2009年12月22日火曜日

乳癌の治療最新情報12 ハーセプチンとタイケルブの併用

現在のところ、HER2陽性乳癌に保険適応のある分子標的薬には、点滴投与のハーセプチン(トラスツズマブ)と経口剤のタイケルブ(ラパチニブ)があります。

ハーセプチンは、臨床試験ではパクリタキセルとの併用だけだったにもかかわらず、併用する抗癌剤の制限はありません。また単独でも投与可能です。ですから、パクリタキセルとの併用が無効になれば、パクリタキセルからドセタキセルやナベルビン、ゼローダなどに併用する薬剤を変更しながらハーセプチンを継続することが可能でした。

一方、タイケルブは、申請する際にゼローダとの併用ということで保険適応申請したために、他の抗癌剤との併用は今のところ認められていません。単独での投与も原則不可です。ですから、タイケルブ+ゼローダが無効になればタイケルブの継続もできなくなります。

今回サンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された報告によると、タイケルブ単独投与とハーセプチン+タイケルブの投与との乳癌再発患者における比較試験において、併用群では全生存率が有意に改善し、死亡リスクが26%低減したということです。同じHER2陽性乳癌に対する子標的薬でありながら、作用部位が異なるため、併用によってより効果が増強することが証明されたということです。

どちらも高価な薬剤ですので、併用するとなるとかなり経済的な負担が大きくなるのが問題点ではありますが、新たな治療法が使用可能となれば、HER2陽性患者さんにとっては心強いことでしょう。これらの臨床試験の結果を一日でも早く、国内に導入して欲しいものです。

2 件のコメント:

mafu さんのコメント...

今年は先生のブログを知り、いつもいろいろな情報をありがとうございました。
大変役に立つものばかりでした。
明日、東京から実家の北海道に帰省いたします(雪が心配ですが・・・)
来年もよろしくお願いいたします。
先生のますますのご活躍を期待しております。
そして、私は来年は術後2年の検査が待っています。来年もがんばります。

hidechin さんのコメント...

>mafuさん
ありがとうございます!
mafuさんの実家は北海道なんですね!こちらは寒いですよ。風邪を引かないように気をつけて下さいね。

来年も皆さんに少しでもお役に立てるような情報を書いて行きたいと思っています(今年は少しペースがきつかったので、これからはちょっとのんびりと続けていきたいと思っています)。
来年もよろしくお願いいたします。mafuさんにとって良い1年でありますように!