2009年12月28日月曜日

乳がん検診無料クーポン券利用率6.7%???


今日の北海道新聞の朝刊に書いてありました。10月末時点の集計ですが、道内で配布された乳がん検診の無料クーポン券利用者が、対象者のわずか6.7%しかいないという結果だったそうです。

原因は事前準備の遅れでクーポンが送付されたのが9月以降にずれこんだ市町村が8割もあったこと、制度の周知が不徹底だったことなどだと新聞では報じています。札幌ではもう少し早くに送られて来た(8月?)ような気がしますので、影響は地方ほど大きかったのかもしれません。

また、札幌では検診可能な施設が多いにも関わらず、受け入れ人数の制限があるために、受けたくても受けれない人が多いようです。聞いた話では、ある施設では3ヶ月待ちと言われた人もいたそうです。おそらく地方ではマンモグラフィを受けれる施設が少ないはずなので、もっと厳しい状態なのかもしれません。それでなくても地方では外科医不足が深刻です。毎日外来を開けないところも多いと思います。少ない外科医が少ない単位数の外来で、一般外来を開きながら乳がん検診を行なうのは時間的にも人的にも限界があります。このあたりの状況がどうなっているのか知りたいところです。

少なくても札幌市内では、無料クーポンの効果は絶大です。受けたい人はいっぱいいるのに、受け入れが不十分な現状があるのは確かです。これからさらに受診率を上げようと考えるなら、検診施設側の受け入れ状況を把握した上で対応策を検討して行かなければならないと思います。

マスコミも受診する側だけの問題ではなく、受け入れ側の問題にも目を向けて欲しいものです。現状では検診受診率50%以上を可能にするだけの受け入れ側の余裕はないように感じます。放射線技師、読影医師ともに、計算上の数は足りているかもしれませんが、実際にフルで乳がん検診だけに従事できる人は少ないのです。実際、資格認定だけ取って、まったくマンモグラフィを読影していない医師もいます。また放射線技師は、一般撮影も兼務している場合も多いはずです。

私たちの病院では可能な限り、検診の申し込みに対応するようにしています。一般外来を2診行ないながら、別の枠で乳がん検診を受け入れています。それでもなかなか厳しくなってきています。

もちろん、多くの方に検診を受けていただくことは、乳癌死亡率減少のために絶対に必要なことだと思っていますし、病院としても大変ありがたいことです。なんとかもっと多くの方に検診を受けていただけるように、個人的にも、病院としても、地域としても努力していかなければならないと感じています。

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