先月も書きましたが、フェソロデックス(一般名 フルベストラント)が発売になり、この薬剤を待っていた患者さんへの投与が開始しました。
今のところ4人に投与していますが、特に問題は起きていません。両側臀部へ5mlずつの筋肉注射ということで投与時の疼痛が心配でしたが思いのほか痛みの訴えもなく順調です。硬結はもう少し経過をみなければわかりませんが、今のところ患者さんからの連絡はありません。
一番注目している効果についてはまだしばらく経過を見なければわかりません。3ヶ月後くらいの検査で明らかになると思いますが、効いてくれることを祈っています。ただ、今回投与した患者さんたちは、今までにかなり長い治療歴のある方が多いのでなかなか難しいかもしれません。こういう患者さんたちにも効果が見られたら、これからの治療に自信を持ってこの薬剤を使用できます。高価な治療費を払うわけですのでそれに見合う効果を期待したいものです。
8 件のコメント:
来月からこの治療を受けます。
日常生活において気になることがひとつ。
私は、牛乳があまり好きでないということもあり、大豆系でカルシウム・たんぱく質等を摂取するよう努めていますが、この薬剤を使用するということは、エストロゲンは減らす方がよいということですよね?ご存知のように、大豆にはイソフラボンが多く含まれていて、エストロゲンの宝庫です。治療には矛盾することになるのではないかと思うのです。しかし、牛乳や乳製品についても、乳癌との関係性を指摘する説があり、患者としては、食事に取り入れるのに、抵抗がある。
普段、食事を作る立場にある主婦としては、最も気になる食材選び。しかし、担当医も男性で、こと食に関しての質問には、反応がイマイチ。先生は乳癌患者の食生活について、どのようにお考えですか?
>めぐさん
はじめまして。
がん患者さんがとても関心を持つものの一つが食事に関することです。いろいろな人がそれぞれの思惑で本やブログなどで書いていますので振り回されることも多いようです。
イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に構造が似ているために植物エストロゲンと呼ばれています。その作用はエストロゲンと似た作用を呈する場合とエストロゲンの働きを妨げる作用(抗エストロゲン作用)をする場合があると言われています。
ただイソフラボンについては、様々な考え方があり、すべてがわかっているわけではありません。おおむね判明しているのは、食事として大豆製品を多めに摂取することは乳がんの発生を抑える可能性がある(JPHC Study 厚生労働省研究班による多目的コホート研究:http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/258.htmlなど)、ただし、サプリメントとして大量のイソフラボンを摂取することはエストロゲン依存性の乳がん患者さんに悪影響を与える可能性は否定できないということです(食事としての大豆摂取は乳がん患者さんの予後に影響を与えない、または改善するという論文もあります)。
大豆製品にはイソフラボン以外にも大切な栄養素が含まれており、イソフラボンに過剰反応してこれの摂取を避けることはあまり望ましくないと私は考えます。なお大豆に含まれているイソフラボンの量は多量とは言えません。
ですからサプリメントとして過剰に摂取するのでなければ、大豆製品などを避ける必要はないと思います。
牛乳などの乳製品についても様々な意見があります。この件については以前ここにも書きましたのでご参照下さい(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2009/06/blog-post.html、http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2009/07/blog-post_27.html)。
なお私は栄養学や疫学の専門家ではありませんし、ここに書いていることは現段階の見解であり、将来的には異なる結論になる可能性があることをご承知おき下さい。
それでももしめぐさんがどうしてもご心配でしたら大豆製品や乳製品を避けるのはやむを得ないとは思います。ただし、そのことで栄養的に偏りが出る可能性があることについては十分にご配慮下さい。
早速のご回答ありがとうございます。ホッとしました。仰るとおりで、ひとつのリスクを恐れるあまり、他の多くの大切なものを逃してしまうのは、愚かなことだと思います。それに、今回の場合、抑制効果を期待できるのですから、むしろ積極的に摂った方がよいという結論ですよね?安心してお豆腐・納豆・豆乳をいただきます。サプリメントは味気ないので、しっかり食事でいただいています。
牛乳についても、参照させていただきますね。ありがとうございました。
>めぐさん
イソフラボンを食事から摂取することは乳がんの発生予防になる可能性があるということで、乳がん術後の患者さんの再発予防になるかどうかはまだはっきりしていません(前回のコメントに書いたような報告はありますが確定した見解ではありませんし、サプリメントとして大量に投与するとホルモン療法の妨げになるという意見もありますので…)。
ですから乳がん術後の患者さんは積極的に大豆製品を摂取したほうが良いです、とは言えないのです。ほどほどにバランスよく、というのが最も安全で健康的だと私は考えています。
フェソロデックス筋注後、揉んだ方がいいのでしょうか?それとも揉まない方が良いのでしょうか?
>匿名さん
お返事が遅くなりました。念のため製薬会社のMRさんにも確認しましたが、”フェソロデックスは筋注で用量が多いため、投与部位を揉むことで皮下層に達して注射部位反応を発現する恐れがあります。従いまして、揉まないことをお勧めしております。”という返事でした。私の施設でも揉んでいません。
この記事を読ませていただきました。
フェソロデックス筋注後、揉まれてしまい、かなり激痛を体験いたしました。
看護師は揉んでいないと発していますが、右足が動かなくなるくらい、そして、痛み止めがないと歩けないくらいになりました。
もうその病院にはかかりたくありません。
くれぐれも揉まないようお気をつけくださいm(_ _)m
>Unknownさん
9年も前の記事に投稿ありがとうございました。
フェソロデックス投与後の局所の痛みは、揉んでいなくても起きます。この間の投与患者さんの中でも毎回強い痛みと歩行困難を訴える患者さんがいて、結局投与中止になった方がいらっしゃいました。
Unknownさんの場合は揉まなくても起きたのか(筋肉街漏出や注射部位の問題、体質的なものなど)、揉んだことによって悪化したのかはわかりませんが、今回はたまたまだったのかもしれません。担当医によくお話ししてからご判断ください。
お大事に!
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