2014年6月27日金曜日

昨日見た夢のお話…

昨日の朝、右腕が猛烈に痛くてたまらない夢を見ました。

夢の中で私はがん患者であり、腕の骨への転移による痛みということになっていました。痛くて痛くてたまらないのでG先生に痛み止めの注射を右腕に何回も打ってもらったのですがいっこうに痛みは改善せず、あまりの痛さに泣きながらのたうち回るという夢でした(汗)

朝3時半に目覚めてみると、私の右腕はうつ伏せになった身体の下敷きになってしびれてまったく動かない状態になっていました…。そして枕には痛みに耐えかねて流した涙でびっしょり濡れた跡が…(泣)

がん患者さんの痛みをあらためて実感した夢でした。あの痛みは辛いですね…。がん患者さんの痛みに対して今以上に親身になって考えてあげたいと思わされたリアルな夢のお話でした…(汗)
(ちなみにしびれて動かなくなった腕は無事復活しました!)

2014年6月26日木曜日

第11回 With You Hokkaido ”良く知ろう、乳がんの治療”

今年もWith You Hokkaidoが近づいてきました。今年は例年より早くチラシとポスターが届きました(写真)。さっそく病棟、外来、化学療法室、関連病院の外来に置くことにしました。



開催日は、2014年8月23日(土)の12:30-15:50で、場所はいつもの札幌医大研究棟1階大講堂です。今回は実行委員会での協議の結果、例年とはいくつか異なる形で行なうことになりました。

まず第1に、グループワークが一番最初に行なわれることになりました。会場についたらすぐにグループワークの部屋に移動になります。

第2に、今回は患者さんからの質問に答える形のパネルディスカッションを行なうことになりました。どんな質問が来るのかちょっとどきどきです。

特別講演は2題。”性機能障害”のお話と”放射線治療”のお話です。患者さんにとってはとても興味深いお話が聞けると思いますので楽しみにしていて下さい!

申し込みは、実行委員のいる病院の外来に置いてあるチラシの郵送、もしくは下記の連絡先にご相談下さい。

「東札幌病院内 With You Hokkaido事務局」
TEL : 011-812-2311(代表)
FAX : 011-823-9552
受付時間 月曜〜金曜 9:00-17:00



2014年6月25日水曜日

乳腺術後症例検討会 33 ”新体制”

今日は定例の症例検討会でした。

今までは私が症例の選定やスライドのチェック、進行の補助などを行なってきましたが、前回の検討会でその役目を終え、今回からはG先生が中心になってこの会を運営していくことになりました。

その第1回は、症例検討が2例、そして検査技師のTさんによる”乳腺超音波検査の学び方”に関する講演でした。

症例はやや丸みを帯びた多形性微細石灰化の集簇に変化がみられ、DCISの合併を疑いましたが結果的にはMucocele-like tumor(MLT)だった一例と一見境界明瞭に見えて充実腺管がんを疑った硬がんの一例でした。

T技師による講演は、超音波技師向けというより放射線技師や病理医など他の職種に対する乳腺超音波検査に関する基礎知識の講義とグループ分けをして10例の症例の超音波診断を行なう(超音波技師が助言しながら他の職種の参加者に読ませる)クイズという内容でした。新たな試みでしたので参加したメンバーは楽しめたのではないでしょうか?ちょっと時間が押していて駆け足になってしまったのは残念ですが…。

新体制、そして新しい試み(前回もG先生のマンモグラフィの読み方の講演があったので2回目ですが)は、順調なようです。これで心置きなく彼らに任せて私はいつでも引退することができそうです!

2014年6月19日木曜日

ワールドカップ真っ最中!

気がつけばもう6月も後半になっていたのですね…。この間、体調不良と7月に行なわれる症例検討会の準備などに追われていて、ブログのコメントに返事をするのがやっとの状態でした(汗)。ようやく体調も上向きになってきましたが、これからの生き方の答えが見つからず、なかなかブログをアップする気力も湧いてきません。今までのようなペースでは書けないことをどうかご了承願います。

そういえば今はワールドカップ真っ最中ですね。入院中の患者さんの中にも朝早くからサッカーを楽しみに見ている方がいらっしゃいます。明日のギリシャ戦はなんとか勝って決勝トーナメント進出に望みを残して欲しいものです。

