2009年4月13日月曜日

乳房切除後疼痛症候群(Postmastectomy Pain Syndrome:PMPS)

乳癌の手術後に手術した側の前胸部から腋窩、上腕にかけて痛みが続くことがあります。たいていは手術の傷の痛み(創痛)であったり、腋窩リンパ節郭清に伴う肋間上腕神経を切除したことによる一時的な疼痛のことが多いのですが、患者さんは再発ではないかと心配されることも多いようです。

これらの痛みは通常、自然に改善することをご説明しておけばあまり気にならないようになるのですが、3ヶ月以上耐え難いようなヒリヒリ感やチリチリ感が続く場合は、乳房切除後疼痛症候群(PMPS)と呼ぶことがあります。この呼び方は、乳房切除しかなかったころにつけられたものですのであまり適切な病名ではありません。実際は乳房温存手術でも起きることがあります。

PMPSは、手術操作に伴なって肋間上腕神経が障害されることによって発症すると考えられていますが、なぜ痛みが長引く場合と改善する場合があるのかはよくわかっていません。痛みがひどい場合は下着を着けるのもつらいようです。PMPSの患者さんは、痛みと同時に硬い感じ、何かが挟まっている感じなどの違和感を持っていることが多いと言われています。

PMPSの危険因子は、肥満、若年、腫瘍径が大きい、腋窩リンパ節転移陽性、術後化学療法、放射線療法、術後の合併症(出血、感染など)、肋間神経の切除などが言われていますが、肉眼的に神経を残しても発症することがあります。

治療は、薬物療法(第1選択は抗うつ剤、他に抗てんかん薬や局所麻酔薬、漢方薬など)が中心となりますが、難治性の場合は、神経ブロックという処置をすることもあります。

外科医の中には、この疾患の存在を疑問視したり、軽視したりする人もいます。たしかによくわからない点もある疾患なのですが、重要なのは、患者さんご本人が納得しないまま主治医に痛みを放置されることが、症状を悪化、難治化させる可能性があるということです。
もし、主治医に相談しても納得いく説明が得られない場合には、ペインクリニックに紹介してもらうのが良いと思います。

39 件のコメント:

リンダ さんのコメント...

そんなのあるんですね。

私の症状に似てます。
私は、日記にも書いてますが、民間マッサージで、患部を触られた後から痛みが出て来ました。
それから、しばらくして治って、また最近痛みます、術側の腕と脇も痛み、軽い浮腫ぎみなんですが、術後の傷後から、脇、腕にかけてが痛いです。

後・・・最近なんですが、心労(心配や、イライラしてる時)に必ず傷もズキズキ痛むんですが、これって精神的なもんなんでしょうね。

放射線もしているから、傷後は硬くなっています。

痛くてもあまり心配しないようにしてみます。

hidechin さんのコメント...

リンダさんへ
どこからPMPSとするべきなのかは難しい問題なんです。広く定義すれば痛みがあれば全部PMPSになってしまいますし…。時々痛む程度でしたら必ずしもPMPSとまでは言えないのかもしれません。
PMPSに限らず、痛みは精神的な影響を受けます。気にしすぎると痛みは増強しやすく、何かに夢中になっているとあまり気にならない、というのはどんな痛みでもあり得ます。リンダさんの場合、民間マッサージを受けてしまった、という後悔と不安がもしあったなら、それが痛みを増強させている可能性はあるのかもしれません。
ただ、痛みを感じる時間が長くて、日常生活に支障をきたすほど強いようなら主治医に相談した方が良いと思います。

Unknown さんのコメント...

PMPSですか、、初めて用語を知りました。手術後の痛みについては、何人もの方々から生の声を聞く機会が度々ありました。ご本人の辛さは私が想像する以上なのだろうな、、、といつも思いながら耳を傾けています。痛みに限らずさまざまな不安に対して、じっくりとご本人が納得なさるまで、お話を聞けたらと思います。いつも、「先生のお顔を見て、元気をもらって、また次の受診までがんばります。」との言葉を頂きますよ。
mewkimiko

hidechin さんのコメント...

kimikomew3824さんへ
混んでいる外来の中で十分に時間を取って患者さんのお話をお聞きするのは、医師も看護師もなかなか難しいことだと思います。きちんと話を聞いているつもりが、後が詰まっているとついつい急かしてしまっていることがあります。そんなときは後で自己嫌悪に陥ります。どんなときでもこちらに余裕がないと患者さんも落ち着いてすべてを話すことができないですよね。気をつけなくてはいけませんね。

un さんのコメント...

