2013年9月20日金曜日

Second opinion

以前は、もうすでに手術の日程が決まっているのに突然、”他の病院で手術をすることにしたので入院をキャンセルして欲しい”という連絡が入ったこともありました。そのたびに”何が悪かったのだろう…”とショックを受けていたものです。やはり有名病院やクリニックでの診断は信用するけど私たちのような一般病院では信用できないのだろうか…とずいぶん悩みました。

G病院から戻ってからのこの15年あまり、私たちの病院でも乳がんの診療を頑張っているんだということをアピールするために、さまざまな活動を行ってきました。学会活動や研究会への参加はもちろん、ピンクリボン運動、With youなどの患者さん関連のイベント、マスコミへの出演、Web上の活動など、考えうる限りで努力してきました。その甲斐あって、札幌の乳腺外科の先生方には顔を覚えていただけましたし、臨床試験の策定に関する活動に声をかけていただいたり研究会の症例提示の依頼をしていただけるようにもなれました。

一方その間にセカンドオピニオンという考え方も徐々に普及し、私たちの患者さんへの説明の方法も変化してきました。セカンドオピニオンが認知された最近では、こちらから”セカンドオピニオンのご希望があればご紹介します”とあらかじめご説明するようにしています。こちらからお話しすると以前のように黙って他の病院に受診してしまうことがなくなりますし、同じ検査を2回も3回も受ける必要がなくなり患者さんの負担も軽減します。

それでもセカンドオピニオンという概念が出始めたころは、セカンドオピニオン=転院と考えていた患者さんも多かったですので、一度セカンドオピニオンを受けてしまうと戻ってこないケースもありました。しかし、最近では本当のセカンドオピニオンが行なわれるようになってきたような印象を受けます。紹介先の先生もよく知っている先生方ですので、こちらの診断・治療方針には問題ないと説明して下さり(追加のアドバイスを下さる場合もあります)、患者さんもこちらで安心して治療を受けて下さるようになってきました。

最近も2人、セカンドオピニオン後にこちらで手術を希望されたケースがありました。SクリニックのO先生にはいつも大患者さんへのご説明を丁寧にして下さり感謝しています。セカンドオピニオンを希望されたときは、いつも”戻って来てくれるだろうか?”と心配になるのですが、戻って来て下さったときは本当にうれしいです。そして患者さんも、より納得して治療を受けることができますので、セカンドオピニオンは患者さんにとっては望ましい手段なのだと思います(画像データのCDR作成や紹介状を書いたり、何度も説明の時間を確保したりとけっこう大変ではありますが…)。ただ、セカンドオピニオンに送り出す主治医は、診断や方針に違いがなければ患者さんが納得して戻って来て下さることを待ち望んでいるのだということを理解していただければと思います(もちろん医師との相性もありますし、最終的に判断するのは患者さん自身です)。

6 件のコメント:

えり さんのコメント...

お久しぶりです。
お忙しそうですが、体調を崩されてはいませんか?
昨日の見事な満月は見られましたか?

私の初診は、近所のクリニックでした。
そこで各種検査をして、翌週結果を聞くはずだったのに、その日を待たずに、クリニックから「あまり良さそうなものではないようなので、近いうちに来てください」と連絡がありました。
そこで、おそらくガンだろうと言われ、大きな病院を紹介されました。
クリニックで撮った画像や検査結果は、システム上使えなかったようで、何もかもが最初からやり直しになってしまったのですが、病院も先生も納得できるものだったし、早く処置をしてもらいたくて、そのままそこでお世話になることにしました。
その病院の近くに、もう一件ガン治療で有名な病院があり、セカンドオピニオンの話も家族内でちらりとあったのですが、当時は、なんだかもうそれどころではなかったのかもしれません。
結局片道一時間近くかけて通いました。
今でこそ、ホルモン治療と定期検診だけになったので、3ヶ月に一度のペースですが、毎週の抗ガン剤治療の時は、交通費もバカにならなかったですね。
今となっては懐かしい思い出ですが・・・

今日、先日放送していた、ガン幹細胞についてのテレビを見ました。
またしても、漠然とした恐怖心との戦いです。
治療終了後から半年、5年、10年の間に再発しなければ完治したことになる、という意味が、わかったような気がしました。
正直怖いです。
苦い思い出が、また現実のものとならないようにしたいです。



なんでガンなんてあるんだろう。
人口が増えすぎだから、神様の淘汰なのかしらとか、しょうもないことを考えてしまいます。。

関西の専門医 さんのコメント...

