2011年12月28日水曜日

仕事納め〜年末年始、インフルエンザにご注意を!

私たちの病院は明日が仕事納めです。手術は今日で終わりでした。

ようやくここ数日、外来患者さんの数も少なくなってきています。明日の午後は外科で1年の総括会議をするのですが、乳腺外来を止め忘れていたために、私一人だけ午後も外来です(泣)。でも細胞診の結果を聞きに来る患者さんが多く、うち2人は悪性の結果でしたので、外来を開けておいて良かったです。患者数も少ないのでゆっくり時間を取ってお話しすることができそうです。

ここのところ風邪症状を訴えて受診される乳腺患者さんが多くなってきました。今年はマイコプラズマ肺炎が大流行のようですが、今日のネットのニュースでは、ついにインフルエンザが増加の兆しを見せているようです。インフルエンザ定点医療機関(全国約5000か所)当たりの患者報告数が、12-18日の週は1.98で、前週(1.11)の約1.8倍に増えたということです。

インフルエンザはこれからさらに増えることが予測されますので、外出から帰宅したら手洗い、うがいをきちんとするようにしましょう。また咳や痰が続く場合や胸痛を伴う場合、咽頭痛で飲み込むのが困難な場合、そして高熱が出た場合は早めに医療機関に受診することをお勧めします。特に化学療法中で免疫力が低下している方は、なるべく人ごみには出ない方が良いと思います。初詣などは慎重な判断が必要です。どうしても外出を避けられない場合にはマスク着用(効果は不十分ですが…)で短時間の外出で済ませることをお勧めします。

私も今日からちょっと咳が出てきて怪しい感じです(汗)。それではみなさんも体調の悪化に注意して良いお年をお迎え下さい。

2011年12月23日金曜日

大雪の記憶

昨日の朝は吹雪でした。除雪してから出勤しようとしたのですが、あまりの視界の悪さで一度引き返しました。その後少し改善しましたのでなんとか出勤できました(汗)。札幌だけではなく、東日本と北日本では数日前からかなりの大雪と風だったようですね。

今年の年明けも大雪が続きましたが、私にとって一番記憶に残っているのは1996年1月の大雪です。

この時私は札幌の西区にある病院にいました。ちょうど上司のS先生がハワイ旅行に行っていたために病棟の患者さんはほとんど私一人で診ていたのですが、ちょうどこの大雪の日の夜中にS先生の患者さんの容態が悪化したのです。

車でマンションを出てみると道路はまったく除雪されていません。なんとか石狩街道という片道3車線の道路までたどりついたのですが、いつも真っ先に除雪されるはずのこの道路もまったく除雪が入っていなくて雪はボンネットの高さ近くまで積もっていました。あちこちに車が埋まっていて、その中にはタクシーまでありました。1時くらいだったため、私以外にはほとんど走っている車はありません。もし車を停車させたら二度と動けないと思い、信号を見て微妙に速度を調整しながら家から病院までの約15kmを一度も止まらずに運転してなんとか埋まらずにたどり着くことができました。

その後その患者さんの容態は落ち着かず天候もずっと荒れたままだったので、1週間以上病院に泊まり込みました。真っ黒に日焼けして帰ってきたS先生に引き継ぎを済ませて間もなく、その患者さんは亡くなりました。役目を果たしてようやく帰れると思ったのですが、今度は自分の患者さんの容態が悪化…。この患者さんも残念ながら亡くなってしまいましたが、結局2週間近くほとんど病院で過ごしました。

今ではそんな体力はありませんが、その頃はまだ元気だったのでなんとか頑張れました。当時はとにかく状態の悪い自分の患者さんを当直医に任せて帰るということが嫌でした。ですからよく当直でもないのに病院に泊まっていたものです。その考え方はその後も基本的には変わりません。乳がん患者さんとのおつきあいは長いです。自分を信頼してくれていた患者さんが末期になって最後の時を迎えなければならないとき、やっぱり自分が看取ってあげたいと思うのです。それはG先生やN先生も同じ考え方だと思います。ただ雪は怖いです。私が長く関わってきた患者さんの状態が急に悪化したときに雪で駆けつけられないのではないかということが今の一番の心配事です。早く春になって欲しいものです。

