今日は午前、午後にうちの技師の発表があったので症例報告の口演を聞きに行きました。発表は二人とも無難に終了し、やっと肩の荷が下りました。
他には午前中にマンモグラフィのfilm readingという読影試験を受けて、ランチョンセミナーは友人のK先生の講演を聞きに行きました。
午後は、以前お世話になったN先生の特別講演を聞いてから、公開シンポジウム「札幌市民の声ー日本人女性は何故、乳癌検診を受けないのかー」を聞いてきました。
平成19年度の全国の乳がん検診受診率は14.2%、北海道は18.3%、札幌は17.9%です。一方、乳癌死亡率が低下してきている欧米の乳がん検診受診率は軒並み75%以上…。やはり乳癌死亡率を低下させるためには50%以上の受診率が必要です(ちなみにこれだけ明らかな早期発見の重要性のデータがあるにも関わらず、いまだに乳がん検診は意味がないとか、被爆で乳癌が増えるなどと言う人たちがいることが信じられません)。
11/3から行なわれていたピンクリボンウィークのイベントで調査したアンケート結果によると、乳がん検診を受けない理由の1位は自分は癌にならないと思っていること、2位は検診費用が高いこと、3位は検査が怖いことだったそうです。他には、時間がないとか恥ずかしいなどの意見がありました。一方で、ではこれらの課題がクリアされたとしたら、果たして本当に検診を受けるのだろうか?という疑問も出されました。結局、受けるか受けないかは、時間があるとかお金がかかるとかだけではなく、受診者の検診に対する意識の問題ではないだろうかという意見です。私も自分の周りの女性たちとの話からもその通りだと感じています。病院の職員も、これだけ乳癌患者さんを目の当たりにしていて、検診を受けなきゃだめだという自覚を持ちながらも、実際はなかなか受けていないのが現状です。
検診受診のきっかけになるためには、パネリストからも意見が出されましたが、例えば友人に誘われるとか、知人が乳癌になってしまって勧められたなどの周りからの後押しが必要だろうと思われます。アメリカのように生命保険会社が積極的に加入者に働きかけて検診を義務化するとか、低所得者には毎回全額補助を出して、積極的に誘うなどの努力も必要だと思われます。企業検診を行なっているところもありますので、国や自治体が企業に補助を出して、就労者全員に検診を義務化するのも良いでしょう。いずれにしても、受けた方がよいと思っている人たちの背中を押してあげる工夫が必要だと感じました。
学会終了後は、発表した技師さんたちの慰労会&反省会と今後の学術活動についての議論を交わしました。現状に満足していては進歩もないし、後輩も育ちません。自分が常に向上心を持って仕事に取り組んでいる姿を見せることが、後輩の育成につながり、ひいては病院のレベルの向上、そして何より患者さんに対してプラスになるということを確認し、これからも学術活動に積極的に取り組んで欲しいというようなお話をしました。これはいつも思っていることではありますが、昨日のK先生のご講演で思いを強くしたことです。人に言うからには自分も現状で満足してはいけない、とあらためて思いました。
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