2011年12月23日金曜日

大雪の記憶

昨日の朝は吹雪でした。除雪してから出勤しようとしたのですが、あまりの視界の悪さで一度引き返しました。その後少し改善しましたのでなんとか出勤できました(汗)。札幌だけではなく、東日本と北日本では数日前からかなりの大雪と風だったようですね。

今年の年明けも大雪が続きましたが、私にとって一番記憶に残っているのは1996年1月の大雪です。

この時私は札幌の西区にある病院にいました。ちょうど上司のS先生がハワイ旅行に行っていたために病棟の患者さんはほとんど私一人で診ていたのですが、ちょうどこの大雪の日の夜中にS先生の患者さんの容態が悪化したのです。

車でマンションを出てみると道路はまったく除雪されていません。なんとか石狩街道という片道3車線の道路までたどりついたのですが、いつも真っ先に除雪されるはずのこの道路もまったく除雪が入っていなくて雪はボンネットの高さ近くまで積もっていました。あちこちに車が埋まっていて、その中にはタクシーまでありました。1時くらいだったため、私以外にはほとんど走っている車はありません。もし車を停車させたら二度と動けないと思い、信号を見て微妙に速度を調整しながら家から病院までの約15kmを一度も止まらずに運転してなんとか埋まらずにたどり着くことができました。

その後その患者さんの容態は落ち着かず天候もずっと荒れたままだったので、1週間以上病院に泊まり込みました。真っ黒に日焼けして帰ってきたS先生に引き継ぎを済ませて間もなく、その患者さんは亡くなりました。役目を果たしてようやく帰れると思ったのですが、今度は自分の患者さんの容態が悪化…。この患者さんも残念ながら亡くなってしまいましたが、結局2週間近くほとんど病院で過ごしました。

今ではそんな体力はありませんが、その頃はまだ元気だったのでなんとか頑張れました。当時はとにかく状態の悪い自分の患者さんを当直医に任せて帰るということが嫌でした。ですからよく当直でもないのに病院に泊まっていたものです。その考え方はその後も基本的には変わりません。乳がん患者さんとのおつきあいは長いです。自分を信頼してくれていた患者さんが末期になって最後の時を迎えなければならないとき、やっぱり自分が看取ってあげたいと思うのです。それはG先生やN先生も同じ考え方だと思います。ただ雪は怖いです。私が長く関わってきた患者さんの状態が急に悪化したときに雪で駆けつけられないのではないかということが今の一番の心配事です。早く春になって欲しいものです。

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