2009年12月4日金曜日

抗癌剤の副作用5 睡眠障害

あまり抗癌剤自体と睡眠障害を関連づけては考えたことはなかったのですが、実際に乳癌患者さんに化学療法を行なうと不眠を訴える方は多い印象は持っていました。

最近掲載されたJournal of Clinical Oncologyのオンライン版によると、化学療法を受けている癌患者の4分の3以上が不眠症および睡眠障害に悩んでいて、その比率は一般集団の3倍以上であったということです。

特に不眠症状が多かったのは、年齢では若年者、癌の種類では乳癌と肺癌でした。抗癌剤2クール投与後のアンケート結果では、37%に不眠症の症状があり、さらに43%に不眠症候群(週3回以上の入眠障害または睡眠持続障害)が見られたとのことです。

今回の報告では、睡眠障害が抗癌剤自体の副作用なのか、抗癌剤を受ける患者さんの心理的背景が原因なのかについての詳しい検証はされていないようです。乳癌の患者さんにおいては、ちょうど更年期前後の女性が多いですし、乳房にメスをいれるという非常にショックな治療の後であること、抗癌剤による脱毛などの美容上のショック、などが、精神的に大きな影響を与えていることは間違いありません。

長期の睡眠障害は、疲労感を増し、食欲低下なども来しやすいため、私は患者さんに早めに睡眠薬を処方するようにしています。睡眠薬は一度使うと癖になってしまうのではないかと心配される方もいますが、必ずしもそうでもなく、治療終了後にご自分からもういらないとおっしゃる患者さんも多いです。

ただ、もともとうつ傾向がある患者さんなどでは、なかなか軽い睡眠剤では症状が良くならない場合もあります。そういう場合には、私はあまり無理して自分で抱えずに、専門医にご紹介するようにしています。うつ病が基礎にある場合には、やはり専門家にフォローしてもらうほうが安心だからです。

もし、不眠症状がみられた場合には、まず主治医に相談してみてください。なかなか改善しない場合は、専門医(精神科、心療内科、メンタルクリニックなど)に紹介してもらうことをお勧めします。

2 件のコメント:

きみちゃん さんのコメント...

hidechin先生、こんばんは~(~o~)/

私も睡眠障害になった覚えありますよ~
睡眠薬処方されてましたね

やっぱりいろんな心理的要因として不安な気持が影響されてるんですね・・

抗がん剤治療の時は、寝てるときだけが唯一の辛い副作用から逃れられるから・・

睡眠薬飲んでゆっくり寝れるならそれに越したことないですよね~

hidechin さんのコメント...

>きみちゃんさん
きみちゃんさんもそうだったんですか?けっこう多いんですよね。
不眠はかなり辛いですから我慢しなくていいと思いますよ。