2009年3月10日火曜日

トリプル・ネガティブ(TN)乳癌の治療〜今後の展望

この前、TN乳癌は治療に難渋すると書きました。

TNは、術前の化学療法では他のタイプに比べて癌細胞が完全消失する率が高いのに、再発すると、現在標準的に使用されている抗癌剤が効きにくいという特徴を持っています。

ちょっと変わりもののタイプなので、普通じゃない抗癌剤の効果があるかもしれない、と思ったのかどうかは知りませんが、昔よく使っていた抗癌剤や他の臓器の癌に用いる抗癌剤、そして最近注目されている分子標的薬の臨床研究が行なわれています。

①TNによく見られる、BRCA1(癌抑制遺伝子)機能不全によるDNA修復機能低下を逆手に取った治療(DNAを傷つける薬剤)

1)マイトマイシン…昔、日本ではよくCMcF療法として乳癌の補助療法に使われていましたが、効果はCEFに比べて劣るので今はあまり使われなくなった薬剤。
2)シスプラチン、カルボプラチン…肺癌の標準的な治療薬。乳癌には保険適応はありません。
その他、ブレオマイシン、エトポシドなど。

②分子標的薬(癌細胞膜に多く発現する、細胞増殖に関与する蛋白質やそこから細胞内への伝達経路を選択的に阻害する薬剤)

1)EGFR阻害剤…cetuximab、gefitinib
2)c-KIT阻害剤…imatinib
3)multikinase inhibitor…lapatinib、pertuzumab、sunitinib、dasatinib
4)VEGFR阻害剤…bevacizumab

なんだか難しい話になってしまいましたが、これらのうちのいくつか(またはその組み合わせ)で臨床試験が進んでいます。
個人的には、少なくともシスプラチンやカルボプラチン、bevacizumabは、良い結果が出そうな印象を持っています。

早くTNに効果的な治療法が、保険適応になって使用できるようになれば良いですね。

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