2011年9月6日火曜日

がん化学療法に関わる看護師の抗がん剤曝露リスク

現在日本の多くの病院やクリニックの外来や病棟で化学療法が行なわれています。その一方で、化学療法に関して専門の知識や技術を有する、いわゆる「がん化学療法看護 認定看護師」は日本看護協会のHP(http://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/nintei/touroku/show_unit.cgi?mode=subcategoryb&subcategory=%82%AA%82%F1%89%BB%8Aw%97%C3%96%40%8A%C5%8C%EC)によると全国で844人しかいません(北海道では30人)。

化学療法を行なう看護師に求められるのは、患者さんに対して、安全に薬剤を投与し経過を観察を行ない、療養指導をするのはもちろんですが、看護師自身の健康を守るということも重要です。偶発的な抗がん剤の曝露は神経系や生殖器系に有害であり、血液がんリスクを高める可能性があると考えられています。今回、看護師の抗がん剤への曝露は珍しいことではないこと、看護師個人の知識と技量、経験だけではなく、職場環境が抗がん剤曝露を防ぐために大切であるということがミシガン大学のChristopher Frieseらによって報告されました(「BMJ Quality and Safety」オンライン版 8/16号)。

米国では化学療法の約84%が外来クリニックで行われています。今回の報告によると外来化学療法注射センターで働くがん専門看護師1,339人を対象に調査を実施した結果、17%近くに皮膚や眼が薬剤に曝露された経験があることが判明したそうです。また、スタッフも資源も豊富な化学療法クリニックの看護師や、2人以上の看護師による指示の確認を要求されている現場で働く看護師のほうが、曝露に関する報告は少なかったということです。

Frieseらは「皮膚または眼への不慮の曝露は、針刺しと同程度に危険な可能性がある。針刺し事故では事故を最小限に抑え、看護師は直ちに評価と予防的治療を受けるが、化学療法への曝露ではその対応策がない。今回の研究は、作業負荷や組織の健全さ、作業条件の質に注意を払うことが成果を挙げることを示している。単に仕事に対する満足度の問題でなく、これらの職業上の危険に対するリスクを低減する可能性がある」と述べています。なお、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)では、化学療法薬投与に対するガイドラインを公表していますが強制力はなく、化学療法薬を扱う際にガウンや手袋など防護服を用いることが推奨されているそうです。

2 件のコメント:

カピ さんのコメント...

看護師の方の抗がん剤暴露は、外来治療をしている私も少し気になっていた事です。私の通院するオンコロジーセンターは時間帯によっては患者数も多くなります。いつも、何度も名前の確認をされ、点滴の薬剤の確認も患者に薬や量も確認します。看護師による確認もされ、本当に大変なお仕事だといつも感心しています。こういう実態を患者が知る事は、大切な気がします。分りやすい言葉で説明してくださってありがとうございます。

hidechin さんのコメント...

>カピさん
オンコロジーセンターではきちんとした安全管理をされているようですね。このような対応をしてくれると患者さんも安心できることと思います。私たちの病院もさらに安全に化学療法が行なえるような努力をしていきたいと思います。