そんなのがあるの初めて知りました。
乳がん1期温存、リンパ節郭清、転移なし
で9年になります・
主治医には、術後4年位、痛みについて訴えましたが、軽く大丈夫!で終わってしまいます。
そんなもんなんだと思い、9年目、脇の下はビリビリ、放射線の部分は硬く、その周辺も時々
痛み、胸板全体にいつも違和感があります。
我慢できないくらいではないのですが、温熱で
胸の部分や脇を温めて見ようかと思っています。すこし深刻に悪い方ばかり考えてしまって
いましたので。楽しく家族や友人と過ごす機会が多いほうが意識がその部分ばかりに集中しないでいいかもしれませんね。進んでやってみます。

hidechin さんのコメント...

>unさん
はじめまして。
unさんもPMPSかもしれませんね。温めるのは慢性疼痛に有効な場合が多いので試みても良いと思います。また、unさんがおっしゃるように、できるだけ楽しいことを考えて意識を創部から遠ざけるのもとても大切だと思います。
それでもつらいようでしたら一度ペインクリニックに相談してみてはいかがでしょうか?

りゅうこ さんのコメント...

初めまして。5月25日に左乳房温存術を受けました。石灰化でしこりのない非浸潤癌で、センチネルリンパ生検、断端部ともに陰性でした。今月末から放射線治療が始まる予定です。

6月1日に退院したのですが、以来ずっと左乳房側面から脇の下、二の腕の裏側が肘までピリピリした強い痛みがあります。家事などで動けば動いただけ痛みが増します。下着が触れるのも辛いですし、歩くのが一番辛いです。

脇の下には何か挟んでいるような異物感もあります。左腕はスジが突っ張ったような感じで伸びがかなり悪いです。これから放射線治療を受けるのに、腕の上がりが足りないような気がしています。

上体を少し起こして仰向けに寝ている時以外はずーっと痛みが続くので、外来を受診した時に医師に相談してみましたが、鎮痛剤を処方されただけでした。でも鎮痛剤は一向に効果が見られず、むくみや胃の膨満感が辛くて三日間飲みましたがやめました。

ペインクリニックの受診を考えた方がいいのでしょうか。

hidechin さんのコメント...

>りゅうこさん
はじめまして。
診察しているわけではありませんので参考程度に考えていただきたいのですが、考えられるのは、
①センチネルリンパ節生検時の影響(電気メスの通電など)によって、肋間上腕神経に影響が出たための神経痛
②術後に時々見られるMondor氏病
③安静にしすぎたための可動域低下
などです。
①は3ヶ月くらいで軽快することが多いです。あまり気にしない方が早く気にならなくなります。それでも改善せず、症状が強い場合はペインクリニックに相談しても良いと思います。
②は静脈炎です。筋状の索状物が触れてつっぱって痛いのが特徴です。1ヶ月くらいで自然に軽快します。
③はリハビリが必要です。
りゅうこさんの場合は上記の要因が重複しているのではないかと思います。まずはもう一度主治医によく相談して、非常に心配していること、困っていることをきちんとお伝えした上で必要ならリハビリ科やペインクリニックを紹介してもらってはいかがでしょうか?

りゅうこ さんのコメント...

早々にご丁寧な回答をありがとうございます。

少し気持ちが軽くなりました。
明日、外来を受診する予定なので、主治医に相談してみようと思います。

日常生活全般に介助の必要な二十歳の息子がおります。今は施設にあずけていますが一日も早くゆっくり帰省させてやりたいので、息子のためにもこの痛みから解放されたいです。

でも、あまり焦らず気長に構えていた方がいいかもしれませんね。

どうもありがとうございました。

hidechin さんのコメント...

