2014年5月24日土曜日

札幌乳癌カンファレンス 2014

今年第4回を迎えるAZ社主催の「札幌乳癌カンファレンス」が、市内某ホテルで昨夜行なわれました。

Session1はG病院病理部のA先生による特別講演でした。今回のテーマは「乳癌の不均質性」。かなり専門的になりますので詳細な内容は割愛しますが、G病院の膨大な病理標本から得られた様々な所見を提示されながらお話しされた内容は目から鱗が落ちるようなお話でした。たとえばホルモンレセプターの陽性率が60%だとしても残りの40%は陰性です。本来がん細胞は1個の細胞から分裂して増殖するので同じような性質の細胞の塊になるはずなのに性質が違って見える細胞が混在している、これを不均質性と言います。HER2もKi-67も核異型度も組織型もがんの組織の中には不均質性がみられます。これはどうしてなのか?というお話でした。もちろん、よくわかっていないことも多いのですが、数多くの標本を見てきたA先生の推論や示唆は大変勉強になりました。

そのあとのSession2「診断に難渋した症例」の症例検討は私が司会をしました。いつもはA先生が病理の解説と司会を兼ねるのですが、今回初めて別に司会を置いたため、ちょっと戸惑いながらもなんとか無事終了することができました(汗)。症例は3施設から提示されました。嚢胞内腫瘍なのか?腫瘍に嚢胞様成分が伴ったのか?という画像的にも病理診断的にも非常に興味深かった症例、非浸潤がんに乳管内乳頭腫のような組織が混在し、どのように病理診断すべきか、どのように形成された腫瘍なのかが問題になった症例、乳腺のはずれに発生し、画像的には典型的な乳がんのように見えた顆粒細胞種の症例の3例でしたが、A先生の切れ味鋭いコメントに、司会をしながら感動していました。

終了後は懇親会で親睦を深めました。今回は以前私たちの病院の担当MRをされていて現在G病院の担当をしているKさんがA先生に同行されていて久しぶりにお会いすることができました。大変仕事ができるMRさんでしたが、お元気にご活躍されているようで安心しました。A先生は先日腰を痛めてしまったようで辛そうでしたが無事東京に戻られたでしょうか?機内で座っているのはけっこう腰に来ますのでちょっと心配です…(汗)

この会は、また来年も開催できそうです。乳腺病理の第1人者のA先生に直接1対1でお話をうかがうことができる機会はそう多くありません。また来年も勉強させていただけるのを楽しみにしています。

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