2009年3月26日木曜日

がん温熱療法(ハイパーサーミア)

私たちが一般的に、癌と戦う武器として選ぶ手段は、
1.手術、放射線治療などの局所治療
2.抗癌剤、ホルモン剤、分子標的剤などの全身薬物療法
が主です。
最近は、これらに加えて、局所治療としての焼灼療法(集束超音波、ラジオ波、マイクロウェーブなどで癌を焼き殺す治療)や局所+全身に対する温熱療法が行なわれるようになってきています。
これらの新しい治療の問題点は、臨床試験がまだ不十分なため、一部しか保険適応が認められていないことです。

温熱療法の癌に対する治療効果は動物実験レベルでは理論的に十分に裏付けがあります。癌細胞は熱に弱いため42℃くらいで死んでしまうのです。この現象に注目して考えられた治療が温熱療法です。
以前から、手術中の腹腔内を高温水で一定時間還流することで癌性腹膜炎に対する一定の治療効果が得られるという報告はありました。それを専用の加温装置を用いて、体の一部分の温度を上げて治療する方法が現在行なわれている温熱療法です。
まだ、あまり治療を依頼した患者さんはいませんが、抗癌剤の副作用が強くてしばらく休みたい場合や、有効な抗癌剤がなくなってしまった場合など、補助的に行なうには良い治療かもしれません。副作用はほとんど問題になりませんし、繰り返し、頭以外はどこでも治療できますからとてもありがたい治療です。
今後の治療効果の報告に期待したいと思います。

2 件のコメント:

kimity0115 さんのコメント...

手術、放射線治療、化学療法、ホルモン治療といった治療がまだまだ主流のようですが、
様々な理由でそういった治療が受けたくても受けられない患者さんも当然中にはいらっしゃる思います。

そういった患者さんの為にも、治療の選択の余地があるのとないのとでは、前向きな治療をしようとう気持ちにをも左右するほどのことだと思います。

もちろん、新薬が開発されたり、新しい治療方法が標準治療になり保険適用されるまでには、とてつもないデーターと年月が必要だともわかっています。

私も今、治験に参加してホルモン治療を受けていますので、微力ながら、将来的にこの治療が保険適用されるような効果がでる治療方法になってほしいと、その手助けになれればいいなあと思っています。

温熱療法は副作用がない、繰り返し治療できるとういう点では非常に魅力的な治療方法ですね^^

現代医学は本当に日進月歩ですね^^
その治療が将来的に何人もの患者さんを救ってくれる治療の効果を期待します。

hidechin さんのコメント...

そうですね。治療の選択が増えることは患者さんにとっても私たちにとってもありがたいことです。
kimity0115さんがおっしゃるように新薬や新しい治療法というのは、認可が下りるまでに長い年月を要します。多くの患者さんの協力も必要です。もちろん、新薬に対する未知の副作用の危険性を背負わなければなりませんから、できるだけ安全に行なうことが重要ですね。
これからもさらなる新しい有効な治療法が開発されていくことを望んでいます。