科で診ている場合もありますが、乳がんだけは他科に委ねることは稀なのです(病院によっては、一時期腫瘍内科や緩和ケア科が乳がん患者さんを診るケースはありますが)。
ですから乳腺疾患を扱う専門医は、「乳腺外科専門医」ではなく、「乳腺専門医」なのです。このことに私は魅力を感じて乳腺外科医になったわけですし、その診療内容に誇りを感じて仕事をしてきました。一身上の都合により、手術からは離れていますが、それでも長くおつきあいする患者さんとの関係に生き甲斐を感じています。
いま新病院建設に向けて、会議を繰り返しています。この新病院のテーマの一つは、「センター構想」という考え方です。今まで消化器内科、消化器外科と分かれていたものを消化器センターとして同じ病棟で診療を展開する、というような考え方です。患者さんにとっても、病棟を移動することなく、専門の内科医、外科医がいる病棟で診療を受けられるのは大きなメリットだと考えています。
今の病院では乳腺は呼吸器外科、リウマチ内科、腎臓内科との混合病棟で診療しています。新病院では、呼吸器内科、外科と一緒になります。当初、「胸部疾患センター」という呼称にする話がありましたが、わかりにくいということで見直すことになりました。私としては、「呼吸器・乳腺センター(もしくは呼吸器センター・乳腺センター)」という呼称の要望を出していたのですが、なぜか「呼吸器センター・乳腺外科」という形になっていることが判明しました。
この間、センター構想についての展望や紹介を各領域の担当者が書くように言われ、私が「乳腺センター」について書いてきましたので、当然、乳腺もセンターなのだと思っていたのですが…。この点についてある責任あるDrに意見を聞いたところ、「乳腺はセンターじゃない」と言われました。
Googleで「乳腺センター」を検索すると約 381,000 件 ヒットします。この呼称が一般的になってきたのは、やはり乳腺診療が外科的な診療だけではないからだと思います。私たちの病院においても消化器や呼吸器のように内科と外科が結合しなくても、乳腺領域は最初から「センター」的な役割を果たしてきたわけです。
いまだに乳腺領域は「外道」だと思われて軽んじられているような非常に悲しい気持ちになりました。罹患率の増加とマスコミの報道によって、乳がんに対する世間の認知度は非常に高くなりました。しかし、医療関係者においてはまだまだステータスを得るには至っていないようです。もっと努力していかなければだめですね…。
2010年9月24日金曜日
定期検査で発見される乳がん
乳腺症などで定期的に乳房検査していると、一定の確率で乳がんが見つかります。
そういうときに、
”どうして前の検査では見つからなかったんですか?”
と患者さんに言われる事が時々あります。
お気持ちはわかりますが、冷静に考えてみると、もし半年(1年)前に発見できたとしてもやっぱり
”どうして前回は見つからなかったんですか?”
と言う気持ちになったはずです。どんなに注意深く観察しても検査には限界があるのです。
そういう時には、
”定期的に検査をしていたから、こんな小さな状態で自覚症状が出る前に見つかったんですよ!”
とお話するようにしています。
以前調べた「発見契機別の乳癌の特徴」の結果では、発見時のがんの平均の大きさは、「有症状群」>「検診発見群」>「定期検査発見群」の順番でしたので、やはり定期検査、特に超音波検査は小さな腫瘤の発見には非常に有用です。定期的な検査をする場合、治癒率が非常に高い1cm以下の状態で発見することを目標にしています。もちろん非浸潤癌の状態で発見するのがベストですが、がんの性質もありますのですべてを非浸潤癌で発見するのは困難なのです。
しかし、定期的に検査していても1cm以上で発見されることはあります。それでもほとんどは2cm以下ですので90%程度は治癒しますが、この場合は前回の検査で本当に指摘できなかったのか反省することもあります。もちろん、増殖スピードが早いタイプ(トリプルネガティブやER陰性・HER2陽性の場合など)の場合には、1年の間に検出困難な5㎜以下から2cm近くまで増大することもあります。
この手のタイプのがん全てを早期発見(特に1cm以下)するのは、通常の2年に1回のマンモグラフィ検診ではもちろんですが、年1回の超音波検査を併用しても困難かもしれません。だからと言って検診対象者全員に対して半年に1回の超音波検査を併用するわけにもいきませんから難しいところです。とりあえず今できることは、小さな腫瘤や引きつれなどの微妙な変化を見逃さないように検査技師と医師の読影力を上げる努力を継続することしかありません。症例検討会や研究会、学会を通して力量アップにチームで取り組んで行きたいと思っています。
そういうときに、
”どうして前の検査では見つからなかったんですか?”
