以前、ここでも報告しましたが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2010/07/blog-post_22.html)、昨年の7月に米食品医薬品局(FDA)の抗悪性腫瘍薬諮問委員会が進行性乳がんに対するアバスチンの承認の取り消しを可決したため、国内でのアバスチンの乳がんへの適応は遠のいたと思っていました。
しかし今回ロシュから発表された内容によると、転移性乳がんに対する1次治療として、アバスチンとゼローダ(経口5FU系抗がん剤)との併用療法が欧州医薬品委員会(CHMP)から肯定的見解を受けたとのことです。無作為化フェーズ3試験(RIBBON 1試験)においてゼローダ単独投与に比べ、無増悪生存期間の有意な延長が認められた(5.7ヶ月vs8.6ヶ月)ということです。最終的な承認は今年後半の予定ですが、最終結論はどうなるでしょうか?
なお、米国と異なり欧州では転移性乳がんに対するアバスチンとパクリタキセルとの併用療法はすでに承認されています(E2100試験の結果に基づく)。また、日本では中外製薬が大腸がんと肺がんの適応でアバスチンを販売しており、2009年10月に乳がんの適応追加を申請していますが、昨年のFDAの承認取り消し後も申請は取り下げていません。厚生労働省の判断に注目しています。
アバスチンは非常に高価で副作用にも気をつけなければならない薬剤です。パクリタキセルとの併用でもゼローダの併用でも、その不利益を大きく上回る臨床効果を期待したいところです。
0 件のコメント:
コメントを投稿