米Bayer Healthcare Pharmaceuticals社と米Onyx Pharmaceuticals社は、先日、経口マルチキナーゼ阻害型抗癌剤(分子標的薬の一つ)であるソラフェニブ(商品名:ネクサバール)とカペシタビン(ゼローダ)を局所進行または転移性のHER2陰性乳癌の患者に併用したフェーズ2試験で、無増悪生存期間の有意な延長が見られたと発表しました。
ラパチニブ+カペシタビンと同様に、経口投与可能な薬剤の組み合わせは、患者さんにとってQOLをあまり損なわず、有益な治療法と言えます。
ソラフェニブは2008年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、アリミデックスが無効になった患者さんに同時投与すると、アリミデックスに対する耐性(効かなくなること)が解除されるという報告があった薬剤です。
今回の試験の対象は化学療法歴が1回以下の患者229人。ソラフェニブ400mgまたは偽薬と、1000mg/m2のカペシタビンをそれぞれ1日2回投与する無作為化二重盲検で行われました(カペシタビンは14日間連続で投与、その後7日間休薬)。結果は、安全性と忍容性に問題はなく、ソラフェニブ/カペシタビン併用群において有意に無増悪生存期間の延長が見られたそうです。
その他にもソラフェニブを乳癌治療に用いる臨床開発が行なわれています(ソラフェニブ+パクリタキセル、ソラフェニブ+ゲムシタビンまたはカペシタビン、ソラフェニブ+ドセタキセルまたはレトロゾール、あるいはその両方など)。
本当に最近の新薬の臨床研究のスピードは速くて、ついて行くのが大変です。でも癌と戦う武器は多ければ多いほどいいですよね!
<2009.10.5 追記>
本試験結果は、ドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)合同会議で報告されました。
偽薬群に比べ、無増悪生存期間の延長が74%みられ(有意)たそうです。ソラフェニブとカペシタビンの併用において、新たな有害事象は観察されず、概ね忍容性に優れているとのこと。よく見られたグレード3/4 の有害事象は、手足皮膚反応、下痢、呼吸困難、好中球減少症、粘膜炎だったと報告されています。
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