>りゅうこさん
息子さんの介護もしながらでは大変ですね。私の患者さんにも数人同じような方がいらっしゃいます。幸い皆さんお元気で子供さんの介護をしながら頑張っておられます。
早く体調が良くなって、不安なく息子さんと一緒に過ごせるようになればいいですね。お大事に!

サタケ さんのコメント...

はじめまして。今、自分の状況で検索していたところこちらに辿り着いたので…数年前の記事なのは承知しておりますがコメントさせて頂きます。(上記のりゅうこさんの症状とかなり似ています。)

ワタシも先月半ば過ぎに左乳房温存手術と、術中センチネルリンパ節生検を終えました。術後、意識が戻ってからすぐから痛みが強く、痛み止めの点滴を数回→錠剤、と処方してもらいましたが全然効きませんでした。が、手術翌朝退院の病院でしたので、とりあえず鎮痛剤と睡眠薬を多めに頂いて泣く泣く退院しました。

それでも退院して約一週間後に診察の予約があったので、それまでには痛みは治るだろうと考えていたのですが術後からの痛みは一向に引きませんでした。
傷口は左胸上部二時の方向から中心に向かって5センチほどと、脇の下にセンチネルリンパ節生検(転移無しの為、郭清無し)の傷があります。ワタシは元々少しアトピー体質なのもあってか左胸の広範囲が保護シールにかぶれてしまっていて、その腫れが痛みを増しているのもありますし、傷口もやや盛り上がってミミズ腫れみたいになっています。確かにその痛みもあるのだとは思いますが、乳房の内側も傷口でない反対側含め全体的にズキズキ痛み、表面も始終ぴりぴりと痛み、左腕は肘から上の裏側が脇にかけて全面ヒリヒリチクチクと常に痛いです。何かが挟まっているようなビリビリした違和感も常にあります。
でも腕の上げ下ろしはやったほうがいいと聞いていたので、少し無理してなるべく今までと同じように使っています。(重すぎる荷物は持たないようにしていますが)

1週間経ち、ようやく診察の日が来てそのような状況を伝えましたが、結局はかぶれてる皮膚用の軟骨と今回は座薬を処方して頂いただけでした。
もしかしたらそちらでは術後にあまりこのような例がないのかもしれませんが、正直ロキソプロフェンやロキソニンなどはちっとも効かない痛みです。

上記の りゅうこさん がその後どのような経過を辿ったのか気になるところですが…

(本日退院して12日目ですが)一向に回復する感覚がないので、やはりお正月明けにでもペインクリニックで相談するのがいちばん良いのでしょうか?
もしくはこの記事当時から数年経過していますので、新たな改善法など見つかったりしていますか?

hidechin さんのコメント...

>サタケさん
はじめまして。
まだ術後間もない状況ですので個人差はありますが手術に伴う痛みがあってもまったく不思議ではありません。傷から離れた内側の痛みはおそらく皮下を広範囲に剥離しちゃ端の部分にあたると思います。傷の周囲はどちらかと言えば感覚が麻痺するため痛みは弱く、剥離した端の部分は少し神経過敏になって痛みが強く感じることはよくあります。腋窩から上腕内側の痛みは、剥離の問題もあるかもしれませんが、もしかしたらセンチネルリンパ節生検を行なった際に肋間上腕神経に少し損傷が加わったのかもしれません。

痛みは不安で増強します。まだ術後間もないですのであまり慌てずに主治医とよくコミュニケーションを取りながら治療を続けて下さい。”時間”というのも薬の一つなのですよ。

またきちんと細かく症状を伝えなければ忙しい外来の中では単なる創痛として対処されてしまう可能性もあります。神経痛であれば通常の痛み止めでは不十分なこともあり、その場合は私たちはプレガバリン(リリカカプセル®)などの薬剤を追加しています。主治医の先生も当然ご存知の薬剤だと思いますが、今は手術後間もないので創痛の可能性が高いと判断しているのではないかと思います。
これらの治療を行なってもなかなか改善しない場合には主治医に相談してペインクリニックに紹介してもらって下さい。
それではお大事に。

サタケ さんのコメント...

