2011年6月22日水曜日

乳がん検診の結果が「要精検」だった場合⑤〜構築の乱れ(Architectural distortion)


構築の乱れ(Architectural distortion)というのは、腫瘤は明らかではありませんが、正常の乳腺構築が歪んでいる状態のことです。

例として挙げると、
①コア(中心の高濃度陰影)を伴わない放射状の構造物(スピキュラ:spiculation)
②乳腺実質縁の局所的な引き込み(retraction)
③歪み(distortion)や乳腺の痩せ
などがあります。

この構築の乱れで発見される乳がんの代表は、浸潤性小葉がんです。浸潤性小葉がんは、乳腺を縮小させたり、伸びが悪くなったり、横方向に広範囲に広がっていることが多いため、腫瘤像は呈さずに構築の乱れをきたすことが多いのです。他に、非浸潤がんでも構築の乱れで発見されることがあります。また、硬がんでも中心のコアがはっきりせず、スピキュラのみが目立つ場合があります。

一方、良性で構築の乱れをきたす例は以下の通りです。
①傷跡(昔の生検のあと)
②放射状瘢痕(radial scar/complex sclerosing lesionまたはradial sclerosing lesion…写真)…乳腺症の部分症である腺症や乳管過形成などの管腔構造が中心の線維-弾性組織帯から放射状に配列したもの。異型乳管過形成や非浸潤がんを伴う場合があります。
③”何もない”…何もないのに乳房の挟み方の加減や単なる乳腺の生理的左右差を構築の乱れと取ってしまう場合があります。講習会や学会の読影テストで難しい構築の乱れを見せられると、異常はないのに構築の乱れではないかと気になって仕方なくなることがあります(汗)。

構築の乱れが明らかであれば、カテゴリー4になり、傷跡がなければがんの可能性を十分に考慮しなければなりません。微妙な場合は、”構築の乱れの疑い”としてカテゴリー3と判定します。乳がん検診の精度管理上、このカテゴリー3(構築の乱れの疑い)を増やしすぎないようにすることが、FADと同様に読影者側から見ると重要です。

*ご質問をされる前にhttp://hidechin-breastlifecare.blogspot.jp/2013/10/blog-post.htmlをご覧下さい。

4 件のコメント:

たかママ さんのコメント...

いつも読ませて頂いています。
私は、今年6月に小葉がんの手術をしました46歳です。抗がん剤治療も終わり、これから放射線治療とホルモン治療になります。
今までの事を振り返っておりましたら、気になることがでてきました。
マンモグラフィを5月に受けました時は、小さい白いものがひとつ写っていまして、その後検査をし6月の中旬に小葉ガンの診断がでました。
その間に腫瘍が2つ増え、どんどん大きくなっていきました。
乳がんの腫瘍が、短い間に増え大きくなるには、どんな状況が考えられるのでしょうか。
腫瘍に傷をつけると、散って増えていくと昔に聞いたことがありますが、実際にはありえるのでしょうか。
術後病理診断では、腫瘍径 220×175
mmと書いてありました。
よろしくお願いします。

hidechin さんのコメント...

>たかママさん
はじめまして。
浸潤性小葉がんの場合は、術前診断で予想していた範囲より思いのほか乳腺内を広く広がっていることが多いです。ですから本当に急速に大きくなったのかどうかは経過を見ている主治医でなければわかりません。お聞きになってみてはいかがでしょうか?本当に短期間に急激に大きくなったとしたら、それはそのがん細胞のもともと持っている性質によるものと思われます。かなり昔はがんにメスを入れると増殖が速くなると信じられていた時代がありましたが、今では否定的な見解が主流です。ですからたかママさんの場合も針生検などで刺激をしたから急に増殖スピードが速まったとは考えにくいです。
取り急ぎ以上です。

たかママ さんのコメント...

ありがとうございました。
先生には、一度伺ったことがあるのですが
「ん…」っと うなって答えていただけなくて。
かなり確実なことしか言って頂けないのです。
先生の予想?個人的な意見を聞きたい時がたまにあります。
誠実で丁寧な先生なので、信頼していますが
もうひとつ踏み込んで言って欲しいです。
今度、もう一度聞いてみます。
ありがとうございました。

hidechin さんのコメント...

>たかママさん
医師も人間ですので何でもわかるわけではありません。むしろ実際はわからないことの方が多いのですよ。予測で判断しなければならないこともありますが、無責任に予想だけで話すこともできないのです。きっと主治医の先生は慎重な方なのだと思います。たかママさんが疑問・不安に思っていることは積極的に聞いていただいて良いと思いますが、わからないこともあるということをご理解下さいね。
それではお大事に!