以前、乳癌術後の検査でエビデンスがあるのは年1回のマンモグラフィだけ、ということを書きました。これは、乳癌患者さんは、反対側の乳房にも非常に乳癌が発生しやすいことに由来します(約2-8%)。
では、この検査はいつまで必要なのか?が今回のテーマです。実は今日の術後症例検討会のミニレクチャーで話した内容です。
去年、ある学会でこのことに関して発表をしました。通常、乳癌で手術した患者さんに対側乳癌が発生した場合、第2癌は第1癌より早期で見つかることが多いと言われています。それは、乳癌の手術を受けたということで、自分で気をつけているということと、術後の定期検査を受けているということが原因と思われます。
しかし実際は、非常に進行した状態で第2癌が見つかることがたまにあります。これはどうしてなのかを検討したのが、去年の学会発表でした。
結果は、術後10年以上経過した患者さん、高齢の患者さんなど、定期検査を中断してしまった方に進行例が多いということでした。つまり、”もう年だから…”とか、”10年たったからもう治った。通院する必要はもうない”と思って病院に来なくなってしまうと発見が遅れてしまう可能性があるということです。当院の症例では、最長44年の間隔で第2癌が発生している患者さんもおり、何年経っても、何歳になっても定期的な乳房検査は必要であるというのが結論でした。
遠隔転移は確かに10年が一つの目安です(まれにそれ以上たってから再発することもありますが…)。しかし、乳房の検査は一生であるということを覚えておいて下さい。
6 件のコメント:
検査は一生、、なのですね。44年の間隔での発生もあるのですね。びっくりしたした。最近、20代で検診を希望され受診される方が増えてきました。たくさんの方々に受けてほしいです。kimikomew
kimikomewさんへ
やはり、”余命1ヶ月の花嫁”の影響でしょうね。若いうちから乳癌に関心を持つことは大切ですよね。ただ、これが一時のブームで終わらないようにしなければならないと思います。
乳癌術後の患者さんも、まったく癌とは無縁の一般の方に対しても、乳癌の早期発見の重要性を訴えていかなければならないですよね。
そうですか、油断できませんね。
hidechinさん、最近こんな器具があると聞きましたがhttp://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=fr&u=http://cafr.breastlight.com/qu-est-ce-que-le-breastlight/&ei=C5RDSsDPKMyJkQW0mOSbDw&sa=X&oi=translate&resnum=2&ct=result&prev=/search%3Fq%3DBreastlignt%26hl%3Dja%26lr%3D%26sa%3DG
専門家から見てこのような道具を使って癌を発見でますか?
自分が触診するのと、どっちがどうなんでしょうか?
リンダさんへ
ちらっとそのHPを覗いてみましたが、どうでしょうか…。一時期、サーモグラフィが早期発見に有効だと一部でいわれていましたが、いまでは乳がんの検診としてサーモグラフィを使うことはほとんどありません。もちろん、これらの検査で一定の割合の乳がんは描出できると思いますが、検診として有効かどうかは厳密な比較試験が必要です。
2年に1度のマンモグラフィ+自己検診(触診)をする群と、2年に1度のマンモグラフィ+この器具(BREASTLIGHT)を使用する群で分けて、触診群より成績がよくて初めて有用と言えるのです。ですから今の時点でこの器具をお勧めできるとまではいえません。
私は今が丁度術後1年経ちました。
今月来月と、1年後の検診ということで、マンモ、骨シンチ、骨密度、胸部X腺、肝エコー、血液検査等をします。
治験のスケジュールでは、術後5年まで乳房検査のフォローをすることになってます。
やはり一度乳がんに羅患してるからこそ、いつ再発するかわらない病気と一生を共にする覚悟ではもちろんありますが、治験終了する5年目以降についても、10年目くらいまでは、しっかり定期健診をしなければと思っていましたが・・・
44年たってみつかるなんて・・・
安心はしていられないですね・・・
10年目以降も、気を緩めずに続けないといけないですね。。
kimity0115さんへ
遠隔転移の検査は10年で終了して良いと思います(胸部CT、腹部エコー、骨シンチなど。これらはエビデンスのない検査ですが…)。乳房検査だけは一生です。乳がん検診と考えればよいと思いますが、乳がん検診として2年に1回ではなく、保険で毎年受けることをお勧めします(マンモグラフィと乳房エコー)。
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