2011年12月22日木曜日

乳癌の治療最新情報28 ペルツズマブ1

以前に「乳癌の治療最新情報23 HER2陽性乳がんに対する新たな補助療法」(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2010/12/23her2.html)(第33回サンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された術前化学療法の成績)でも少し触れましたが、乳がんに対する新たな分子標的薬が近い将来、使用可能になりそうです。

今回の第34回サンアントニオ乳癌シンポジウムで発表されたのは、新規分子標的薬ペルツズマブ(pertuzumab)の再発乳がんに対する第3相臨床試験(国際共同試験)の結果です。

ペルツズマブはHER二量体化阻害ヒト化モノクローナル抗体と言われる分子標的薬です。ペルツズマブはトラスツズマブとは異なる部位に結合して異なる機序でHER2からの増殖シグナルを抑えますのでトラスツズマブの作用を補足・増強すると予測されています。この臨床試験はCLEOPATRA (CLinical Evaluation Of Pertuzumab And TRAstuzumab)と呼ばれ、日本を含む世界19カ国で、未治療のHER2陽性転移性乳がん患者808人が登録されていました。

この結果によるとトラスツズマブ(商品名 ハーセプチン)+ドセタキセル+ペルツズマブ群は、ハーセプチン+トラスツズマブ+プラセボ群に比べると主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を約6カ月(中間値 18.5ヶ月 vs 12.4ヶ月)延長したそうです。全生存期間(OS)の最終解析はまだですがペルツズマブ群で今のところ良好な傾向があります。有害事象では、下痢、ほてり、粘膜炎症、発熱性好中球減少、ドライスキンがペルツズマブ群でやや多い傾向を認めました。ペルツズマブ併用群での心毒性の増加はみられませんでした。

この結果をもって欧米ではHER2陽性転移性乳がんの適応症でペルツズマブを承認申請しました。日本も参加した臨床試験ということですので、近いうちに国内でも中外製薬が承認申請をするのではないかと思われます。問題はやはり高額な医療費にあります。分子標的薬を2つも使用しますので自己負担額は相当高額になると思いますが、それに見合った効果が得られるのではないかと期待しています。

2011年12月21日水曜日

乳がん患者さんの在宅医療

私の病院では一般患者さんの往診と訪問看護は往診担当の医師と訪問看護ステーションの看護師が定期的に行なっています。また、終末期患者さんの往診は緩和ケア科の医師と看護師が行なっています。いずれも訪問可能地域が決まっていますので、患者さんの自宅が範囲外の場合には、近くの病院や診療所と連携して往診と訪問看護をお願いしています。しかし、再発で抗がん治療を行なっているがん患者さんは、これらのシステムに簡単に組み込むことはできません。しかもこういう再発患者さんで往診や訪問看護を行なうケースはそう多くはありませんから、個別の対応が必要になることが多いのです。

近々また往診で再発患者さんを診ることになりそうです。私自身が関わった再発乳がん患者さんの往診はこれで3人目です。

1人目は、10年くらい前の方で私の自宅の近くに住んでいる患者さんでした。私の病院の訪問看護と往診の範囲外の住所でしたが、どうしても自宅がいいとおっしゃったので、薬はご家族に取りに来ていただいて、私が個人的に往診する形式をとりました。ぎりぎりまで自宅で過ごされてご本人もご家族も満足していただきました。

2人目は前にここで書いた高齢のおばあちゃんでした。やはり自宅で過ごしたいということで麻薬を使いながらホスピスに入院するまでの数ヶ月を自宅でご家族と過ごされました。このときは訪問看護の範囲内だったので訪問看護の看護師と私で定期的に往診をしました。

そして今回の患者さんは病院からすぐの場所に住んでいらっしゃいます。しかし多発骨転移で治療中ですので病院まで来るのが大変なのです。以前はそれでもなんとか受診していたのですが今回の悪化でそれも困難になってしまいました。いまどうやって往診と訪問看護、治療、検査を行なっていくか検討中です。往診は私が行くつもりですが、看護師を訪問看護師にするか、化学療法室の看護師にするか、治療をどうするかなどについてはもう少し詰める必要があります。