お正月にも関わらず、質問への返信大変嬉しく思います。どうもありがとうございます。

やはり今日になっても本当に痛みが全く引かないので…

先生のおっしゃる通り、主治医に問い合わせて再度診察を受け、その後の対処法を指示して頂こうと思います。

この記事を見つけ、同じような方もいるのだというのがわかったのと、先生からの返信で少し心が軽くなりました。

どうもありがとうございました。
これからもこちらのblog、読ませて頂きますのでよろしくお願いします。

hidechin さんのコメント...

>サタケさん
早く良くなることをお祈りしています。
お大事に!

とも さんのコメント...

こんにちは。はじめまして。
今年の1月20日に左胸全摘手術を受けました。リンパへの転移はなかったので、センチネルリンパ節生検のみです。
術後はほとんど痛みがなく、良かった・・と思っていましたが、10日過ぎた頃から痛みはじめ、何より辛かったのが皮膚のビリビリ感と歩くと響いてまともに歩けない事でした。痛み止めは全く効きませんでした。

手術前の主治医の先生のお話では、術後2~3週間で楽になって仕事も再開できると聞いていたのですが、1か月経っても耐え難い痛みがひかず(皮膚は髪の毛が触れただけでも激痛でした)、先生にそれをお伝えするとこの病名を教えてくださり、生活に支障があるほどの痛みならもしかしたらそうかもしれないので、治療をしますか?と聞かれました。

治療の副作用もあるとお伺いしたので、その場ですぐお返事できず、もう一か月様子を見させていただくことにし、今日でちょうど術後2か月になります。まだ痛みは残っていますが、ピーク時の3分の1くらいまでは治まったように思えます。

今の痛みは、一部の皮膚のヒリヒリした感じと、押さえると痛むところや、歩くとジンジン響く(これも一部です)、それと全体にジーンとした痛みがあります。あと筋肉のつっぱり感も、かなり良くなりましたがまだ残っています。
心配なのは、2か月経ってもこのような症状があるのはやっぱりPMPSではないかということと、もしそうなら早く治療を始めないとさらに治りが悪くなったりしないか・・という事です。
時間をかけて緩やかにでも治っていくのならいいのですが、先が見えないのでこのままこれ以上よくならないのではと不安になります。
でも、こちらで3か月・・と書いてあるのを読んで、もう一か月待ってもいいのかなと少し思ってますが・・

主治医の先生は4月になってもまだ痛むなら治療を考えましょうと言われていますが、本当に少しずつですが良くはなってきているのでもう少し先に延ばそうか、迷っています。

長々と申し訳ありませんm(__)m

hidechin さんのコメント...

>ともさん
はじめまして。
お聞きした限りではやはりPMPSのようですね。センチネルリンパ節生検しかしていなくてもセンチネルリンパ節の近くに肋間上腕神経が走っていますので電気メスの影響などでこの症状が出ることはあります。
ただ2ヶ月で症状が明らかに改善していますのでもう少し経過をみても良いように思います。症状の改善には個人差がありますので3ヶ月で全ての人が気にならなくなるわけではありませんし、気にならなくなるだけで生活に支障がない程度の多少の症状が残る場合もあります。
ただ不安が強いとよけいに長引きますのでご心配でしたらペインクリニックなどで一度診てもらうのも良いかもしれません。主治医の先生にご相談なさってみて下さい。
それではお大事に。

とも さんのコメント...

早速のご返信ありがとうございます。感謝いたします。
やはりその可能性が高いのですね。もしかしたら、みんなこんなもんじゃないかな~と少し期待していたので、ちょっとショックですがちゃんと向き合っていこうと思います。
やはり普通は一か月くらいで痛みはなくなるものなんですかね・・・

でも、もう少し経過を見ても良いと思うと言っていただいたので、あまり気にせず気長に見ていこうと思います(^^)
今はピーク時に比べると、生活の中でも忘れている時も多いですし、だいぶ良くなってきているので気持ちもかなり楽になってます。
もう少しこのまま頑張ろうと思います。本当にありがとうございました。

hidechin さんのコメント...

