2011年7月4日月曜日

エリブリン(商品名 ハラヴェン)続報

乳癌の治療最新情報22(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2010/11/22.html)でもお報せしましたが、いよいよエリブリン(商品名 ハラヴェン)が日本でも4月に認可され、7月中に発売になりそうです。

適応は、「アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤での治療歴を含む化学療法施行後の手術不能または再発乳がん」とのことです。エリブリンは海外第Ⅲ相試験(EMBRACE試験)において、単剤で初めて、前治療歴のある進行または再発乳がんにおける全生存期間(OS)を有意に延長した薬剤です(エリブリン投与群 vs 主治医選択治療群の全生存率 13.2ヵ月 vs 10.5ヵ月、ハザード比:0.81、p=0.014)。
ただ、安全性については骨髄抑制が高頻度に認められており、とくに好中球減少が多く認められているため、注意が必要です。

この薬剤の特長として、投与時間の短さ(2-5分の静注または点滴)と簡便さ(過敏反応予防のステロイドなどの前処置が不要)が挙げられます。したがって投与ルート確保、投与、フラッシングまでを約30分で終えることができ、患者さんと看護師の負担を軽減できます。外来化学療法室での投与に非常に適した治療と言えると思います。

アンスラサイクリン、タキサン耐性乳がんの治療手段に新たな薬剤が加わることは、再発治療中の患者さんにとって、光明だと思います。私の患者さんの中にも待っている患者さんがいらっしゃいます。ただ、新薬ですので十分に注意して投与しなければなりませんね。

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