大豆製品に多く含まれるイソフラボンは、植物エストロゲンと呼ばれるものの一つです。人間の女性ホルモンと似た構造をしているために乳癌との関連がいろいろ噂されたことでご存知の方も多いと思います。
実際は、イソフラボンの持っているエストロゲン様作用はかなり弱いようですが、エストロゲンは乳癌を発生、増殖させる原因の一つですので、大豆製品を食べると乳癌の発生を促すとか、乳癌術後の患者さんの再発率を上げるという間違った情報が一部で流れました。
しかし、最近のいくつかの疫学的研究の結果では、大豆製品(豆腐やみそ汁など)を多く摂取している地域では乳癌の発生率が少ないと報告されており、イソフラボンはタモキシフェン(これもエストロゲンと構造が似ています)と同様に、エストロゲンがエストロゲンレセプターに結合するのを妨げるのではないかと想像されています。
ただ、いくら大豆がいいからといって、みそ汁を毎日何杯も飲むのは塩分の採り過ぎになりますので注意が必要です。また、サプリメントとして大量にイソフラボンを摂取することが乳癌に対して抑制的に働くのかどうかはわかっていません。場合によっては摂取過剰状態では悪化させる可能性も否定はできません。ですから、ガイドラインでは、”食品ではなく、サプリメントとしてイソフラボンを多量に服用することが乳癌の発症を減らすという証拠はないので推奨しない”ということになっています。
2 件のコメント:
こういった食品の問題は本当に、人によって見解も違うし、間違った情報の元でうわさが広まったりするので、危険かなっていつも思います。
乳製品についても今いろいろ言われていますよね。
いずれも、現状は、しっかりとした根拠もない情報に踊らされて、それを信じて治ると思って摂取している人もいれば、まったくそういった食品を絶っている人もいらっしゃるようです。
患者さんは藁をもすがる思いで、少しでも病気が治るならとういう思いでそれだけ、必死なんですよね・・
誰でもわかるようなしっかりとした食品の安全性を証明してもらえるような科学的根拠をもとに、安心して食品を摂取できるようになるのは、まだまだ先ののことのようですね。
kimity0115さんへ
つらい化学療法をするより、食事だけで治るならそれに越したことはないですから、患者さんにとっては大きな誘惑になりますよね。お金をあまりかけずに、標準治療をしながら適度な食事療法をするのはかまわないと思っています(大豆製品を多めに摂取するとか…)。
何度も書いていますが、私はこのような食事療法が悪いと言っている訳でもまったく効果がないと言っているわけでもありません。ただ、このような患者心理を巧みについて金儲けをしようとする悪者が多いというのが一番の問題だと思っているのです。そしてそのような人たちに限って、現代医療や臨床医をすべて悪者のように書き立てます。私がこのようなことをブログや乳癌患者さんのコミュニティなどで何度も書くのはそのような悪人たちを駆逐して、患者さんが惑わされないようにしたいからなんです。
そして、もし本当にこれらの食事療法が効果があるのであれば、早く臨床試験で証明して欲しいと思っています。
コメントを投稿