2010年10月15日金曜日

若年性乳がん患者の家族の発がんリスク

ここは乳がんに関するブログではありますが、人間が罹るがんはもちろん乳がんだけではありません。特に高齢化社会になって、一生のうちにがんにかからない人の方が少なくなるのではないかというのが今の日本です。2003年罹患・死亡データに基づく年齢階級別罹患リスク(厚生の指標)によると、日本人が生涯のうちに何らかのがんに罹る可能性は、男性54.5%、女性40.7%もあります。

ですから、よく患者さんから聞かれることがありますが、乳がん患者さんのご家族が何かのがんに罹っていてもまったく不思議はありません。しかし、今回オーストラリアから発表された報告によると、若年発症(35才未満)の乳がん患者さんの家族の発がんリスクは、他の家系に比べると有意に高いということがわかったそうです(メルボルン大学 John Hopperら「British Journal of Cancer」9月28日号)。

オーストラリアでは乳がん患者の40人に1人が35歳未満だそうです。今回の研究は、オーストラリア、カナダおよび米国の乳がん患者500人(いずれも35歳未満で診断)の親および兄弟姉妹2,200人を対象(BRCA1およびBRCA2などの発がんリスクを増大させることが知られている主要な遺伝子変異をもつ家族は除外)としています。

この解析結果によると、乳がん患者の父親および兄弟は前立腺がんリスクが5倍、母親および姉妹は卵巣がんリスクが2倍、乳がんリスクが4倍、近親者全体で脳腫瘍の発症リスクが3倍、肺がんリスクが8倍、尿路がんリスクが4倍という高リスクだったそうです。

白人と日本人とではまったく同等には考えることはできませんが、未知の遺伝子異常が関与している可能性は否定できません。若年発症の乳がん患者さんのご家族は、乳がんや卵巣がんだけではなく、念のため他の臓器のがんについても注意が必要だということは言えそうです。

2 件のコメント:

ゲル さんのコメント...

名古屋に在住しています 尾崎 と申します。

家内が今夏、名古屋日赤で再建手術を実施しました。現在、

放射線治療の最中です。



今後は乳がん患者のために情報や経験を普及すべく家内のホームページを

作成しています。闘病中にいろいろ調べたHPでも御社のHPは

勉強になる部分が多かったです。



そこで、家内のホームページのリンク先に御社のトップページをリンクしたいのですが

よろしいでしょうか?

hidechin さんのコメント...

>ゲルさん
はじめまして。
私のブログが奥様のHP作成のお役に立てるのであればリンクしていただくのは全然かまいません。
奥様の経験がHPを通して多くの人々に伝わって、同病者の力になったり、乳がん検診の啓蒙活動につながることをお祈りしています。HPが完成しましたらまた教えて下さいね。