2010年11月21日日曜日

乳癌の治療最新情報22 ハラヴェン(一般名 エリブリン)

エーザイ社製の乳がん治療薬「ハラヴェン」(一般名 エリブリンメシル酸塩)を米食品医薬品局(FDA)が承認しました(http://www.eisai.co.jp/news/news201064.html)。

この薬剤はアントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種類のがん化学療法による前治療歴のある転移性乳がん患者において、単剤で統計学的に有意に全生存期間(OS)を延長した世界で初めてのがん化学療法剤です。国際共同第III相試験「EMBRACE」におけるエリブリン投与群のOSは13.12カ月で、治験医師選択療法群との比較で2.5カ月の延命が確認されています。

エリブリンは、クロイソカイメンから単離された天然物「ハリコンドリンB」の合成類縁化合物です。新しい作用機序(細胞分裂装置の主体となる微小管の短縮には影響を与えずに、微小管の伸長を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮する)を有する非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤で、2−5分の静脈投与で行えますので外来投与に適している可能性があります。水溶性が高く、溶解補助剤も不要です。

気になる副作用ですが、高頻度(頻度25%以上)に認められた有害事象は、無気力(疲労感)、好中球減少、貧血、脱毛症、末梢神経障害(無感覚、手足等のしびれ)、吐き気、便秘で、特に重篤な有害事象として報告されたのは好中球減少(発熱を伴う症例が4%、発熱を伴わない症例が2%)でした。またハラヴェン投与中止に至った主な有害事象は末梢神経障害(5%)だったということです。

米国では近日中に発売予定だそうです。日本や欧州でも承認申請中なので来年にでも認可されるかもしれませんね。

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