日本代表の初戦(コートジボワール戦)は日曜日でしたが、私は関連病院の乳がん検診でした。幸い、検診の合間にホールのTVで本田選手の素晴らしいゴールシーンを見ることができましたし、検診終了後に逆転のゴールも見ることができました(泣)。

監督や選手たちが思っていたようなサッカーができなかったこと、そして見ている日本国民が期待しているような結果ではなかったことはたしかに残念なことでした。そしてネット上では、選手たちへの個人批判が行なわれているのを何度も見かけました。

でもよく考えてみて下さい。日本がワールドカップに出場できるようになったのはつい最近のことです。1998年の初出場まではそのピッチに立つことすらできなかったのです。選手たちが優勝を目標に掲げるのは良いことだと思いますし、ある意味当然だと思います。最初から負けることを目標にすることはおかしいですし、参加するからにはどのチームにもチャンスはあるからです。でも選手たちが優勝を目指すということを口に出したからと言って、そのとおりにいかないと批判するのはこれもおかしなことです。前回優勝のスペインだって、毎回優勝候補と言われながら何十年もかかってようやく優勝できたのですから、ワールドカップで優勝することは簡単なことではないと思います。そのスペインでさえ、今回は連敗で真っ先に決勝トーナメント進出の夢を断たれたのです。

選手たちは、結果はともかく勝ちたいと思って一生懸命頑張ってきたはずです。なんの努力もしていない外野が無責任に彼らを批判することはやめるべきだと私は思います。世界からも評価されている日本のパスサッカーを明日は存分に見せて、結果を恐れずに良い試合をしてくれることを私は願っています。

今回は全然関係ない話でした(笑)

明日はみんなで日本代表を応援しましょう!

2014年6月5日木曜日

タモキシフェンは10年投与を推奨(ASCO 2014)

タモキシフェンの投与期間に関しては以前から様々な見解が報告されてきましたが、最近の報告では5年より10年を推奨するものが多いようです。今回米臨床腫瘍学会(ASCO)が発表した乳癌の診がんガイドラインにおいても、ステージI-IIIでホルモン受容体陽性の患者に対する術後ホルモン療法の項目を更新し、ホルモン受容体陽性患者に対する最長10年までのタモキシフェン投与が推奨されました。

ASCOの専門委員会が2010年から行なってきた関連する医学文献を対象に系統的レビューによるとタモキシフェンを5年間使用した乳がん患者に比べ10年間使用した患者には生存利益が見られること、10年使用群では再発リスクと対側乳癌リスクも低いことを示しました。一方で、前回のガイドライン更新以降の文献に、アロマターゼ阻害薬の投与期間の延長に関する新たなエビデンスは見られませんでした。

ガイドラインに示された勧告の要点は以下の通りです。

・ホルモン受容体陽性の乳がんと診断された、閉経前または閉経期の女性には、術後ホルモン療法としてタモキシフェンを5年間投与し、その時点で引き続き閉経前であればタモキシフェンをさらに5年間投与し、閉経後であればタモキシフェンをさらに5年間投与するか、アロマターゼ阻害薬を5年間投与する。

・ホルモン受容体陽性の乳がんと診断された、閉経後の女性に対する術後ホルモン療法の選択肢は以下のとおり。
①タモキシフェンを10年間投与
②アロマターゼ阻害薬を5年間投与
③タモキシフェンを5年間投与し、その後アロマターゼ阻害薬を最長5年間投与
④タモキシフェンを2-3年投与し、アロマターゼ阻害薬を最長5年間投与

・閉経後の女性でタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬に対して不忍容を示した患者には、代替となる術後ホルモン療法を提供する。
①アロマターゼ阻害薬を使用していたが5年未満で使用を中止した患者には、その時点から当初予定されていた5年後までタモキシフェンを投与
②タモキシフェンを2-3年使用していた女性には、その時点から最長5年間アロマターゼ阻害薬を投与

ホルモン療法を最長10年間受けることのリスクや、想定される有害事象について患者さんと医師がきちんと話し合うことは大切です。タモキシフェンを使用した患者さんの多くが有害事象を経験しますが、今回ASCOが検討対象にした臨床試験では、使用期間を延長しても新たな、または想定外の有害事象は発生しなかったということです。

まだ国内ではタモキシフェンの投与期間について十分な合意はできていません。しかし今回のASCOのガイドラインによって今後は再発リスクによって10年投与が標準になっていくのかもしれませんね。

2014年5月27日火曜日

認知症が悪化した乳がん患者さんの幸せとは?

