2009年4月5日日曜日

余命1ヶ月の花嫁

学会帰りの飛行機の中で、前から読みたいと思っていた”余命1ヶ月の花嫁”を読んできました。

最後まで前向きに頑張り抜く千恵さんの勇気、何とか残りわずかの時間の間で千恵さんの望みを叶えてあげようとする友人たちと恋人、そして余命告知をすべきか最後まで悩み抜く親しい人たち…。

深く感動するとともに、治療をする側の人間としていろいろ考えさせられる内容のドキュメントでした。日常診療で、できるだけ患者さんの声に耳を傾けるようにと意識はしてきても、きっと深いところまでは入り込めていないのではないか?ご家族の思いをわかってあげれていないのではないか?そんなことを思いながら読み終えました。

きっと彼女の最後の1ヶ月において、一番の治療になったのは、家族、恋人、友人たちの存在なんでしょうね。10年後ならもっと良い治療をしてあげれたかもしれないし、もっと長く生きられたかもしれない…。

がんセンターの先生方は、最善の治療と判断、努力をされたことと思います。でも現代医学はまだまだ力不足です。できるだけ早く乳癌を発見するために乳がん検診の啓蒙活動を広めること、再発率を下げるために患者さんそれぞれにとって最適の補助療法を提供すること、再発しても高い治癒率を目指せるような治療法を開発すること…。まだまだ課題は多いですが、今回の学会でも次々と新しい治療法の研究がなされているという報告が聞けました。諦めないで頑張ればきっといつかはそんな時代が来ると信じています。

2 件のコメント:

kimity0115 さんのコメント...

“余命1ヶ月の花嫁”は、一昨年暮れに私自信、告知された時、丁度テレビで放映されていました。

自分と同じ病気で、最期に天使になってしまう内容は、当時の私にはあまりにもLIVEであった為、知恵さんが最後に頑張っている姿を見て受け止める勇気はありませんでした。

でも年月が経つにつれて自暴自棄になってしまっていた気持ちも自然と病気とむきあえるようになってきました。

それは一人でも多くの患者さんの命を救おうと日々懸命に勉強されている医療関係者のもとで信頼をして治療にあたることができたこと、
そして、自分を励まし支えて続けて下さった周りの方々のおかげでした。

病気になって健康の大切さなど、病気にならなければ気づけないこともいっぱい教えてもらいました。
病気になってよかったとまでは言いませんが、毎日健康が当たり前だと思って生きてきた、自分自身の人生観が180度かわりました。
失うものも勿論ありましたが、それ以上に得たもののほうがとてもあり、これは私にとって貴重な財産です。

周りの愛情に支えられて生きているんだということに気づかされ、今ではそれは本当に幸せな事だと感謝の気持ちでいっぱい・・そう感じています。

命にかかわる病気になってしまった患者さんは少なからずこう思っていると思います。

なので、きっと知恵さんもそんな風に感じながら周りの支えという一番の治療の中、幸せな最期の1ヶ月過ごされたんだろうな・・って思います。

もちろん病気になるのが10年後だったら・・と考えると、
未来になればそれだけ画期的な新薬や高度な治療方も開発されるなど、医学も著しい進歩をとげているでしょうね。絶対に脱毛しない抗がん剤が標準治療として開発されててほしいなあとかね・・

でも、今病気になってしまった訳ですからね、知恵さんはそのなかでも信頼した主治医の元で、家族に支えられながら最高な治療を受けたことに満足いってると思いますよ。

知恵さんが最期まで病気と闘って生きていた証を忘れない為にも、
まだ生きている私達患者が最後まであきらめないで頑張る気持ちを持ち続けさせていただく為にも、今後の医療の発展を強く期待します。

hidechin さんのコメント...

本当にそう思います。
例えばリンパ浮腫の治療の進歩や保険適応になったこと、そしてセンチネルリンパ節生検による腋窩温存など、患者さんの要望が治療や医療制度の改正につながることもあります。これからも患者さんの声に耳を傾けて少しずつでも良い医療が提供できるようにしていきたいと思っています。

”余命1ヶ月の花嫁”は確かにkimity0115さんが感じたように現在闘病中の患者さんたちにとってはショックな内容も含んでいると思います。でも治療に前向きに頑張る姿は、きっと患者さんたちにも勇気を与えてくれるということ、そしてこれからの時間を大切にして生きていくことの意義を教えてくれると信じています。