と患者さんに言われる事が時々あります。
お気持ちはわかりますが、冷静に考えてみると、もし半年(1年)前に発見できたとしてもやっぱり
”どうして前回は見つからなかったんですか?”
と言う気持ちになったはずです。どんなに注意深く観察しても検査には限界があるのです。
そういう時には、
”定期的に検査をしていたから、こんな小さな状態で自覚症状が出る前に見つかったんですよ!”
とお話するようにしています。
以前調べた「発見契機別の乳癌の特徴」の結果では、発見時のがんの平均の大きさは、「有症状群」>「検診発見群」>「定期検査発見群」の順番でしたので、やはり定期検査、特に超音波検査は小さな腫瘤の発見には非常に有用です。定期的な検査をする場合、治癒率が非常に高い1cm以下の状態で発見することを目標にしています。もちろん非浸潤癌の状態で発見するのがベストですが、がんの性質もありますのですべてを非浸潤癌で発見するのは困難なのです。
しかし、定期的に検査していても1cm以上で発見されることはあります。それでもほとんどは2cm以下ですので90%程度は治癒しますが、この場合は前回の検査で本当に指摘できなかったのか反省することもあります。もちろん、増殖スピードが早いタイプ(トリプルネガティブやER陰性・HER2陽性の場合など)の場合には、1年の間に検出困難な5㎜以下から2cm近くまで増大することもあります。
この手のタイプのがん全てを早期発見(特に1cm以下)するのは、通常の2年に1回のマンモグラフィ検診ではもちろんですが、年1回の超音波検査を併用しても困難かもしれません。だからと言って検診対象者全員に対して半年に1回の超音波検査を併用するわけにもいきませんから難しいところです。とりあえず今できることは、小さな腫瘤や引きつれなどの微妙な変化を見逃さないように検査技師と医師の読影力を上げる努力を継続することしかありません。症例検討会や研究会、学会を通して力量アップにチームで取り組んで行きたいと思っています。
2010年9月22日水曜日
乳房再建2 乳房再建患者さんの写真集
今朝の読売新聞に掲載されていたニュースです。
乳房再建手術について知ってもらおうと、手術を経験した患者さんたちが、再建した乳房を映した写真集を制作しているそうです。
以前に比べれば、若い方を中心にかなり乳房再建手術について認知されるようになってきましたし、手術を希望される患者さんも増えてきました。それでも乳がん患者さん全体に情報が十分に行き渡っているわけではありません。子供とプールに入ったり、家族や仲間で温泉に行きたいという気持ちは乳房切除術を受けたほとんどの患者さんは持っていますが、お金がかかる、手術が怖い、術後満足できるのか不安、などの気持ちが再建手術を受けるのを躊躇させるようです。
そこで乳がん手術、乳房再建術を経験した真水さんらが、複数の医師の協力を得てモデルになる女性を募集し、写真家の荒木経惟さんに依頼して今回の写真集制作を企画したということです。モデルとして乳房再建手術を受けた30-50代の女性が19人も集まり、7月に都内で撮影を行いました。
写真集は「いのちの乳房―乳がんによる『乳房再建手術』にのぞんだ19人」というタイトルで、再建した乳房の写真のほか、手術の感想や、手術方法の解説なども盛り込んでいます。11月に赤々舎(03-5620-1475 予約受付中)から出版の予定(4625円)とのこと。なおこの代金には、医療機関などに写真集を配布する費用として2000円の寄付金を含んでいます。
手術後のからだを人目にさらすということはとても勇気のいることです。でもこの患者さんたちは、自分たちの経験を踏まえて、一歩踏み出せないでいる多くの患者さんたちに勇気を与えることでしょう。