>ともさん
一日も早く改善されることをお祈りしています。
お大事に!

匿名 さんのコメント...

昨年10月半ばに乳がんの手術を受けました。浸潤がんは1.5cmでしたが、非浸潤部分6×4cmと大きく又乳首にも近かったためが大きく左乳房全摘しました。センチネル生検の結果リンパ転移は無く郭清はしませんでした。が、主治医にリンパがかなり深かったよとは言われていました。
術後すぐから左手足の先がしびれている旨訴えていましたが十分考えられることだから心配ないとの事。痛み止め(ロキソプロフェンと胃腸薬、頓服としてカロナール)を処方して頂いています。5カ月が経過しましたが、左脇奥、左肩甲骨下、左胸下とヒリヒリと熱を持って居る様な痛み、左腕がしびれひどい時は重だるく腕が抜けそうな不快感が酷いです。一旦脇の下に熱いものや冷たいものが浸みる感が治まっていたのに現在又ぶり返してきています。運動機能はリハビリを毎日続けているせいか腕が上がらないと言う事は無いですが、痺れが酷く力が入りません。ペットボトルのふたが開けられなかったり、硬いものを調理したくても左手で支えられないので包丁がうまく使えません。左足先の痺れも疲れると膝位までピリピリします。又最近は痛み止めが効いていないなと言う感じがしています。主治医に伝えるとじゃあ痛み止め止めますか?との事ですが、やはりPMPSを疑った方が良いのでしょうか?このまま我慢していれば治るのかな?と不安です。

ひろこ さんのコメント...

先日は、MM療法についての説明をありがとうございました。
私は、乳がん患者限定のあるSNS患者会に入っていますが、その中の方で、温存後腕から脇にかけて術後の痛みが続き(術後20日、リンパは2個取っているそうです。センチネルかどうかは不明。)、いつまで続くのか不安に思っている方がいらっしゃいます。
きっと、術前のICで説明されていたとしても、ご本人はそんなに何日も続くものではないと軽く思っていたのでしょう。
(私は全摘でしたので、その方へ助言はできそうにないのですが・・・。)
もし今でも何か新しい変更点など無いようでしたら、その方又はその患者会で先生のブログのこの解説を紹介したいのですがいかがでしょうか。

hidechin さんのコメント...

>ひろこさん
お役に立てるかどうかわかりませんが、ご紹介していただくのはかまいません。
まだ術後間もないですので慌てなくても良いとは思いますが早く良くなるといいですね。
それでは!

ひろこ さんのコメント...

再びのコメントすみません。
先生のコメントを頂いたあと、その方へ痛みのことをご説明しましたら、勉強になったと大変よろこんでくださいました!(さっきお礼のメールが来ました!)
そして、痛みやしびれはだいぶなくなったとのことで安心されたようでした。
本当にありがとうございました。
それで、お忙しいところ大変申し訳ないのですが、疑問が湧いて来まして、教えて頂きたいことがあります。
温存術の場合、腫瘍の周りを幅を持たせてくり抜くと思うのですが、その際、神経(乳頭への神経?)も切るのですか。
そして、差し支えなければ、腫瘍を取り出したあとの乳房の中はどう処置するのかも知りたいです。
自分が全摘だったので強い痛みやしびれが出るのは当たり前なんですが、温存術なら症状の程度はそんなに悩むほどではないと思っていましたがよく考えると中の色々な組織を切っているのですよね・・・。

hidechin さんのコメント...

>ひろこさん
ご友人の症状が軽快したとのことで良かったですね。
温存術で切除した部分は部位によっては(乳腺の厚さが薄い部分など)そのままにしておきますが、私たちは周囲の皮下を剥離して穴を埋めるように乳腺を移動させて縫い合わせることで変形を最小限にすることが多いです。その際に末梢の知覚神経も切れてしまうことがあるので周囲の感覚は鈍くなります。また神経の走行に直角に皮膚切開を置くと当然知覚神経は切れてしまいます。しかし、末梢神経はネットワークを作っていますので時間とともにある程度回復することもあります。
なおPMPSは主に肋間上腕神経の切断に伴う側胸部から上腕にかけての痛みが主体ですので全摘か温存かということより腋窩リンパ節郭清を行なったかどうかによって発現頻度が変わります。
以上です。

ひろこ さんのコメント...

