2009年9月6日日曜日

ホルモン療法の副作用1 関節痛1

アロマターゼ阻害剤(AI剤=アリミデックス、アロマシン、フェマーラ)を内服した場合に最もよく見られる副作用が関節痛です。

投与後、数週間から数ヶ月で発症することが多いようです。最初は朝に強く、夕方に軽快する手指のこわばりで発症し、徐々に関節の痛みが強くなるケースが多いですが、膝や肩などの大きな関節から発症した患者さんもいます。

消炎鎮痛剤の内服で軽快する場合もありますが、症状が強い場合はAI剤の継続が困難になります。ただ、副作用に対する漠然とした不安が症状を悪化させることもあります。最近、AI剤で関節痛が出た患者さんの方が出なかった患者さんより、有効性が高かったという報告が出ましたので、そのことをお話しするとなんとか頑張って内服してくれるようになりました。

症状は慢性関節リウマチにとてもよく似ていますので、運動療法が症状の緩和に役立ちます。最近アップされた、乳がんJPのHP中にストレッチのやり方がムービーで紹介されていますので、参考にしてみると良いと思います(http://www.nyugan.jp/rehabili/kansetu/index.html)。

10 件のコメント:

ちっこ さんのコメント...

今年の春頃から膝などの痛みに悩まされていました。
最初はランニングが辛くなって気付いたのですが、最近では正座から立ち上がる時にも辛いです。
4月からアロマシンの服用に変えたので、主治医に聞いてみたところ、副作用で関節痛が起きているのだろう、との事でした。

副作用と上手く付き合おうと思いながらも
マラソン大会が近いのに5kmのランも辛いのが悩みの種です。

hidechin さんのコメント...

ちっこさんへ

運動される場合はつらいですよね…。治療との両立は少し考えてしまいますよね。上手につきあっていけるとよいですけど…。
ちなみに正座は膝に良くないのでなるべく避けた方が良いですよ。

リンダ さんのコメント...

私もアリミデックスの副作用が強くて、朝起きたときや、座っていて立つときなど辛いです。
いくぶん慣れもあり 緩和したような気もしたのですが、夏場はまた痛みが復活していました。
>AI剤で関節痛が出た患者さんの方が出なかった患者さんより、有効性が高かったという報告が出ましたので、
↑ 
主治医も同じこと言っていました、確かに、これだけが励みになりますね。

あんな小さな錠剤が、すごい働きをするのだと感心しています、しかし ホルモンは身体には重要な役目をしていたのだと逆な意味でも感心しています。

hidechin さんのコメント...

リンダさんへ

本当にそうですよね。AI剤を投与する患者さんは閉経後ですから、血中のエストロゲン濃度はかなり低いはずなのに、それでもAI剤を投与することによってエストロゲンの欠乏症状が出るんですから…。

でも再発予防効果が大きな薬ですから、効果が発揮されることを祈って頑張って継続しましょう!

may さんのコメント...

先日ミクシィで母の件で相談に乗って頂いた者です。ありがとうございました。

ムービーを見て、ボール握りのストレッチをやってみました。
手の強張りがきついようですが、少しずつ無理なく出来る内容でよかったです。
100円ショップで握る用ボールも買ったので一緒に頑張ってみます。
また、水中ウォーキング等のリハビリも始めてみる予定です。

術後の痛みを抑える為にロキソニンを処方されたのが残っているのですが、痛みが強い時はそういった鎮痛剤を飲んでしまってもかまわないのでしょうか?
痛いらしくてすっかり眉間にシワが定着してしまいました(^^;

せっかく再発防止効果の高いお薬だそうなので、なんとか副作用を軽減して続けていければいいと思います。

hidechin さんのコメント...

mayさんへ

さっそく試してみてくれたんですね。継続することが大切だと思いますので少しずつでも続けるようにしてください。
痛みが強いときには、もちろんロキソニンなどの消炎鎮痛剤は内服してかまいません。症状に合わせて継続して内服することもありますから。ただ、腎機能障害(特に高齢の場合)、胃潰瘍などの副作用もありますから、長期にわたって使用する場合には注意が必要です。

みみんご さんのコメント...

hidechin先生、初めまして。
2013年9月に左側部分切除後から、先生のブログをそれ以前にも遡ってすべて読んでいる者です。とても参考になります。実際の診察なしでは安易な回答をされないことも含めて、こちらのブログの趣旨はわかっていましたのでこれまでは訪問だけで、自分の症状に関してはかかりつけ医に相談する等で解決してきました。今回だけは困ってしまって質問させて頂きたいのです。先生のご経験からのご意見で構いませんので考えられる範囲で教えていただけると助かります。

アロマターゼ阻害剤の副作用は服用後割合早めに出て、その後軽減していくと認識してましたが、服用後ある程度時間がたってから現れる事もあるのでしょうか?

