以前、ハーセプチンと抗がん剤を結合させた新しいタイプの治療薬(抗体-薬物複合体(ADC)製剤)、トラスツズマブ(ハーセプチン)-DM1(T-DM1)について報告しました。今回はその続報です。
T-DM1は、現在HER2陽性進行性乳がんを適応症とする第1-3選択薬などで治験中です。今回スイスのロシュ社が発表した第2相試験データによると、T-DM1投与群の全奏功率(腫瘍縮小効果)は48%で、トラスツズマブ/ドセタキセル群の41%を上回ったということです。グレード3以上の有害事象発生率はT-DM1群が37%、トラスツズマブ/ドセタキセル群が75%で、有効性、安全性ともに既存療法を上回ることが確認されました。
ロシュ社にによると2012年の承認申請を予定しているそうです。他社でも様々なADC製剤が開発、臨床試験中のようです。T-DM1は、今のところ奏効率が高く、副作用が少ないという理想的な薬剤になりつつあります。今後もこのような薬剤が出てきて欲しいですね!
2 件のコメント:
FDAはT-DM1の迅速承認を蹴りました.現在EMILIA(ラパカペvsT-DM1 2nd line Phase3)をしていますのでこの結果でもって承認申請するようです.日本でもPhase2が始りました.肝機能異常と血小板減少が気になります.
>匿名さん
2010.8にFDAで迅速承認を拒絶した理由は、効果がなかったとか副作用の問題ではなく、症例の選択、適応において、一部基準からはずれたものが含まれていたことが迅速承認の用件を満たさなかったということらしいですね(http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/news/detail/20100901160000.html)。
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