お忙しいところ、ご説明下さりありがとうございました。
一部私の理解不足のところもあったのですが、大変よくわかりました。
現在の私はホルモン療法で3ヶ月ごとの診察である上、その時の診察内容と直接関係ない事柄や緊急でないテーマで診察時間を長引かせるのは順番を待っていらっしゃる他の患者さんに申し訳ないと思って、今まで主治医先生への質問を控えていたところはあります。
もちろん主治医先生は、その時に何かあれば答えて下さるので、不満がある訳ではありません。
ただ、病気や治療については後々も勉強は必要なので、「あの時のアレはどうだったのかな?」というような疑問については、調べるツテがないのです。
学生だったら先生や教授に質問できますが、専門的になってしまうと一般の本屋や図書館では解決できず、ネットからの情報も時にはリスクを伴うため有益な内容の選択が難しいです。
先生には、私のようなつまらない質問にでも答えて下さり、大変感謝しております。
休職中ですが医療関係の仕事をしているため、細かいところが気になったりして、先生にはまだこれからも質問してしまうかもしれませんが、どうかお許し下さい。

hidechin さんのコメント...

>ひろこさん
もし質問があるときはあらかじめ箇条書きにして診察前に看護師さんに渡しておくとスムーズに説明してくれるかもしれませんよ?
次回試してみて下さい。
それでは。

ひろこ さんのコメント...

お忙しいところ親身なアドバイスありがとうございます!
ですが、残念ながらその手は使えないのです。
主治医が独立、開業したため、私もそちらに通院していますが、そのクリニックでは、診察の前に看護師さんとお話する流れではなく、当日診察室に入り先生の診察の後に看護師さんにお会いするような状態です。
質問があるときにはもちろんメモを持参していきますが、やはり、その時の話の流れで主治医には質問できないこと(「自分がやっていない温存の術式について」のように、自分の治療法とは直接関係ない事柄など)もありますので、自分で何とかするしかないです・・・。
乳がん治療は長期に渡るので、症状が落ち着いていて内服薬だけの患者さんは、私のように自宅近くの個人クリニックに通院している方も多くいらっしゃると思います。
そして、表だった症状は落ち着いていても、一生、乳がんとは縁が切れない訳でして、(私はそれほどではありませんが)ほとんどの方が主治医とのつきあい方に悩んでいるようです。

ひろこ さんのコメント...

何度もすみません。
先程は、こういった患者さんがこれから増えていくと思い書かせていただきましたが、大勢の患者さんのうちの一人の意見として読み流していただければ幸いです。
hidechin先生のような真摯に向き合ってくださる先生と出会えたことに感謝しています。

hidechin さんのコメント...

>ひろこさん
そうですか。
診察の時間では直接関係ないことをゆっくりとお話しする余裕は私にもあまりありませんので理解できます。でもひろこさんはきっと乳がんに対する探究心が旺盛なのですね。
例えば患者会に入るとか、私たちも参加しているWith Youなどのイベントに参加するなどの機会があると良いのですが、地域によっては難しいこともありますよね。今は他にもさまざまな乳腺関連のイベントがありますのでそのような機会があれば利用されると良いと思います。
それではお大事に!

ななこ さんのコメント...