私はアリミデックスを2013年11月から服用開始して、ちょうど3年になります。始めはほとんど副作用と言われる症状がありませんでした。いつ頃から椅子や床に座っていて立ち上がる時や朝体が固まっている感じがありましたが、加齢とも思い乳がん治療とは結び付けていませんでした。

夜寝るときに股関節周辺のだるさもありましたが、いつからかは曖昧で、はっきり覚えているのは2015年の後半位からでしょうか。転移とは結び付けてなかったので気にしてませんでした。今年(2015年)9月末頃から今まで腰椎仙骨あたりの鈍痛が良くなったりぶり返したりしてかなり心配になり10月始めに整形外科でレントゲンでしたが骨転移ではなさそうです。背骨が変形してるためとの事でした。夏にも同じような症状がある期間ありましたがいつの間にか消えてました。骨転移についてはまだ気になるので様子を見て対処したいと思っています。

ただ昨日の夜から右股関節のあたりのツーンという鈍痛が消えなくて痛み止めもあまり効きません。左側もいつものだるさです。アリミデックスの副作用の可能性は考えられるのでしょうか。軽くノイローゼ気味になりそうです。

私の病状は、ステージⅠ、HER2陰性、ERPRとも陽性、グレード1、リンパ節転移なし、脈管侵襲なしで放射線治療はしておりません。有明で今年(2015年)3月に2年半検診骨シンチ、肺CT、採血、エコーをしました。次回は2017年3月です。9月にホルモン剤処方のクリニックで採血をしてもらってます。

こちらのブログの趣旨がわかっていると言いつつ長文ですみません。宜しくお願いします。

みみんご

hidechin さんのコメント...

>みみんごさん
はじめまして。

アロマターゼ阻害剤の典型的な関節症状はまず手の関節に出現します。特に朝のこわばり、痛みが日中徐々に緩和するような症状を呈することが多いです。これはリウマチと非常に良く似た症状です。症状は軽いものであれば徐々に慣れてしまうこともありますが、逆に徐々に悪化して内服を継続できなくなる場合もあります。

ただ、すべてが典型的な症状を呈するわけではありません。みみんごさんのような症状も手関節の症状がないのであれば可能性は低いと思いますが完全に否定はできません。私の患者さんの中には、もともと悪かった膝関節の痛みが悪化して関節液が貯留した方もいらっしゃいます。ただこれも本当にアロマターゼ阻害剤の副作用なのか、たまたま持病が悪化しただけなのかわかりません。もともと腰痛がある人の腰痛の悪化についても同じことが言えます。

これらを確かめるにはアロマターゼ阻害剤をやめてみて(もしくはタモキシフェンに変更して)症状が改善するかどうかみるしかありません。それでも改善を確認するためには数ヶ月を要しますのでホルモン療法をやめる場合は、そのことによる不利益も十分考慮しなければなりません。ただ日常生活に支障を来すようであれば休薬やタモキシフェンへの変更もやむを得ないと思います。

なお、先日経験した患者さんで、アロマターゼ阻害剤開始後数ヶ月で手関節のこわばりと強い痛みが持続し、タモキシフェンに変更後も改善しないため、膠原病内科に紹介したところ、関節リウマチだったというケースがありました。もし症状が強い場合はリウマチ専門の医師もしくは整形外科医に紹介していただくのも一つの方法です。
以上です。それではお大事に!

みみんご さんのコメント...

先生、お忙しいところ丁寧なご説明ありがとうございました。私の病状は典型的な副作用の発現とは違ってるなとは思っておりました。ただ、ホルモン療法開始前にもなかったホットフラッシュも今年夏ごろから短期間でたりして今になってアリミデックスの副作用かなとも感じてました。タモキシフェンよりはホットフラッシュは出にくい印象があったのでこれも典型的ではないですね。私は乳がん手術前から不安障害で心療内科にかかっており、ほとんど症状が出ない程に良くなっていたのが、昨年~今年になって逆戻りしてます。ホルモン療法か不安障害かどちらが原因かわかりませんが色々重なってるのかもしれません。整形外科、心療内科、ホルモン剤処方のクリニックで相談してみます。実は先週腰痛がぶり返したり痛みそのものより不安でどうしようもなく手術をした病院に電話したのですが、骨に明らかな異常があると診断されない限り診察予約はもらえないのです。乳腺は患者さんが多いので仕方ないですね。
ありがとうございました!

hidechin さんのコメント...

>みみんごさん
さまざまな専門の先生方に見ていただいて判断するのが良いかもしれませんね。
それではお大事に!