2011年5月23日月曜日

「高額療養費」拡充を検討!

多くのがん患者さんにとって医療費の問題は切実です。乳がんに限らず、がん領域における治療薬の進歩がめざましいのは良いことではありますが、新薬が多い分、薬剤費も高額になります。

大腸がんとの闘病の末、昨年1月に亡くなった故金子明美さんが、室蘭でのがんウオークや国会参加で訴え続けてきたことが実を結びそうです。金子さんのがん患者の高額医療費負担軽減の願いは一歩ずつではありますが前に進んでいます。

読売新聞によると、今回厚生労働省は、医療費の窓口負担が一定額を超えた場合に払い戻しを受けられる高額療養費制度の拡充などを柱とする医療・介護分野の改革案を、「社会保障改革に関する集中検討会議」(議長・菅首相)に提出したということです。高額療養費制度については、「セーフティーネット機能の強化」を図るため、低所得者とがんなどで長期間、高額な医療を受ける患者に関し、負担上限額を引き下げるそうです。必要な財源は、外来患者さんの窓口負担に数百円程度の少額を上乗せする「初再診時定額負担制度」の導入で捻出するということですから、一般患者さんに、高額医療費の患者さんの負担を負ってもらうことになりますので素直には喜べませんが、今の国家財政ではやむを得ないのかもしれません。

いずれにしても、「金の切れ目が命の切れ目」にならないように、医療費負担に苦しむ患者さんの救済制度は絶対に必要です。ただ、薬価自体が非常に高額であることにも目を向ける必要があります。新薬開発に要した費用の回収は理解できますが、本当に今の薬価が適切なのか、開発費を回収できたら自動的に薬価を下げるようなシステムづくりは不可能なのか、開発費用を下げる工夫と努力はこれ以上できないのか、国と製薬会社に検討をお願いしたいところです。

4 件のコメント:

nunu さんのコメント...

先生こんにちは。
ちなみに私の抗がん剤治療代は、保険がなければ日本円で1回80万円です。6回したので480万円です。因みにマモグラムは15万円、超音波は30万円です。明細書が送られてくるたびに腰を抜かしています。
手術や放射線治療費も入れたら家が一軒建てられそうな値段です。
薬や医療機器の開発にお金がかかるのはわかりますが、それにしても度を越してます…

hidechin さんのコメント...

>nunuさん
本当に高いですね。どうも日本人は外国(特に米国)の真似をしたがりますが、日本には日本の良い制度もあるのですから、何でも米国追随はやめて、もっとより良い制度作りを目指してほしいものですね。
nunuさんは保険に入っていたのでしょうか?海外で生活する場合は思いがけない病気にも備えておくべきなんですね。

nunu さんのコメント...

お返事いただいたお礼が遅くなり申し訳ありません。
欧米の医療は素晴らしい、日本は遅れているなどとよく言われますが、先生のおっしゃるとおり、日本の医療にも素晴らしい点が多くあり、欧米の医療にも問題はあるというのが公平な見方だと思います。
もちろん保険に入っています。月々の掛け金が日本円で約4万円、年間30万円までは自己負担、それ以上は保険で全額カバーされる、ただし歯科治療は除外、という商品です。
保険がない人は、ない人用の病院へ行くことになりますが、手術や治療を受けるまでの待ち時間が長いようです。保険がある場合と比べた治療内容がどうなっているのかはわかりません。
国民皆保険でどんな人でも治療が受けられる日本は本当によい国だと思います。
全33回の放射線治療のうち、25回終了しました。保険がないと1回の照射10万円です。というわけで今までの手術や治療費を合計すると1000万円を超えています。

hidechin さんのコメント...

>nunuさん
1000万以上ですか…。すごいですね。
いろいろ問題もありますが、最低限の医療は保険でまかなえる日本はまだ幸せな国なんですね。でももっと良い医療をお金の心配をしないで受けられるような社会になれば本当は一番良いのですが…。今の経済状況では難しいですよね。