2009年2月10日火曜日

代替補完療法1 漢方薬1〜総論

私は東洋医学の専門家ではありませんし、東洋医学を否定するものでもありません。
ただ、漢方は安心、無害と思っている方が多いのでひと言言わせていただくと、漢方薬にも副作用があります。専門の漢方治療医のもとで処方されないと体に合わなかったり、肝機能障害やむくみの副作用が出たりすることがあります。

先日もこんなことがありました。
乳癌術後の患者さんが、定期検査で外来に受診し採血をしたところ、血液中のカリウムが2.0まで低下していたのです。よくよく話を聞くとこんな経過がありました。
その患者さんは、数ヶ月前に倦怠感や不眠があるということで近所の薬局に相談に行ったところ、ある漢方薬を出されました。しかし数ヶ月服用しても改善しないため、再度相談したところ、”これも一緒に飲んで下さい。よく効きますよ!”と言われ、2種類の漢方薬を服用していたんです。しかし、症状はむしろ悪化していました。
漢方薬の成分を調べてみると、その2種類の薬は成分の大半が重なっていました。つまり、2倍量服用していたことになります。漢方薬の成分には血中カリウムを低下させ、倦怠感や脱力をきたす副作用があるのはよく知られています。しかし、このような誤った服用を勧める薬局もあるのが実情です。もちろん、自分の判断で複数飲み合わせた場合にも起こりえますので注意が必要です。

乳癌の直接の治療に漢方薬が使われることはまれです。たいてい、抗癌剤の副作用予防や治療目的として補助的に使用されています。
私の経験では1例だけ、漢方での乳癌治療を試みた患者さんがいました。その方は中国出身であったため、乳癌と診断されるとすぐに母国に帰国して、漢方治療の権威の先生にかかったそうです。しかし、1年近くの治療を受けましたが、どんどん腫瘍は増大し、病院に受診したときには簡単には切除できないほどになっていました。最初から手術を受けていれば…と思われた患者さんでした。

この症例が漢方治療のすべてではありませんが、現状ではやはり、治療効果が証明されている手術(+放射線治療)±補助療法(抗癌剤、ホルモン療法、ハーセプチンなど)が望ましいと思います。

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