緑茶にはカテキンと呼ばれる抗酸化物質が豊富に含まれるため、がんの予防効果があると言われています。胃がんに関してはそのような予防効果に関する疫学研究があると聞いたことがあります(静岡などの緑茶を多く飲む地域では胃がんの発生が少ない)。
今回国立がんセンターの予防研究部から報告されたのは、緑茶が乳がん発症を抑制するかどうかという疫学研究です。概要は以下の通りです。
対象および方法:対象は1990~94年のベースライン調査に参加した女性5万3,793例。ベースライン時と研究開始5年時点(1995~98年)の中間調査での緑茶の摂取習慣に関するアンケートの結果を用い,緑茶の摂取量,お茶の種類をより詳細に分けた検証を行なった。
結果:ベースライン調査対象者5万3,793例のうち,約13.6年の追跡期間に581例が乳がんと新規に診断された。1週間の緑茶摂取量別に乳がんリスクとの関連を調査したところ,週1杯未満の群(全体の12%)を1とした場合の乳がんリスクは1日5杯以上緑茶を飲んでいる群(全体の27%)で1.12(95%CI 0.81~1.56,P=0.60)と有意な関連が見られなかった。
中間調査における解析では,摂取量,お茶の種類をより詳細に分けた検証が行われた。回答のあった4万3,639例のうち,約9.5年の追跡期間で350例が乳がんと新規に診断された。週1杯未満の群を基準として,1日10杯以上の煎茶を飲んでいた人の乳がんリスクを見たところ,やはり有意な関連は見られず(補正後ハザード比1.02,95%CI 0.55~1.89,P for trend=0.48),番茶および玄米茶でも同様であった(AHR 0.86,同0.34~2.17,P for trend=0.66)。
結局、緑茶では乳がんの予防にはならないという結果でした。
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