2009年2月22日日曜日

代替補完療法2 一般的なお話

なかなか主治医には言い出しにくいようですが、知人や家族に勧められて、いろんなサプリメントを飲んでいる患者さんは多いようです。私は、患者さんに相談された場合は、害がなければ基本的に許可しています。ただ、以下の点を理解した上で、判断するようにお話ししています。

①代替補完療法は、臨床的な効果がきちんと証明されていないこと…あたかも証明されているかのように書かれていることもありますが、私たちが”効果がある”と判断するのは、きちんとした大規模の無作為の臨床試験で統計学的に有意な差があった場合です。ほとんどの代替補完療法はこの条件を満たしていません。
②代替補完療法にも副作用は起き得ること…例えばキノコ類(βグルカン)は大量摂取で心筋障害を起こすこともあると言われています。
③あまりに高価なもの、”ガンに効く”と謳い文句が書いてあるもの(これは薬事法違反です)や”私はこれでガンを克服した”などの顔写真入りの宣伝が載っているものは、あやしいものが多いので、手を出さない方が無難です。

かなり昔に、知人が研究しているという薬剤(鉱物から精製したものだったと思います)を家族が勝手に点滴の中に混注させていたことがありました。このようなことは大変危険ですので決してしてはいけません。必ず、主治医に相談するようにして下さい。

私は代替補完療法のすべてを否定するつもりはありません。中には本当に臨床的に効果がみられるものもあるかもしれません。
でも、なぜかガンに効くと長く言われているサプリメントも、臨床試験をしようとはしていません。なんとなく効くんじゃないか?程度のほうが儲かるからかな?臨床試験をして、効果なしと判断されたら、売れなくなるからかな?そんなことを思ってしまいます。
きちんと効果が証明されるのなら、私は大歓迎です。ガンと戦う武器は多ければ多いほどありがたいですからね。

2 件のコメント:

star rin さんのコメント...

緑茶や大豆、イソフラボン摂取による乳がんの発症に予防効果がある・・・・などなど良く巷で言われてますが、エビデンスはいかがでしょうか?結構、口コミで信じて摂取してる方も多いですよね?

hidechin さんのコメント...

そうですね。野菜(人参や大豆など)、緑茶の発癌予防作用は以前から言われており、いろいろな研究、報告がなされています。ただ、かなり多くの住民を対象に長期の観察を要するため、相反する結果が出てしまうこともある(βカロチンは肺癌予防に有効と言われていましたが、人工的に投与して観察すると、かえって肺癌の発生を増加させてしまったこともあります)など、その効果を証明することは容易ではありません。
イソフラボンについては、国内の疫学研究において、閉経前の女性では、大豆摂取量の最も多い群では、最も少ない群に比べて乳癌の危険度が半減していたと報告されています。特に豆腐摂取量では、50g/日以上の群では、20g/日以下の群に比べると危険度は1/3になっていたということです。これらの結果からは、イソフラボンに何らかの乳癌予防作用はあるのではないかと予測されます。
また、魚の摂取量が、乳癌の発生率と相関関係があるという報告もあります。これは、魚に含まれる不飽和脂肪酸の一種が乳癌発生に対して抑制的に働くことによると推測されています。
いずれにしても、100%の予防作用があるわけではありませんし、食事にはバランスも必要です。食生活だけで予防することは困難ですので、やはり早期発見が最も重要だと思います。