2010年1月12日火曜日

抗癌剤の副作用7 白質脳症

5FU系の抗癌剤、特に内服の薬(UFT、フルツロン、ゼローダ、TS-1など)を長期に内服したときに起きる、重篤な副作用の一つに、白質脳症があります。一般的には内服の抗癌剤は副作用が軽いという印象があるため、最初は副作用だと気づかずに症状が進行してしまうことがあるので注意が必要です。

主な症状を示します。

1.歩くときによろけたりころびやすい(歩行障害)
2.ちょっとしたことを思い出せないことがある(健忘)、意識がぼんやりする(意識障害)、物事がきちんと判断できなくなる(指南力低下)
3.眼球が上を向く、舌やあごが勝手に動く、思うように動けなくなる、手のふるえ(錐体外路症状)
4.ろれつがまわらない、はっきり話せない(構音障害)
5.手足のしびれ(知覚障害)
6.尿をもらす(尿失禁)

私の患者さんの中にもこのような症状を呈した方が数人います。

今日もDMpC療法(フルツロン、ヒスロンH、エンドキサンPの3剤内服)を開始して4ヶ月くらいの患者さんが、手のふるえとしびれ、足がもつれる、という症状を訴えて来院されました。何度か経験があるのと、先月の脳MRで異常がなかったので、すぐに副作用だと判断して、フルツロンの内服を中止しました。

添付文書には、発生頻度は不明、または0.1%未満、などと書いていますが、実際は数%は見られるような気がします。
これらの5FU系の薬剤を内服中の患者さんは、手足症候群、下痢だけではなく、白質脳症にも注意が必要です。

2 件のコメント:

ちっこ さんのコメント...

義父がフルツロンを3年間内服していましたが上記の症状が全て当てはまります
高齢と言う事で内服のせいでは無いかも知れませんが、あまりにもどれも当てはまるので驚きました。
内服を止めて2年過ぎましたが
その頃から認知症である事が分かり通院を始めたので、やはり年齢の問題だったのかも知れませんね。

hidechin さんのコメント...

>ちっこさん
この症状は、パーキンソン症候群の症状に似ています。脳血管障害などによって高齢者では時々生じる症状ですから、ちっこさんのお義父さんの場合はどちらだったのかはわかりませんね。でももしかしたらフルツロンが症状悪化の原因になっていたかもしれませんね。
どんな薬もそうですが、効果と副作用を秤にかけて判断しなければならないので、なかなか難しい場合もありますよね。