2010年9月28日火曜日

マンモグラフィ検診の実質的死亡率低下はわずか10%!?

2002年に世界保健機構(WHO)は,ランダム化比較試験(RCT)の結果から,50~69歳を対象にしたマンモグラフィ検診は乳がん死亡率を25%下げると結論しました。しかし,他のRCTで報告されたマンモグラフィの診断能を巡って,今なお検診導入に対する議論が続いています(以前ここでも書きました)。

今のところ、日本乳癌検診学会(http://www.jabcs.jp/)の見解としては、従来通り40才以上の女性に対する隔年のマンモグラフィ検診を推奨する立場をとっています。

ところが今回ノルウエーから興味深い報告が発表されました。概要は以下の通りです。

N Engl J Med9月23日オンライン版によると、ノルウエー乳がん検診プログラムの結果から検診導入地域の乳がん死亡率は同地域における導入以前の死亡率に比べて28%低下しましたが、検診未導入地域においても18%死亡率が低下していたため、実質的な死亡率の低下はわずか10%に過ぎなかったという結果でした。

検診未導入地域でも乳がん死亡率が低下したのは、乳がん治療の進歩や乳がんに対する認識の普及およびそれに伴う早期診断と治療などが影響(time effect)したものと考えられるということです。

「実質的10%の乳がん死亡率低下」というのは本当に少ないのかどうか、という疑問もあります。また、マンモグラフィ検診の普及によって、検診未導入地域においても自主的に医療機関で乳房検査を受ける人が増えたから乳がん死亡率も低下したのかもしれません。もしそうであればそれはマンモグラフィ検診の効果とも言えるのではないでしょうか?ですからこの研究結果をもって、マンモグラフィ検診の効果は乏しいとは言えないでしょう。分析の方法によって、考察や結論は変わる可能性があるのです。

これから先もこの議論は続くと思います。早く決着をつけたいものです。

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