異時両側乳がんの術後で私の外来に15年ほどかかっている現在94才の患者さんがいらっしゃいます。2人の息子さんはともに独身で病気を抱えていたため、その高齢の患者さんが食事の世話などをずっとしてきました。

乳がんに関しては治療はしておらず、本来定期的な検査も必要ない状態です(両側乳房全摘後)。内服している薬は高血圧などの内科疾患の薬剤のみですので、以前から内科管理にすることをご相談してきましたが、”ずっとかかっているから先生に診てもらいたい”ということで私の外来に1−2ヶ月に1回通院されていました。

しかし、数ヶ月前に圧迫骨折や大腸がん(進行がん)が見つかって入院をしてから徐々に元気がなくなり、心不全で内科に入院した先月には病室にお見舞いにいくと私が誰なのかわからなくなってしまっていました。ずっと私を慕ってくれていた患者さんだったので少なからずショックを受けました…。その後状態が安定したため一次退院となり、今日外科外来に久しぶりに受診されたのです。

見た目はお元気になっていたので、再度”私が誰かわかりますか?”とお聞きしたのですが、やはり首を傾げて”わかりません”というお返事でした。息子さんも一緒にいらしていたので、外科的にはもう必ずしも定期的な通院は必要ないこと、現在の患者さんの状態からは外科外来フォローを希望されているようには見えないこと、今後また内科に入退院を繰り返すことが予測されることをお話しし、今後は内科で診てもらうことになりました。

認知症は、ご本人もそうなのかもしれませんが(確認することは困難な場合が多いので本当のところはわかりませんが)周りにいるご家族がかなり辛いと思います。今回の患者さんの変化を目の当たりにして、そのことがよくわかりました。

認知症が悪化したことが、その患者さんの残りの人生にとって良かったのか悪かったのかは私にはわかりません。意識がクリアだと大腸がんの悪化に伴う死への恐怖などに悩まされたのかもしれませんし、もしかしたら認知症が悪化したことがその患者さんにとっては幸せなことだったのかもしれません。少なくとも乳がんでは命を奪われずに天寿を全うできそうなことが私にとっては救いですが、いろいろ考えさせる経験でした。

2014年5月25日日曜日

”第37回 北海道を歩こう”のピンクリボンイベント終了!

http://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2014/04/37.htmlで告知しましたが、今日”第37回 北海道を歩こう”にコラボしたピンクリボンのイベントが行われました。ちょっと風が肌寒かったのですが、天気は快晴で絶好のウォーキング日和でした。

会場は10kmのゴール地点である真駒内カントリークラブ。9:00までに着かなければならないので余裕をみて7:30前に自宅を出ましたが、かなり早く着いてしまったので会場の準備(風船を膨らませただけですが…笑)を手伝いました。9:30からイベント開始予定でしたが、最初はゴールする人もまばらで(写真)、会場の椅子に座る方も少なかったためどうなることかと思いました(汗)。



しかし徐々に人数が増えてH病院のO先生がピンクリボントークとクイズを始める頃にはけっこうな人数が集まってくれました(写真)。



チェアーフラのステージでは集まった方々も一緒に振り付けを覚えて踊ってくれたり(写真)、私が担当したクイズでも若い方々が積極的に答えてくれたりなど、なかなかの盛り上がりだったと思います。



会場に設置したピンクリボン in Sapporoのブースには、私の病院から持って来た検診の模型(しこりがかくれている乳房の触診モデル)を置いておいたのですが(写真)、思いのほか多くの方々が立ち寄って下さいました。特に印象的だったのは、触ってみたいとおっしゃった方の多くが若い方だったことです。若いうちから自分の乳房に関心を持つことはとても大切なことですので、自己検診のコツなどを詳しくご説明しました。また、会場のボランティアとして参加していた北翔大学の男子学生さんたちがこの模型に興味を示してくれて触ってくれたのは今後の彼らのパートナーや奥さんに乳がん検診の大切さを伝える上でもとても重要なことですし、とてもうれしく感じました。



ピンクリボン in Sapporoとしては初めての”北海道を歩こう”への参加でしたが、予想以上の成功だったのではないかと思います。紫外線にはかなりやられてしまいましたが、もし来年も参加できるのであれば是非協力したいと思っています。