6/2まで開催されていた第45回米国臨床腫瘍学会(ASCO)で乳癌治療に関する新たな知見が次々と発表されています。その一つをご紹介します。
「PARP阻害剤BSI-201とゲムシタビン/カルボプラチン(G/C)の併用で転移性トリプルネガティブ乳癌患者の生存期間が延長(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/asco2009/200906/510980.html)」
再発した場合に治療に難渋するトリプルネガティブ(ホルモンレセプター陰性、HER2陰性)乳癌に関する新たな治療法の報告です。米国ではトリプルネガティブ乳癌に対してゲムシタビン(ジェムザール)とプラチナ製剤(シスプラチンやカルボプラチン)の併用がよく使用されています(日本ではともに乳癌に対しては保険適応外)。今回は、この治療に、分子標的薬の一つである、PARP阻害剤を上乗せした効果をみる臨床試験の報告です。
結果は、臨床的有用率(6カ月以上の完全寛解、部分寛解、不変の合計)は、G/C群の21%に対して、BSI-201併用群では62%(p=0.0002)、奏効率(完全寛解+部分寛解の合計)はそれぞれ16%、48%であり(p=0.002)、いずれもBSI-201併用群で大きな改善を認めた、というものでした。
まだフェーズ2という臨床試験の段階ですが、生存期間の有意な延長(3.5ヶ月)も確認されており、今後のフェーズ3の結果に期待が持てる内容だと思います。
4 件のコメント:
日本では、保険適応外なのですか、、効果が認められたものに関して、迅速に適応になるといいのに、、といつも思います。いずれにしても、患者さまの金銭的な負担が少なくなるといいのですが、、kimikomew
kimikomew3824さんへ
海外では乳癌に対して使用されているのに国内で使用できない薬剤やプロトコールはけっこうあるんですよ。人種の違いもありますので、理想は国内での臨床試験を経てからのほうが良いのですが、時間がかかるんですよね。ですから最近は国際間の臨床試験に国内の患者さんも登録して、世界的に同時に認可できるようにしていることもあります。
まだフェーズ2とういう段階なんですね。
トリプルネガティブの患者さんの治療の選択肢が広がるためにも、一日も早く、次の段階のフェーズ3の臨床試験が行われ、そして、有用な結果をもたらしてくれることを期待したいですね。
言葉では簡単ですが、一つの薬での治療が、認可されるのは、保険適用されるまでは長い道のりですものね。。
改めて思います。。
癌治療は本当にとても大変な治療ですね。。
kimity0115さんへ
そうですね。でもこのように慎重に臨床試験を重ねることによって、安全に投与できるのですから、やむを得ないところもありますよね。
標準治療を否定する民間療法支持派の人たちにも、このような臨床試験についてよく知ってから批判してほしいと思います。
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