2010年3月9日火曜日

おたふくかぜによるウイルス性乳腺炎

子供がかかる感染症に大人が罹患してしまうと、一般的に重症になります。

例えば、
①麻疹(はしか)…通常の上気道炎症状、皮膚症状、発熱に加え、大人では肺炎、脳炎、肝機能障害の発生率が高いと言われ、時に命にかかわります。
②水痘(水ぼうそう)…大人の初感染の場合は発疹の跡が残りやすかったり、高熱が出たりします。通常は大人が水痘ウイルスに再感染すると帯状疱疹の形で発症します。早期に治療しないと神経痛が後遺症で残ることがあります。
③風疹…通常の発疹、発熱、リンパ節腫脹に加え、関節炎、頭痛、まれに脳炎を起こすことがあると言われています。また、妊婦がかかると胎児に影響を及ぼします(風疹症候群)。

そして、先日、おたふくかぜにかかった女性が、乳房の腫脹と強い痛みがあるということで受診の相談が入りました。まだ少し授乳をしているということだったので、たまたまうっ滞性乳腺炎が合併しただけか、乳腺症によるものだと思ったのですが、念のため調べてみました。

③流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)…耳下腺や顎下腺などの唾液腺の腫脹と発熱が主症状ですが、大人の場合、髄膜炎を起こしやすく、まれに致死的な脳炎を合併します。男性なら精巣炎、女性なら卵巣炎(約5%)、乳腺炎(15-30%)を起こすこともあります。

ということでした!

長年医者をやっていますが、初めて知りました。というか、大人のおたふくかぜ患者さんを見たのも初めてだったので当然ですが…。意外と乳腺炎を起こすことが多いんですね。

その患者さんは、連絡を受けた時がピークで検査をした時には炎症も収まってきていましたので、エコー上は特徴的な炎症所見は見られませんでした。治療はおたふくかぜ自体が特に何もしないので、痛みが強い時に消炎鎮痛剤を飲むくらいで自然に治癒するようです。

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