2011年1月16日日曜日

チーム医療と人事異動

そろそろ春からの人事が決まりつつあるようです。私の職場は関連病院が多く、それぞれが人事採用しているわけではないので関連病院内での移動が定期的にあります。医師は全道(外科は札幌以外は釧路と旭川)、技師や看護師は主に道央内の病院や診療所への転勤があるのです。それぞれの病院・診療所を守るために、そして遠隔地に同じ人を長く留めないようにするためには移動はやむを得ません。現地での採用ができれば一番良いのですが、地方ではなかなか簡単ではありません。

診療所への技師の派遣については個人的には異論があります。病診連携が求められているいま、診療所の検査技師の固定配置はなくしていくべきだと思っています。診療所を守るためにこれから専門的な研修をすべき若い技師が2年間も技術研修や学術活動を中断するのはレベルを向上させるためには望ましくありません。この間ずっと会議で発言し続けてきましたが、まだそういう方向にはなっていないようです。

先日私のところに検査部の管理者から打診があった話も個人的には非常に残念な人事異動でした。

私の所属している病院はいわゆるセンター機能を持った病院です。各種の認定施設や修練施設であり、もちろん乳癌学会の認定施設でもあります。そして2年後の新病院では、今以上にがん医療に力を入れる方針で計画が動いています。そのためのチーム医療の充実も重要視されています。

しかし、今のように中心となるメンバーでさえもころころと定期的に移動してしまう状況は、乳腺診療の安定したレベルを維持するためには支障になります。もちろん残る他のメンバーも十分な力を持っていますし、新しく移動してくるメンバーも信頼できる乳腺診断レベルを持っています。またそういうことが起こりうることも視野に入れて症例検討会を行ない、レベルの底上げをしてきました。

しかし、それでも新病院に向けてのチーム医療の充実を考えるとその技師さんは残るべきだと私は今でも思っています。技師さんたちにも移動に関するいろいろな事情がありますから、乳腺だけの要望を押し通すことはできませんが、2年後の新病院開院時にはその技師さんを戻して欲しいと管理者には強く主張しておきました。

病院や医療機器などのハードを新しくするのはお金さえあれば簡単です。しかしソフト(技師などの医療従事者)の技術レベルを維持していくのは時間も労力もとてもかかるものです。こういう点について責任者がどう考えてくれるかによって病院の将来が決まると私は考えています。

2 件のコメント:

Martha さんのコメント...

hidechin先生

人事異動は難しい問題ですね。
以前、いろんな職種を交えた勉強会でも同じような話題になりました。

そのときは、検査技師の検査室内でのローテーションが話題にあがっていました。
一つの検査室に長くいると、他のデータが読めなくなるということもありますが、エキスパートは育ちにくい..とある先生がおっしゃっていました。
すべての分野において知識を得られるようになるか、一つの分野に特化してエキスパートになるか?これは全くの正反対のことなので、なかなか難しい問題だと思います。

特に超音波検査室、病理検査室、血液検査室など形態部門は少しやって身に付くものでもないので、その辺の所をわかっていただけると、ありがたいのですが...。

先生の施設でよいチームができることを祈っています。

hidechin さんのコメント...

>Marthaさん
人材の育成には時間がかかりますよね。もちろん、検査技師は超音波検査だけできればよいということではありません。特に就職したあとの2−3年はいろいろな仕事の基礎を学ぶべきだと思います。
しかし、一定の経験をしたあとは、できるだけ専門性を高めるような教育システムが必要だと思っています。中には診療所のようなところでオールマイティにできる技師になりたいという人もいるでしょうから、それはそれで良いと思いますが、特にがん診療に力を入れているような一定の規模を持った病院においてはエキスパートの育成が必須ですよね。
一つの病院内での人事であればなんとかうまくローテートもできるのですが、抱えている病院が多いと専門性の教育もなかなか大変です…。