2009年12月20日日曜日

第25回 乳腺診断フォーラム

昨日、東京で乳腺診断フォーラムが行なわれ、参加してきました。

このフォーラムは、年2回行われます。うち1回は乳癌学会総会の中で行なわれますが、これはフリー参加のため、会場から人があふれるほどの人気があるセッションです。今回は、メンバー(2年交代)だけが参加するclosedのフォーラムでした。

通常の研究会とは異なり、このフォーラムは症例検討が中心で、指名されたメンバーが所見を読むというのを基本に進んで行きますので、とても緊張します。もちろん、ここに出される症例は、診断が難しかった症例を選んで提示していますので、簡単にはわかりません。

症例1 70歳代後半の女性 CTで見つかった境界明瞭なしこり
乳腺の裏側から押し上げるような腫瘤。マンモも合わせて乳腺外の軟部腫瘍を考えました。エコーがすごく特徴的で、腫瘤表面が高エコーになっていて、そこからかなり強い後方陰影を伴っていました。なんだろう??
→超音波診断の第1人者である、S病院のT先生が、断言しました。
”シリコン肉芽腫だと思います。典型的な像で他は思い当たりません。”
え?そんな既往の説明はありませんでしたが…。それに片側だけというのは変では?
”CTをよく見ると対側にも少しだけ異常があるように見えました。エコーも比較として出した対側の画像で少し気になるところがありました。”
→再度、スライドを見直して一同、”お〜っ!”。ご本人は最後まで豊胸術の既往を否定したそうですが、組織学的にシリコン肉芽腫と診断されたそうです。

症例2 30歳代女性 検診マンモで指摘された皮下脂肪内にある淡い石灰化の集簇を伴った低濃度腫瘤
エコーでは乳腺から突出するような低エコー内に石灰化が多発しています
→悪性なら非浸潤癌?粘液癌?、良性なら線維腺腫?
私はMLT(mucocele-like tumor:粘液を貯留する嚢胞、癌を合併することもある)かな?と思いました。
結果は、”乳腺症”。いろいろ意見が分かれて、稀な腫瘍も考えましたが、結果的にはありふれた疾患でした。微小な嚢胞内に石灰化が多発してこのような画像になったようです。乳腺疾患は奥が深いです。

症例3 50歳代女性 だるま状のしこり
時間がなくなったため、SがんセンターのT先生に答えていただく形で進行。エコー上は非浸潤癌部分が主体のようにも見えましたが、結果的にはinvasive micropapillary carcinomaという悪性度の高い癌で、皮膚に広範なリンパ管侵襲を伴っていた症例でした。

症例検討のあとは、癌研有明病院乳腺外科の岩瀬拓士先生による、珍しい&判断が難しい良性石灰化症例のマンモグラフィについてのお話を拝聴しました。岩瀬先生のご講演は、いつもわかりやすいお話で勉強になります。

このフォーラムもメンバーによる会は来年で終了するそうです。非常に勉強になる機会なのでもったいないような気もしますが、もうすでに全国各地で同じようなフォーラムが行なわれるようになったということで、役目は終了したとの判断だそうです。

北海道でも毎年夏に行なわれていますが、若手医師や技師だけでなく、ベテラン乳腺外科医にとっても貴重な勉強の場になります。これからもこのような機会は続けていって欲しいと願っています。

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