乳腺外来にはいろいろな自覚症状をもつ患者さんが来院します。
もちろん、皆さん、乳癌ではないか?と心配なので来院されるのですが、ある程度問診を聞いた段階で、乳癌の可能性が高いか、低いかは想像できることが多いです。
いくつかの例を挙げてみます。
1.数ヶ月前に痛みのないしこりを自覚。徐々に増大してきた。
→高齢者では乳癌をまず考えます。若年者では良性腫瘍(線維腺腫など)もあり得ます。
2.皮膚のくぼみや乳房の変形を伴うしこりを発見。
→乳癌の可能性が高いです。
3.血液混じりの(赤や黒、番茶色)乳頭分泌がある。
→乳癌、または乳管内乳頭腫(良性腫瘍)を疑います。
4.痛みを伴うが皮膚の発赤を伴わない硬結(ごりごり)、しこりがある。
→乳腺症の可能性が高いですがまれに乳癌のこともあります。
5.皮膚の発赤と痛みを伴う硬結、しこりがある。
→乳腺炎や乳輪下膿瘍の可能性が高いです。まれに炎症性乳癌のことがあります。
6.授乳中でもないのに白い母乳様の分泌物が出る。
→薬剤性乳頭分泌(特に多いのは、スルピリドという精神安定剤。他にもいろいろあります。)のことが多いですが、まれに下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)が原因のことがあります。
7.両側(または片側)の乳頭のいくつもの穴から分泌物(透明や褐色)が出る。
→乳腺症の可能性が高いです。
8.乳房のかなり内側や外側のふくらみのない部分に痛みがある。押すと痛みがあり、咳や動作(物を持つ、腕を上げるなど)で痛みが誘発される。
→肋間神経痛や筋肉痛(肋間筋や前鋸筋、大胸筋など)を疑います。
もちろん、ここに書いたのは可能性が高いか低いかということで、自覚症状だけですべて正確に診断できるわけではありませんので、自覚症状がある場合は、良性を疑う場合でも一度は乳腺外科に受診したほうが良いでしょう。
4 件のコメント:
私は今思えば 乳頭の周りに、かゆみがありました。
癌の場所は乳頭の辺ではなく、乳房の上のあたりだったのですが、
治療をしてからは、かゆみがでません、なにか関係があったのでしょうね?
リンダさんへ
時々かゆみを訴える方がいますよね。分泌物が乳管内にたまっていると起こりうるとは思いますが必ずしもそういう状態とは限らないので原因はよくわかりません。
通常、乳癌は痛くないことが多いですが、たまたま痛みがあって触ったら別な場所にしこりがあった、というケースもありますから、神様が異常を知らせてくれるサインなのかもしれませんね!
こうやってみると、乳がんを疑う症状というものは様々なものがあるものですね。
私は、自分が乳がんになるまでは、乳がんを疑う症状として、しこりの存在くらいしか認識がありませんでした。
お恥ずかしいかぎりです。
今思えば、そのしこりの存在すらわからなったのも、自己検診も何もしていなかったし、それがとても大切とうい知識もなかったのが悔やまれます。
私の場合、今となって思い当たる節としては、授乳期から授乳後でも断続的に乳首にかゆみがあったり、乳首のただれなどがあったかなぁとういう感じです。
かゆいからかきむしって下着が汚れたりしていたな。。。って、乳首から分泌物があった証拠ですよね。
もっと自分の身体に関心をもって、こういった変化に対して、これはやばい!っと敏感でいられたら・・病院に行っていたでしょう。
自己検診もせずしこりの存在すらも自覚なかったし、まず自分がまさか乳がんになんてなるなんて思いもよらなかったので、この認識の甘さが今となっては悔やまれる限りです。
なんらかの自覚症状があり、それをおかしいかな?と感じるかどうかは、あくまで自分自身の主観ですし、その少しの変化を、大したことないだろう・・これは大事だ!と、その緊急性を自分でどう判断するかは自分しだいです。
知識の有無で、早期発見できるかどうかの分かれ道にもなりますよね・・
そこで、昨今、知名度のあるタレントさんが自ら乳がんを公表されてご自身の症状や検診の必要性を訴えられていますし、こういった傾向は、まったく乳がんに対して無知な人にとっては、知識を得るいい機会だと思います。
誰でも、乳がんになる可能性がある!!
こんな症状は要注意!!こういったことが、一番知って欲しいの現状ですから、きっともっと乳がんに関心を持ち、危機感を持って、もっと自分の乳房の変化に対して敏感になると思います。
自分の身体に異変を見つけることができるのは自分自身です。
自分の乳房を守るためにも月に一度の自己検診、年に一回の検診の大切さも自ずと認識できるはずですよね。
kimity0115さんへ
kimity0115さんがおっしゃる通りだと思います。
有名人に限らず、kimity0115さんのような経験者がブログやHPなどのネットを介して、乳癌の正しい知識を広め、自己検診やマンモグラフィ検診重要性を訴えることは、とても大切なことですよね。私たち医療従事者も治療するだけではだめだと思います。一緒にがんばりましょう!
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