さっそく私もこの写真集を予約しようと思います。写真集は病院に置いて乳がんと告知された患者さんたち、術後乳房再建を迷っている患者さんたちに見てもらおうと考えています。
乳房再建手術について知ってもらおうと、手術を経験した患者さんたちが、再建した乳房を映した写真集を制作しているそうです。
以前に比べれば、若い方を中心にかなり乳房再建手術について認知されるようになってきましたし、手術を希望される患者さんも増えてきました。それでも乳がん患者さん全体に情報が十分に行き渡っているわけではありません。子供とプールに入ったり、家族や仲間で温泉に行きたいという気持ちは乳房切除術を受けたほとんどの患者さんは持っていますが、お金がかかる、手術が怖い、術後満足できるのか不安、などの気持ちが再建手術を受けるのを躊躇させるようです。
そこで乳がん手術、乳房再建術を経験した真水さんらが、複数の医師の協力を得てモデルになる女性を募集し、写真家の荒木経惟さんに依頼して今回の写真集制作を企画したということです。モデルとして乳房再建手術を受けた30-50代の女性が19人も集まり、7月に都内で撮影を行いました。
写真集は「いのちの乳房―乳がんによる『乳房再建手術』にのぞんだ19人」というタイトルで、再建した乳房の写真のほか、手術の感想や、手術方法の解説なども盛り込んでいます。11月に赤々舎(03-5620-1475 予約受付中)から出版の予定(4625円)とのこと。なおこの代金には、医療機関などに写真集を配布する費用として2000円の寄付金を含んでいます。
手術後のからだを人目にさらすということはとても勇気のいることです。でもこの患者さんたちは、自分たちの経験を踏まえて、一歩踏み出せないでいる多くの患者さんたちに勇気を与えることでしょう。
さっそく私もこの写真集を予約しようと思います。写真集は病院に置いて乳がんと告知された患者さんたち、術後乳房再建を迷っている患者さんたちに見てもらおうと考えています。
2010年9月21日火曜日
夏休み明けの外来
今日は週2回行っている関連病院の乳腺外来の日でした。
いつものようにまだ誰も来ていない朝7:45に外来に入ったのですが、先週の金曜外来を休んだのと土曜日が特診日(集団検診日)だったため、マンモグラフィの読影が山積み状態(46人分)…。しかもカルテ診(外来患者さんのデータチェックや手紙書き)が10冊ほどあったため、マンモグラフィに取りかかるまでに時間がかかってしまい、結局読影が全然終わらないまま外来が始まってしまいました。
今日の予約と検診の患者さんは30数人…。検査で患者さんが途切れた時間も読影しながら何とか1時前に外来を終わらせることができました。思ったより順調に終わって良かったです(笑)。
休みはうれしいけどそのあとが大変なので長期休暇は怖くて取れません(泣)。
いつものようにまだ誰も来ていない朝7:45に外来に入ったのですが、先週の金曜外来を休んだのと土曜日が特診日(集団検診日)だったため、マンモグラフィの読影が山積み状態(46人分)…。しかもカルテ診(外来患者さんのデータチェックや手紙書き)が10冊ほどあったため、マンモグラフィに取りかかるまでに時間がかかってしまい、結局読影が全然終わらないまま外来が始まってしまいました。
今日の予約と検診の患者さんは30数人…。検査で患者さんが途切れた時間も読影しながら何とか1時前に外来を終わらせることができました。思ったより順調に終わって良かったです(笑)。
休みはうれしいけどそのあとが大変なので長期休暇は怖くて取れません(泣)。
登録:
投稿 (Atom)