初めまして、hide先生。
昨年2月、私は左下外側乳癌乳房全摘(リンパ節転移郭清)手術を受けました。
近々、同大学病院の形成外科にて自家組織再建での手術予定です。
この再建手術により「PMPS」の症状は変わったりするものでしょうか…?
一年経った今でも左上腕、内側、脇部分、酷い時は背中までチリチリ、ピリピリ感と血圧計か何かで常に圧迫されている様な痛みと不快感があります。色々調べ、リンパ浮腫科の診察も受けましたが腕全体1cm程の腫れで先生も悩まれてる様子でした。

解明出来ない痛みに精神的にも辛くなっていた1年も経つ頃、やっとある誌の「PMPS」について書かれた僅かな記述に救われ、大学病院の乳腺外科でPMPSの話をすると、hide先生がおっしゃる通りペインクリニックの受診を...との事でしたが、不眠症状等の手持ちで処方されていた抗うつ剤のリボトリールでかなり改善します。調子が上がってきたところで、腕の運動も少しずつ捗ってきました。

ここまで辿り着くまで、同じ頃同様な手術を受けた知人にはその症状はないとの事でますます不安でした。
この病気自体の説明が多いとは思うのですが...
冊子も沢山頂いたのにも関わらず、少数の事例として、この「PMPS」について何かしら説明があると良いのではと思いました。
この辛い症状を軽視される事なく、情報と改善法が知らされる事を希望します...。

hidechin さんのコメント...

>ななこさん
初めまして。
結構辛い症状に悩ませれていたのですね。乳がんに限らず術後の痛みは個人差がありますので全く同じ手術をしても術後の経過はかなり幅があります。ななこさんの症状はPMPSと断定できるのかどうかはわかりませんが、自然に軽快することもありますから希望は捨てないようにしてくださいね。
再建手術とPMPSの悪化に関してはなんとも言えませんが、広背筋を用いる場合には腋窩を経由しますのでなんらかの影響はあるかもしれません。リンパ浮腫に関しても同様です(通常上肢からのリンパ経路までは手術操作は入らないと思いますが)。腹直筋皮弁の場合は腋窩を経由しませんので問題ありませんが、これはこれで別の場所にメスが入るわけですので別の痛みが生じます。
なおPMPSという表現はしていなくても腋窩郭清をした場合には肋間上腕神経の切離に伴う痛みや痺れが生じることはパンフレットに書いてあることが多いと思いますが…。少なくとも私は術前にそういうお話は必ずしています。
早く痛みから解放されると良いですね。
それではお大事に!

Unknown さんのコメント...

先日投稿したななこです。
hide先生、お忙しい中ご回答頂き有難うございます。

腋窩鎖骨下リンパ節切除とあったのでダメージの違いでしょうか。処方薬のお陰とオリジナルのリハビリの成果か腕の動き、痛み具合も軽快して参りましたが薬効も慣れると変化するものでしょうか、近々ペインクリニック(麻酔科)で相談するつもりです。
腹直筋皮弁での手術を行う予定でいます。hide先生ご出身医大に乳腺外科から通っておりますが今はこの方法だと形成外科教授しか施術できず手術はおおよその日程もつかない待ち状態です。インプラントでも大丈夫とされましたが年齢も考え治療期間についても悩み職場の方々の応援で選択しました。
「新たな別の痛み」ですか...それも時間の経過で落ち着くものですよね。
頑張ってみます。

hidechin さんのコメント...

>RACHEL jpさん(ななこさん)
まだ症状が変化していますのでPMPSとは断定せずに治療しながら経過を見ることも大切かと思います。
再建まで少し時間があるのは、痛みに関してプラスに作用するかもしれませんよ。早く症状が緩和されると良いですね。
それではお大事に。

亜奈 さんのコメント...

こんな書き込み相談するところがあったのですね。
右乳ガン1.2㌢温存手術、放射線治療、腋の下リンパ節転移なし。ガンは右母乳上部内側にありました。傷痕は脇の下まで30㌢位のながさです。

15年(現在65歳)経ちますが、未だに胸腺辺りから右母乳上部が痛くなるときがあります。放射線のところは癒着したように固く、押さえると痛みます。
時には左内側も同じよう痛む時があります。
毎日痛くなく、どんなときに痛くなるのかもわかりません。急に痛みます。我慢できないことはありません。温めたり、冷やしたりしてみています。

何度も5年間くらい主治医に伝えましたが、あんまり対応してもらえませんでした。

その後、四年前位に別の乳腺外科にいきましたが、特に異常なし。痛みを伝えましたが、手術したからね。と!軽く言われてしまいました。

それ以来、固くクリクリとした固まりと、たまに来る痛みと共存しています。好きなことをしてると忘れますのでそちらに意識を向けています。同じように手術した友人は痛みもなくクリクリとしたものもないらしく、何が違うのかとおもってしまいます。
一生付き合うのでしょうか!

