先日発売になったデノスマブ(商品名 ランマーク)ですが、さっそく1人の患者さんに投与を開始しています。
皮下注射を4週に1回ということで手軽に投与できる治療薬で、ゾメタより有効性も高い(これは以前にもここで書きました)ということもあって、他の施設で骨転移治療薬を全面的にランマークに変更したところもあるようです。しかし私自身はぞういうつもりは当面ありませんでした。初期投与はゾメタで十分に有効性がみられていること、ランマークのほうが高価であること、新薬のため、安全性に若干の不安があることなどがその理由です。しばらくはゾメタ使用中に悪化してしまった患者さんに限定して投与するつもりで考えていました。
発売して間もないのですが、5月に入ってやはり心配していた副作用の情報が入ってきました。米国においてランマーク投与後に低カルシウム血症によって3人が亡くなっていたことが判明し、製薬会社からあらためて注意喚起の文章が出されたのです(http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201205_2.pdf)。発売時(4月)の添付文書には低カルシウム血症の発現に注意する旨の記載はありましたが、死亡例発生に関しての記載はありませんでした。
低カルシウム血症の初期症状は、唇のしびれ、指先のしびれ、突っ張り感です。ひどくなると全身のけいれん、不整脈、意識混濁を起こします。私自身は死に至るまでの低カルシウム血症を起こした患者さんの経験はありませんが、ランマーク使用時には厳重な注意が必要なようです。血中カルシウム値の定期的なチェックももちろん大切ですが、上に書いたような初期症状が出たら早めに受診して対処してもらうことが最も重要だと思います。
8 件のコメント:
はじめまして。
乳癌について調べていたところ、先生のブログを見つけました。
私は30代の女性で、妊娠、出産経験はありません。
先日、入浴時に片方の乳首から出血があり(この日一度だけ)、乳腺科のある病院に行きました。
診察の時は出血したところがかさぶたになっていましたが、出血はありませんでした。
マンモグラフィーとエコーをやっていただき、結果は特に問題となるものはないとのことでした。
出血の原因がわからないので、詳しく調べるにはMRI検査か乳腺内視鏡検査があると聞き、MRIではうつらないこともあるとのことだったので乳腺内視鏡検査を受けようかと思っています。
現在は出血はなく、出血していた方の胸が張っていて痛いような感じと少し熱い感じがするだけですが、乳腺内視鏡の検査時に出血してなくても検査はできるのでしょうか?
検査の結果、乳癌だった時のことを考えるととても心配ですが、このまま出血の原因がわからなかった時のことも心配です。
先生ならどのようにお考えになりますか?
(間違えて同様のコメントを1月の先生のブログにも書き込んでしまいました・・・・。
すみません。)
>匿名さん
はじめまして。
まず、乳頭からの分泌が止まってしまえば乳管内視鏡も乳管造影もできません。
私ならまずMR(必要に応じて乳管造影も)を行なって病変の位置とどのような疾患が疑われるかをまず調べると思います。どこに病変があるのかわからないまま乳管内視鏡を行なうより、MRの情報を得てからのほうが良いのではないかと考えるからです。
もしMRでまったく病変が写らず、分泌も止まった場合には少し経過観察をしても良いと思います。なぜなら炎症などで一時的に出血したとか微小な乳管内乳頭腫が原因という可能性も高いと思いますし、仮に非浸潤がんでもMRで写らないような微小な病変なら少し経過を見ても大丈夫だと思うからです。というか、超音波検査、マンモグラフィ、MRで写らず、分泌も止まってしまった場合にはそれ以外に方法はないと思います。
お忙しいところお返事ありがとうございます。
先生のお考えを参考に、見ていただいている先生と相談したいと思います。
ちなみに先生だったら、MRI検査で何も問題なかった場合どのくらい様子を見ても大丈夫だとお思いですか?
また、その後はどんな検査をしていったらよいでしょうか?
>匿名さん
私なら3-6ヶ月後に超音波検査をします。6ヶ月後でも問題ないと思いますが、患者さんが不安を持っているようでしたら3ヶ月後に念のため確認します。もちろん途中で再度血性乳頭分泌が出現するようでしたら受診するようにご説明します。それではお大事に!
ご丁寧なコメントありがとうございます。
とても不安だった気持ちが少しづつ和らぎました。
MRI検査を受けてみようかと思っています。
ありがとうございました。
temariです。
デノスマブの副作用の報告、驚きました。結局ゾメタを再開したので、私の次のカードなのですが・・・亡くなった患者さんに何か副作用を引き起こす要因があったのでしょうか。
私は、今フェソロデックス(先日3回目が終わりました。これからは4週毎なのでほっとしています。)とゾメタで治療しています。ただここにきて骨の痛みが顕著(骨シンチでは特に大きな変化なし。深くなっている?と言われました)なので来週ストロンチウム89の内部照射を受けることにしました。
これは、癌治療ではなく、疼痛緩和が目的なのですよね。痛みがなくなるだけでも生活は改善される、と言い聞かせているものの、高価な治療なので、付加効果を期待してしまいます。
>匿名さん
お役に立てたなら良かったです。MRの結果が良いことをお祈りしています。お大事に!
>temariさん
死亡にまで至った要因については製薬会社からまだ情報をもらっていませんので何とも言えません。ただ、3人の中には予防的にカルシウム剤を処方していたにも関わらず低カルシウムになってしまった方もいたようですので、何らかの病態(骨転移の範囲や経過、腎機能など)によって重篤になりやすい傾向というのがあるのかもしれません。また詳しい情報がわかりましたらアップします。
ストロンチウムの内照射を受けるのですね。効果が見られることをお祈りしています。お大事に!
コメントを投稿