いずれにしても自宅で過ごしたいという患者さんの思いに何とか応えてあげるためにはどうするのが一番良いのか知恵を出し合って考えていきたいと思っています。これからは同じようなケースが増えてくるかもしれません。私もいつかそういう方面の仕事を中心にしていくのも良いかもしれないと思っています。

2011年12月19日月曜日

フェソロデックス始めました

先月も書きましたが、フェソロデックス(一般名 フルベストラント)が発売になり、この薬剤を待っていた患者さんへの投与が開始しました。

今のところ4人に投与していますが、特に問題は起きていません。両側臀部へ5mlずつの筋肉注射ということで投与時の疼痛が心配でしたが思いのほか痛みの訴えもなく順調です。硬結はもう少し経過をみなければわかりませんが、今のところ患者さんからの連絡はありません。

一番注目している効果についてはまだしばらく経過を見なければわかりません。3ヶ月後くらいの検査で明らかになると思いますが、効いてくれることを祈っています。ただ、今回投与した患者さんたちは、今までにかなり長い治療歴のある方が多いのでなかなか難しいかもしれません。こういう患者さんたちにも効果が見られたら、これからの治療に自信を持ってこの薬剤を使用できます。高価な治療費を払うわけですのでそれに見合う効果を期待したいものです。

2011年12月18日日曜日

憂鬱な季節…

また憂鬱な季節がやってきました。今日は朝早い時間からすっと雪が降っています。朝から2回雪かきをしましたがまた積もってきています。明日も早起きして雪かきをしなければなりません…(泣)

今日は回診当番ではありませんでしたが、ちょっと気になる患者さんがいたので早起きして病院に向かうつもりでした。雪かきをして家を出た時には吹雪で視界が悪くなってきていて、しかも昨日からの雪で道路の幅がよくわからない状態でした。

視界不良の中で交差点を左折しようとしましたが、すべて真っ白のために遠近感がまったくなく、中央分離帯も見えないのでどこで曲がれば良いのかわからない状態でした。ここかなと思って左折すると向かい側から対向車が…。中央分離帯を超えて反対車線に入りかけていたのです(汗)。慌ててハンドルを切って正しい車線になんとか戻ることができましたが冷や汗ものでした。結局無理するのは危険と判断して病院に向かうのはやめました。病棟に電話したところG先生もN先生も回診に来ていたので2人にお任せすることにしましたが、幸い患者さんたちは落ち着いていたようです。

先週の金曜日の日中、札幌はだいたい晴れていましたが周辺の自治体はかなりの吹雪だったようです。私の外来に岩見沢と当別から来ていた患者さんたちは時間がかかって大変だったようです。天候が悪いときは無理しないほうが良いです。病院に受診するために事故で怪我をしてしまっては大変です。

これから3ヶ月は通勤がストレスです(泣)雪国に住んでいるみなさんは運転にはくれぐれも気をつけて下さいね。

2011年12月13日火曜日

アロマシンのジェネリック製剤

アロマターゼ阻害薬の1つであるアロマシン錠25mg(一般名:エキセメスタン 1錠590円 ファイザー製薬)のジェネリック製剤が11/28に薬価収載になりました。アロマターゼ阻害剤の中では最初のジェネリック製剤です。

発売元は、日本化薬(エキセメスタン錠25mg「NK」)とマイラン(エキセメスタン錠25mg「マイラン」) です。薬価はともに1錠393円と200円近く安くなっています。

この薬剤の服用は1日1錠ですので、アロマシンなら30日で17700円(3割負担で5310円)ですが、ジェネリック製剤なら30日で11790円(3割負担で3537円)と1800円近く安くなります!

今日も外来にアロマシンを処方する患者さんがいらっしゃいました。私の病院ではジェネリックを含めた新規薬剤は薬事委員会を通さなければ処方できません。薬剤部に確認したところ、まだ2ヶ月くらい承認までには時間がかかるとのこと…。ちょっと時間がかかり過ぎだとは思いますが(関連病院全体で採用を判断するためいくつかの会議を通す必要があります)、先発薬との差異についてきちんと評価した上で採用を決めるという関係上やむを得ません。患者さんにもその旨をお話しし、了承していただきました。

来年にはアリミデックスのジェネリック製剤も薬価収載されるようです(アストラゼネカには未確認ですが)。患者さんにとっては朗報ですね!