再発すると治療に難渋するトリプルネガティブ(TN)乳癌ですが、続々と新薬の国内臨床試験が行なわれつつあります。
その代表がDNA修復阻害剤の一種であるPARP1阻害剤という薬剤です。2009年のASCOにおいてその有効性が報告され、注目されたのをご存知の方も多いと思います。このとき報告されたのは次の2つの薬剤です(詳細は浜松オンコロジーセンターの渡辺亮先生がまとめたスライドをご参照ください http://www.sagara.or.jp/osirase/data/webkan16.pdf)。
①BSI-201
治療抵抗性のTN再発症例に対して、ジェムザール+カルボプラチンの併用療法における上乗せ効果が確認された(病勢進行するまでの期間が6.9カ月vs3.3カ月、全生存期間は9.2カ月vs5.7カ月)。
②オラパリブ(olaparib)
BRCA1またはBRCA2遺伝子変異をもち、それまでの治療に抵抗性であった進行乳癌にこの薬剤(単剤)を投与した結果、奏効率は、高用量(TN患者の割合は50%)で41%、低用量(TNの割合は64%)で22%だった。
②についてはすでにアストラゼネカ社が国内開発に着手しており、乳がんや卵巣がんなどを適応症に据えて臨床試験を進めているとのことです。そしてサノフィ・アベンティス社が国内開発すると今回発表した「イニパリブ」というPARP1阻害剤は、おそらく①のBSI-201のことだと思われます(検索しても確認できませんでしたが)。日本では第1相臨床試験を近く始め、2~3年後の承認申請を目指すとのことです。
副作用もそれほど問題はないようですし、TNにも有効な貴重な薬剤ですので、国内の臨床試験が早く終わって承認されるといいですね。
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