2012年1月21日土曜日

緩和ケア研修会 1日目終了!


今日、明日と日本緩和医療学会が主催、私たちの病院が共催となって「緩和ケア研修会」が開催されます。この研修会は「がん対策基本計画(2007年)」に基づいて2008年に出された「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に沿って行なわれる研修会で、「痛みをはじめとした、がんによる苦痛に対する緩和ケアの知識、技術、態度を習得し、実践できる」ようになることを目的にしています。

「緩和ケア」と聞くと、「がんの末期の痛みに行なう治療」「ホスピスに入院している患者さんが受けるケア」だと思う方が多いと思います。もちろんそのようなことも緩和ケアの一つではありますが、今のがんに対する緩和ケアという概念はもっと広い意味で用います。がんの診断から初期治療、治療後の経過観察期間、再発と治療、そして終末期にいたるまでの全ての時期におけるがん患者さん(と家族)の苦痛(痛みなどの身体的苦痛だけではなく、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛→これらを合わせて”全人的苦痛”と呼びます)を予防、軽減することが「緩和ケア」の定義になっています。

私たちは乳がん患者さんたちと長いおつきあいになります。それこそ診断から治療、終末期までずっと主治医として診させていただくことは少なくありません。私の20数年の経験の中でも残念ながら患者さんとの関係がうまく行かなかったことがあります。きっと自分では十分に患者さんのことを理解して配慮していたつもりでいても、実はその患者さんの苦痛を完全にはわかってあげれていなかったことがその原因の一つだったのではないかと思います。今回の研修会に参加したのは、病院の要請もありましたが、そんな苦い経験もあったからです。

スケジュールは非常にハードです。今日は8:45-17:20、明日も8:45-16:25までびっちりです。内容は、緩和ケアの講義(概論、疼痛評価とケア、輸液治療、消化器症状、精神症状マネジメント、オピオイドの開始、呼吸困難、地域連携と療養の場の選択など)、コミュニケーションロールプレイ(3人1組で患者役、医師役を交互に行なって進行がんの病状告知をしたりします)、疼痛をもつ患者さんの治療・療養の場に関する事例検討など盛りだくさんです。

私はこの中で「ロールプレイ」というものに非常に抵抗がありました。これさえなければびっちり講義でも全然苦痛ではなかったのですが、偽物の患者さんの前で演技するのは実際に日常診療でできていることもできなくなってしまうのではないかという不安というか疑念があったのです。実際やってみると医師役はやっぱり少しぎこちなくなってしまいましたが、患者役になってみるとなんだか本当の患者になったような感覚で患者目線というものが少しわかったような気がします。自分(がん患者)の驚きや不安、混乱ぶりに対して医師が取る対応や会話で受け取り方が変わってしまうということを感じ取れたのは収穫でした。

写真は今日もらった参考資料です。ゆっくり読んでみたいと思っています。
明日もう1日頑張れば終了です。修了証をもらえるそうなので頑張ります!

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