関西の専門医です
自分の場合、単純な判断で済みそうな場合は、「セカンドオピニオンはどんどんいっても結構ですが、おそらくどこいかれても同じ意見を言われると思いますよ。(もちろん正直にそう思います)」
といい、ややこしい症例は
「う~ん、これは専門医でも判断に迷います。セカンドオピニオンいかれますか?でも、自分は近隣の大きな乳腺専門施設のカンファレンスに出席しており(月に6回ほど)、あなたの症例について検討して、多医師の意見を聞くことも可能です。どうされますか?」
といえば、ほとんどの方は
「先生にお任せします。ベストの方法を考えてください」
といわれますね。従ってセカンドオピニオンはほとんど紹介したことがありません。

決して、セカンドオピニオン否定しているわけではありませんが、患者さんの経済的、精神的負担も考えると、このように自ら道を提示してあげるのも一つの方法かと思います。

hidechin さんのコメント...

>えりさん
何故自分はがんになってしまったんだろう、とほとんどの方は思うと思います。でもだれも悪くないし、えりさんの今までの行動のなにかが悪かったわけではないのですよ。
がんは昔からあったのです。ただそれ以上に様々な感染症などによって若いうちに亡くなる方が多かったために今ほど問題にならなかったと言うこともできます(もちろん様々な環境要因の変化で昔よりがんになりやすい状況にはなっていると思いますが)。そのことをあれこれ考えてもえりさんにとってプラスにはならないと思いますので今できることを頑張って、今の時間を大切にしましょう。
私は昨日の東京出張で少し疲れていますが元気です。満月は残念ながら見ませんでした(泣)
それでは。

hidechin さんのコメント...

>関西の専門医さん
お久しぶりです。
関西の専門医さんが書いているような説明とまったく同じような説明を私もしています(今回セカンドオピニオンでご紹介したDrも顔なじみのDrで一緒に研究会に参加していることも話していました)。
関西の専門医さんは私の施設より症例数の多い病院にお勤めなのかもしれませんし、地域性という違いもあるのかもしれませんが、私の病院のような札幌の辺縁におりますと、ご本人はきちんと納得して入院予約をして帰っても知人や親戚にセカンドオピニオンを勧められることは時々あるのです。当初はそのことに気づかずにてっきりこちらで治療を受けていただけると思っていたのに黙って受診してしまうようなケースが起きてしまったのです。ですから最近ではより詳しくセカンドオピニオンについてご説明するようになったという経過です。そのことでかえってこちらに戻ってきてくれるケースが増えたわけですので私はそれでも良いのではないかと思っています。なお、当然ですが、セカンドオピニオンを実際に希望するのは手術症例のごく一部です。ほとんどはセカンドオピニオンについてお話ししても当院で治療を受けて下さっています。

hiro さんのコメント...

先日、潜在性乳がんの記事にコメントさせていただきましたhiroです。

免疫染色でホルモン療法も効くタイプの腺癌だと。

この検査結果を持って明日セカンドオピニオンです。

ずっと検査していた総合病院、乳腺専門医の先生だし、一生懸命診てくれて私個人的にはこのままお任せで、と思っていました。
セカンドオピニオンは受けるつもりありませんとも言い切ってましたが、どのように治療を選択し進めていくのは私本人だと言われ、後悔しない為にも手術方法でほかの選択をした場合のリスク等…聞いてみてもいいのかな?って思ったんです。

で、なんとか自力で見つけた診療所で受けることを主治医に伝えました。
そしたら。。。大先輩です!!是非聞いて来て下さい!!
と、よくぞここの先生を見つけて来てくれた!
と言わんばかりの喜びようでした。

おそらく…私のような少ない症例は先生も不安だったのかなぁと思いました。

とにかく主人と明日行ってきます!!


hidechin さんのコメント...

>hiroさん
そうですか。主治医の先生が知っているDrで良かったですね。聞きたい点はあらかじめメモしておいて納得いくまで聞いて下さいね。
受けて良かったというセカンドオピニオンになることをお祈りしています。それではお大事に!