よろしくお願いいたします。

hidechin さんのコメント...

>亜奈さん
初めまして。
私は実際に診察していませんので十分にお答えすることはできませんが、温存術後に(特に放射線治療を受けた場合)手術部位が硬結になることはよくあります。特に脂肪成分の多い乳腺の場合に多いと思います。
そのような部位が時々痛くなることは確かによくありますが、本文で書いているようなPMPSとは機序が異なると思います。創痛と言われる症状で、例えば虫垂炎の術後でも何年経っても起きることがあります。気圧やj気温の変化などで症状が強く出ることが多いようです。
問題はどの程度日常生活に影響を及ぼしているかということです。痛みがあることで不安を感じるといつまでも気になってしまうものです。時々痛くなっても「手術の影響だから心配ない」と気にしない人ほど問題にはならないことが多いと思います。再発ではないか、何か大きな問題が起きているのではないかと気にすれば気にするほど症状は強く、長く続きます。できるだけ意識を集中させないようにするのが一番良いのですが、それでも改善せず日常生活に影響を及ぼすようでしたらペインクリニックなどの専門施設を受診してみてください。
なお反対側の症状はおそらく手術とは関係ない別の機序(筋肉痛や肋間神経痛など)によるものではないかと思います。こちらも対処としては湿布や痛み止めの内服程度ですがあまり気にしない方が良いと思います。
早く気にならなくなると良いですね。それではお大事に!

亜奈 さんのコメント...

早速のお返事ありがとうございます。
創痛!ですか。そんなこともあるのですね。スッキリといたしました。

昨夜は痛みがありましたが、今朝はそうでもありません。自分の細胞なので一緒につきあって行こうと思っています。
今日はのんびりと近場の温泉に行ってきます。ありがとうございました。

もも さんのコメント...

はじめまして、ももです。乳がん右切除後2年半たっても縫った傷の骨のところが痛んでリリカを服用しています。
脇がはれた感じがあって、リンパ浮腫を疑いましたが、まだ軽い方だといわれ、
自分でケアするやり方を説明されてしていますが、手術後抗がん剤を2年服用して脇の皮膚が弱くなって
潰瘍ができたりそこをマッサージすると痛いです。
座薬も一日3回欠かせません。DRはもうやめてくれといいますが、夜中に痛みが出たりするのと、
車に長時間乗ると大変後に脇の下が腫れます。わきの下が思い感じがします。
5年間ホルモン剤を服用する間痛いものでしょうか?
医師は乳房切除後疼痛症候群とカルテに書いています。

hidechin さんのコメント...

>ももさん
初めまして。
結構辛い症状が続いているのですね。
現在の症状の解決方法は大きく分けると二つあると思います。
まずは薬物療法などで疼痛をコントロールすること(リリカの増量や神経ブロックなど)、そしてもう一つはできるだけ痛みに神経を集中させないように気分転換を図ることです。
薬に過度に依存することはお勧めできません。とは言っても痛いものは痛いと思います。ただ痛みというのはかなり精神的な要因で強くなったり弱くなったりするものです。
痛みとうまく付き合うためには、ご自身がそこをきちんと理解することが大切です。
なお痛みとホルモン剤は無関係だと思いますので切り離して考える方が良いと思います。
実際に診察していませんのであくまでも一般論ですが、私がアドバイスできるのは以上です。お大事に!

もも さんのコメント...

hidechi先生早々のコメントありがとうございました。
96歳の祖母の介護もあってなかなか痛みを忘れることができませんね。
昨日も胸がはさまれるようにいたくなってパンをたべて薬を飲みました。
ペインクリニックもいこうか迷っているところです。

hidechin さんのコメント...

>ももさん
ペインクリニックも考えても良いかと思います。主治医にご相談ください。
少しでも早く症状が緩和することをお祈りしています。