2012年1月25日水曜日

乳腺術後症例検討会 15 ”印環細胞がん”

今日は2ヶ月ぶりの症例検討会でした。2ヶ月分から症例を選んだため、診断がなかなか難しいケースばかりでした。

症例1 細胞診でも針生検でも診断が困難だった非浸潤がん主体のアポクリンがん
症例2 超音波検査では乳腺症のムラのように見えた印環細胞を伴った硬がん
症例3 初回の超音波検査では病変を指摘できなかったマンモグラフィ上、微細石灰化と構築の乱れで発見された非浸潤がん主体の微小な硬がん
症例4 拡張乳管を伴い、広い乳管内進展が疑われたが限局していた非浸潤がん

いずれも典型的とは言えない画像所見だったため、活発な議論が交わされました。こういうタイプのがんもあるんだということを理解するということがこの会の一番の意義だと思いますので良かったのではないかと思います。

症例2の印環細胞がんについてはミニレクチャーも行なわれました。一般的に乳がんにおいて印環細胞様のがん細胞がみられるのは浸潤性小葉がんのことが多いと言われていますが、硬がんなどでも見られることがあります。印環細胞がんというのはがん細胞の細胞質内に粘液を貯留して核が偏在するためにあたかも印環(指輪)のように見えるがん細胞のことを言います。代表的なのは胃がんで悪性度の高いタイプのがん細胞です。乳がんにおいても時にみられることがありますが、通常は小葉がんや硬がんなどの一部としてみられます。ほとんどが印環細胞からなる乳がんもあるようですが、非常に稀で私は経験がありません。

今日は院外からの参加者が少なくて残念でした。やはり冬の参加は厳しいのかもしれません。
来月も興味深い症例を提示する予定です。私たちのような中規模の病院でも勉強になる症例はけっこうあるものです。そういう意識で患者さんを診ていくことが大切なのだといつも考えさせられます。

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